Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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027【ズバリ!βグルカンの抗腫瘍効果!!(その2)】「抗がん剤との併用で原発性大腸がんからの肝臓転移がん2つが見事消失!!~ヒトでの症例報告~」

今回の結論:

切らないと治らないはずだった肝臓の2つの転移がんが切らずに消失した患者!! ホントの話!!

 

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前回【026】で、βグルカンが抗腫瘍効果を示す科学的根拠として、細胞実験と動物実験の論文をお示ししました。

これらは、βグルカンの何千とある論文のうちの、ほんの一部に過ぎません。

 

さて、今回はいよいよヒトで報告された症例を見ていきましょう。

 

我が師匠 飯沼一茂 博士が報告したがん患者さんの症例です。

New Food Industry 58 (11), 29-34, 2016.

 

患者は診断当時73歳の男性。

 

人間ドックで便鮮血陽性となり、大腸内視鏡による精密検査を受けることに。

そこで早速、精密検査の2日前から、某社の黒酵母βグルカン製品をやや多めに摂取開始しました。

で、精密検査の結果は、ステージ3の大腸がん

 

ところが、これに留まらず、大腸内視鏡検査の7日後、今度はCTスキャン肝臓に2か所の転移がん(どちらも約1cm大)が見つかりました。

 

ステージ3の原発性大腸がんに加えて、同時に肝臓転移がん2ヶ所です!

非常に難しい患者です!

どうするのか!?

 

大腸の切除は約25cm、肝臓の方は3/4の切除になります。

両方を一度に切り取ると、患者の命はありません。

そこで、まず大腸がんを腹腔内視鏡手術によって切除し、肝臓の方は、大腸の手術の後の経過が安定したところで抗がん剤治療を始めて、腫瘍を縮小させたところで切り取る、という作戦になりました。

 

大腸の手術までは1ヶ月あります。この1ヶ月の間、患者はβグルカンを毎日飲み続けました。

 

で、大腸がん摘出の手術は無事成功。

手術の3日後、再度CTスキャンを行い、肝臓の様子を探ってみると、、、なんと、肝臓の2つの転移がんが明らかに縮小していたのです。

 

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この1ヶ月の間、何らの抗がん治療も行っていません

やっていたことと言えば、毎日βグルカンを飲んでいただけです。

医者も「考えられない」と首をひねります。

 

そして、肝臓の転移がんを縮小させるための抗がん剤治療が始まりました。

予定では8クール行い、縮小させたところで手術で切除という算段です。

 

ところが、5クール目を終了し、6クール目の直前のCT検査で、なんと2つの肝臓の転移がんが完全に消失してしまっていたのです!!

これには医者も拍子抜け!

予定の手術はキャンセル!!

マジ完治です!!!

とっとと退院させられましたとさ(苦笑)

 

この患者さん、治療終了後4年が経過した今も、再発することなくお元気です。

 

この症例では、まず、何らの抗がん治療もしてない状況での、βグルカン単独での肝臓転移がんの縮小が観察されました。

そして、その後の抗がん剤治療との併用で、医師も予測しなかった完全消失!

抗がん剤との併用では、副作用の程度も軽く、辛い思いをすることもなく、さらに抗がん剤の作用を高めることに貢献したのでしょう。

このことは、前回お話したラットやマウスの実験結果でも示されていましたね。

026【ズバリ!βグルカンの抗腫瘍効果!!(その1)】 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

 

βグルカンについて、このような体験をした人はたくさんいます。

本当に、余命宣告された人がβグルカンで生還した例は枚挙にいとまがないのです。

その根拠は、「免疫力本来の力」です。

「免疫力本来の力」については、最先端医学が証明しています。

(是非もう一度本ブログ【021】をお読み下さい)

takyamamoto.hatenablog.com

 

ヒトの免疫力は本来、がんに打ち勝つだけのパワーを備えているのですが、その力を100%発揮できていないだけです。

 

しかし、健康食品でがんから生還したとかっていう体験談って、胡散臭いですよねぇ。

また、メーカーも販売企業も、たとえ、それが真実であっても、こんな「がん」からの生還体験談なんて、たとえ言いたくても言えないのです。

だって、手が後ろに回りますから。。。マジでッ。

ジレンマですよねぇ。

 

でも、この症例の様に、正確なカルテ情報とCT画像が得られたことで、正々堂々、論文として発表することができました。

 

私は今後も、本当の正しい情報を皆様にお伝えしていきます

 

 βグルカンの効果について、がんに次いで論文の多いのが糖尿病です。
いずれ、βグルカンの抗糖尿病効果の根拠となる論文についてもご紹介したいと思います。

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご感想やご意見、ご批判をコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

026【ズバリ!βグルカンの抗腫瘍効果!!(その1)】

本ブログも26回目になりました。

当初、1週間にひとつずつ1年間記事を書き続けて、52回は書きたいと思っていましたが、1ヶ月半で折り返し点にきました。

お陰様でユーザーさんも増えてきており、読んで下さる方がいらっしゃる限り、続けていこうと思います。

 

目次:

  1. シイタケ由来βグルカンの抗腫瘍効果

  2. βグルカンによる抗がん剤の副作用低減効果(その1)

  3. βグルカンによる抗がん剤の副作用低減効果(その2)

 

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以前は、健康食品なんぞに関心のなかった私。

 

免疫賦活活性だとか抗酸化作用だとかはあるとしても、現在の医療で治らないガンが治るなんて、「どこにも根拠を示していないじゃないか!」という訳です。

「本当に劇的に効くのなら、当然、医薬品として承認されるはず」という考えを持ったのも無理からぬこと。

 

しかし、健康食品の中には、本当に効くにもかかわらず、法律「薬機法(旧・薬事法)」による規制のために、企業は自社製品の宣伝広告の中で効果・効能を謳えず(つまり根拠を示したくっても示せない)、各企業とも拡販に苦慮しているという事情を、私は知りませんでした。

 

確かに、根拠のないまがい物もあります。

しかし、根拠を調べてみれば、確かに本物もあります。

 

では、本物とまがい物とを見分ける根拠とは何か?

研究者たちが客観的な視点から研究した結果を報告した学術論文です。

その学術論文が最も多い健康食品のひとつが「βグルカン」です。

 

今回は、βグルカンについての論文を、ごく一部ですが易しく説明して、そのポテンシャルをご紹介しましょう。

 

これまで、βグルカンの効果については、抗腫瘍効果、抗感染症効果、血糖値抑制効果、中性脂肪抑制効果、コレステロール抑制効果、高血圧抑制効果、動脈硬化抑制効果、抗糖尿病効果等々、広範囲な疾患に対して動物及びヒトでのデータが、世界中の医師・研究者たちから報告されており、論文の数は数千にのぼります。

この論文数は、健康食品の成分としては、類を見ないものです。

 

これらの研究成果が明らかにしたことは、上記のような多くの疾患に対する抑制作用は、βグルカンの強力な免疫調整作用によるものだとの理解です。

 

様々な疾患に対しての効果が示されているβグルカンですが、今回は、最も研究データが多い、抗腫瘍効果についての論文をいくつかご紹介します。

 

1.シイタケ由来のβグルカンの抗腫瘍効果

 

何らかの物質の病気改善効果というのは、結局のところヒトで示されなければ説得力がありません。

でも、ヒトでできる試験には様々な問題があり、限定されます。

ですので、まずは培養細胞での実験、次に動物実験がよく行われます。

 

細胞よりは動物、動物よりはヒト、の方が説得力が高いのですね。

で、まずは細胞の実験結果から。

 

がんから体を守る仕組みは、何重にも張り巡らされています。

最後の砦は「免疫」、その前に細胞の自殺「アポトーシス」という仕組みがあります。

 

前にお話ししましたが、遺伝子に異常のある細胞は、自分でそのことが分かっていて、このまま自分が生き残ってはまずいので、自分で「自殺スイッチ」をONにします。

その結果起こる細胞の死がアポトーシスです。

 

さて、βグルカンが免疫力をパワーアップして抗がん作用を示すことは良く知られています。

でも、下の2016年の論文では、シイタケ由来のβグルカンが、免疫を増強するだけでなく、がん細胞のアポトーシスも起こりやすくするというダブル効果を持っていることが報告されました。

さらに、がん細胞に栄養供給を行うのに必須な、血管の新生も抑えて、がん抑制に働くのです。

 

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最初にこのように培養細胞の実験で観察された現象が、動物やヒトの体内でも起きているのかが証明されることによって、βグルカンの本物である証しが強化されるのです。

 

では、動物のデータを見ていきましょう。

 

2.βグルカンによる抗癌剤の副作用低減効果(その1)

 

シスプラチンは様々な種類のがんに広く使用され、高い腫瘍縮小効果を持つ抗がん剤です。

一方で強い副作用、たとえば腎機能障害や骨髄抑制、吐き気・嘔吐、食欲不振などが現れ、そのためにシスプラチンの投与を断念せざるを得ないケースも多々あります。

 

下の2016年の論文は、パン酵母由来βグルカンを摂取することによって、シスプラチンの重篤な副作用を効率的に軽減するというラットを使った実験の結果です。

 

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健康なラットを4つのグループに分けます。

各グループのラットは9匹ずつ。

  • グループ1:何も投与しない
  • グループ2:シスプラチンを投与
  • グループ3:βグルカンを摂取
  • グループ4:シスプラチン投与とβグルカン摂取

 

健康なラットにシスプラチンを投与した場合、脳神経へのダメージが副作用として観察されます。

ですので、グループ2のラットに神経の損傷が認められました。

ところが、グループ4のラットでは、βグルカンを摂取していたことにより、神経細胞の損傷が著しく軽減したのです。

 

抗がん剤治療の副作用に耐えられず、治療を断念せざるを得ない人は多くいます。

その副作用の辛さを、βグルカンが軽減することによって抗がん剤治療を続けられようになるという動物での結果です。

 

3.βグルカンによる抗癌剤の副作用低減効果(その2)

 

もうひとつ、動物実験の例。

少し古いですが、2008年の、がん細胞を移植したマウスを使った実験です。

 

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グラフの縦軸は、がん細胞移植後21日までの腫瘍の体積の推移

 

マウスにがん細胞を移植して、21日間、特に何もしないと腫瘍の体積はどんどん大きくなります(対照群)。

しかし、9匹中、1匹も死んではいません。

 

フルオロウラシル(5-FU)という、よく使われる抗がん剤の投与を続けると、腫瘍はほとんど大きくなりません(A群)。

ところが、この21日の間に、9匹中4匹が死んでしまったのです。

つまり、5-FUでがん細胞の増殖は抑えているのに、4匹のマウスが薬の副作用で死んでしまったということです。

これでは、何のための薬やら。。。本末転倒ですね。

 

ところが、5-FUを投与していても、同時に黒酵母βグルカンを飲んでいると、1匹も死なずに済みます(C群)。

副作用が軽減されたのです。

腫瘍も完全に抑えるという訳には行きませんが、それでも、何もしないマウスよりは腫瘍が小さくなっています。

 

酵母βグルカンだけを与えたマウス(B群)でも、何もしていないマウスよりは腫瘍を抑えていることが分かるでしょう。

これがβグルカン単独での抗腫瘍効果ということになります。

 

まとめます。

  • βグルカンは単独でもある程度の抗腫瘍効果がある。
  • 抗がん剤と併用することで、抗がん剤の副作用による死亡を防ぎ、腫瘍の増大もある程度抑えることができる。

ということです。

 

ここまでは、いずれも動物実験の結果でした。

 

次回は、いよいよヒトの例を見ていきましょう。

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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025【人類はウイルスなんかで絶滅なんてしない】「免疫は人それぞれ万差億別」

目次:

① 人類が実際に使用した最恐の生物兵器とは?

② ウイルスはバカじゃない

③ ヒトの免疫は万差億別!

 

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ゴルゴ13の持病「ギラン・バレー症候群

ゴルゴが病気になるエピソードって結構ありますね。

「病原体レベル4」というエピソードでは、なんとエボラウイルスに感染し、医療器具の限られた船内で発症。ゴルゴもこれまでか!?

 

感染したサルに唾を吐きかけられたのですが、銃弾すらかわしてしまう反射神経の持ち主が、サルのツバ吐きぐらいかわせなかったのですかねぇ?

 

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ツバかけられたときのゴルゴの無念な表情!

 

さて、古くはダスティン・ホフマン主演の映画「アウトブレーク」。

致死率はエボラ以上、感染力はインフルエンザ以上という最恐のウイルスがアメリカ全土に蔓延の危機! 果たして阻止できるのか⁈というお話でした。

 

さらに、小松左京大先生の「復活の日」に至っては、南極の数百人を残して、人類は絶滅したのでした。

 

でも断言できます。人類はウイルスで絶滅したりしません。

その一つの根拠となった事件が1950年代に起こりました。

 

① 人類が実際に使用した最恐の生物兵器とは?

 

イギリス生まれのピーターラビットアナウサギという種類のイギリスではなじみの深い動物です。

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19世紀、イギリス人がオーストラリアに入植する際、このアナウサギを何匹か(ウサギは「1羽」「2羽」って数えるんでしたっけ?)持ち込みました。

別に愛玩用としてではなく、世界で最も狩猟好きなイギリス人が、ハンティングを楽しむために持ち込んだのです。

動物を追い回して打ち殺す娯楽、ハンティングは「紳士淑女のたしなみ」というわけですねぇ。

 

さて、天敵のいないオーストラリアで、野に放たれたアナウサギは爆発的に繁殖しました。

それが牧草を食い尽くしてしまい、牧羊に甚大な被害が出たのです。

毎年、何百万匹単位で駆除しても到底追いつきません。

 

そこで、オーストラリア政府が取った策が、恐るべき生物兵器の使用です。

その名をミクソーマウイルス!

ウサギだけに感染し、他の生物には全くの無害。

致死率はほぼ100%! 治療法なし!

なんと理想的な!!

 

このウイルスに感染すると、兎粘液腫(うさぎねんえきしゅ)という病気を発症します。

その症状は、ウィキによると「発熱、結膜眼瞼炎、鼻、耳、肛門、生殖器周辺の粘膜と皮膚の境界部皮下にゼラチン様腫瘤を形成する。死亡率はほぼ100%であり、発症後2週間前後で死亡する」とあります。

かなりの苦痛を長期に与えて死に至らしめる、非常に残酷な病気のようですねぇ。

こんなもん使っておいて、「捕鯨は非人道的だ」とか言ってんじゃねぇ!!

いや別に豪州人の方に敵意は御座いません。

 

それは置いといて、この作戦、顛末はどうなったか? 思惑通りに事は進んだのでしょうか?

 

② ウイルスはバカじゃない

 

我々すべての生物種の最大の目的は、できるだけ多くの子孫を残して種の繁栄を築くことです。

ウイルスも例外ではありあません。

 

さてウサギの話に戻りましょう。

1950年にオーストラリアにおいて、このウイルスが野生化したアナウサギに対して使用されました。

ほぼ100%と思われていた致死率でしたが、数百匹に1匹ぐらい、病気を発症しないウサギが現れたのです。

そして、ついに撲滅することができずに終わりました。

 

理由は二つありますが、ひとつは、感染が広まるにつれ、ウイルスの毒性が弱まったのです。

ウイルスは宿主がいてこそ繫栄できます。

すべて殺していたのでは、自分たちの未来もありません。

ですので、毒性が強すぎて、「このままではいかん」と思ったら、自分たちの生存率を最大化するために、毒性の弱いウイルスが優勢になるのです。

そして、ほどほどに宿主を生かし続けます。

結局、数年後には、このミクソーマウイルスの致死率は、およそ50%程度で落ち着いたとさ。

 

このことは、おそらくエボラウイルスでもHIVでも同じです。

決して人類を根絶やしになんかしやしません。

実際、HIVに感染しても発症しない人や、HIVに感染すらしない人がいることが分かっています。

 

③ ヒトの免疫は万差億別!

 

みなさんABO式の血液型はご存知ですね?

これは赤血球の型です。

型を誤って輸血すると、赤血球が壊れて死んでしまいますので、血液型検査は重要です。

ちなみに、この赤血球が破壊される現象、これもまた免疫の働きによるものです。

 

では、白血球にも血液型があるのをご存知でしょうか?

HLAと言えばお分かりの人もいるでしょうか?

骨髄移植や臓器移植では、このHLAの型をできるだけ合わせることが重要です。

拒絶反応を防ぐためです。

 

HLAはABO式のように単純ではなく、計算上は数百億通りの型があることになります。

ですから、一卵性の双子を除いては、この地球上に二人とまったく同じ型の人はいないことになります。

このように、たくさんの型があることを「多様性」といいます。

 

このHLAの型は「免疫の型」と言ってもいいでしょう。

免疫の型に多様性があるということは、ヒトの免疫は人それぞれに異なり、それこそ「千差万別」、「万差億別」です!

 

先ほど、HIVに感染してもエイズを発症しない人がいると言いました。

このような人は「エリートコントローラー」と呼ばれ、特にHIVに感染したヘルパーT細胞を早期に発見し、排除する免疫力を備えています。

ですから、ウイルスはいることはいるのですが、発症するところまでウイルスが増えるのを防ぐことができます。

これは、特定のHLAの型を持っている人であることが分かっています。

 

オーストラリアのウサギ駆除の話に戻りましょう。

撲滅に失敗した原因は二つ。

ひとつは、ウイルス自らが弱毒化したこと。

もうひとつは、アナウサギにも、ミクソーマウイルスに対するエリートコントローラーがいたということです。

 

免疫には多様性があり、人それぞれすべて異なります。

人類は「ある病気にはめっぽう強いが、その他のある病気には弱い」という人の集団です。

ですから、ある疫病が猛威を振るっても、必ず生き延びる人がおり、絶滅することはないのです。

 

う~ん! だから何だというのだ!?

オチなく話が終わってしまった!!

 

ただ、免疫には多様性があるということだけ覚えておいて下さいね。

 

次はお役立ち情報をお届けできるように書きます(ペコリ)

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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024【免疫力の高い人はアレルギーになりやすいの?】「免疫の『バランス』についての誤解に答えます!」

目次:

  1. やっぱ、免疫力は高い方がいいの?

  2. 獲得免疫は「抗原特異的」!

  3. 抗原特異的に免疫反応を抑える制御性T細胞は存在するのか?

  4. 免疫系のバランスは「シーソー」じゃない!!

 

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① やっぱ、免疫力は高い方がいいの?

 

世間では、「免疫力アップ」とか言って、免疫力は高ければ高いほどいいみたいに喧伝しているきらいが見られますね。

一方で、うがったところでは「免疫はバランスが大事」と言われます。

免疫のバランスとはどういうことでしょう?

 

以前は良く、こんな話を聞きました。

「免疫力の高い人は、がんや感染症には強いけれど、その代り、アレルギーや自己免疫疾患になりやすい」

「アレルギーや自己免疫疾患の人は、免疫力が高いので、がんになりにくい」

これらは、「免疫力というのは、強すぎても、弱すぎても具合が悪く、ほどほどにバランスを保っているのがよい」という考え方です。

つまり、免疫のバランスとは、下の図のように、高いか/低いかというシーソーのようなものだと言うのですね。

 

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免疫のバランス 右に傾いても、左に傾いても、どっちもよくない!?

 

この考え方では、免疫力が強すぎるとアレルギーや自己免疫疾患になりやすく、弱すぎるとがんや感染症にかかりやすくなるので、「強すぎず、弱すぎず」のバランスが重要、ということになります。

 

私はずっと、この考え方に疑問を持っていました。

なぜなら、アレルギーや自己免疫疾患知らずで、がんや感染症にも強い超健康な人っているはずだからです。

免疫のバランスがシーソーのように、強いか、弱いか、バランスのとれた真ん中か、のような塩梅(あんばい)だとすれば、このような超健康な人の免疫がどうなっているのか、説明できません。

また、免疫が強すぎてアレルギーになるのなら、いろんなものに対してアレルギーになるはず。

「ヒノキやブタクサやダニは全然平気なんだけど、スギ花粉だけはどうにもダメ」という人がいるのは変です。

説明できません。

 

② 獲得免疫は「抗原特異的」!

 

いきなり「抗原特異的」なんて難しい言葉で申し訳ありません。

 

はしかにかかったことのある人は、はしかに対する免疫を持っています。これは獲得免疫です。

019【免疫力の本来のパワー(その1)】「免疫系の仕組み」 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

なので、次にはしかのウイルス(麻疹ウイルス)が侵入してきても、発病することなく撃退できます。

でも、この免疫は、他のウイルス、他の抗原(免疫系によって認識される異物のこと)には全くの無力です。

麻疹ウイルスに対する免疫は、麻疹ウイルスの抗原にしか反応しません。

 

特定の抗原にだけ反応すること、これが「抗原特異的」ということです。

 

マクロ―ファージとかの自然免疫の細胞は、基本的に非自己であれば何でも食べます。

つまり、自然免疫は「非特異的」です。

でも、獲得免疫は、一度覚えた特定の抗原にしか反応しません。

つまり、獲得免疫は「抗原特異的」です。

 

③ 抗原特異的に免疫反応を抑える制御性T細胞は存在するのか?

 

ここから少し難しくなります。

 

自己免疫疾患やアレルギー性疾患は、抗体を作るB細胞や、がんやウイルス感染細胞など異常な細胞を攻撃するキラーT細胞の仕業です。

B細胞とT細胞による免疫は獲得免疫ですね。

 

制御性T細胞(Treg)もT細胞ですから、獲得免疫の細胞ということになります。

だったら、Tregも抗原特異的に機能するんじゃないのか?

つまり、Tregはある特定の好ましくない免疫反応だけを「特異的」に抑えることができるんじゃないのか?ということです。

 

たとえば、はしかにかかったとします。

当然、免疫系は活発になり、免疫力は高い状態になります。

「免疫力の高い人はアレルギーになりやすい」という理屈が正しいのなら、感染症にかかる度にアレルギーになる人が普通にいるはずです。

でも、そんな人、実際に見たことも聞いたこともありません

 

これはつまり、感染症にかかって免疫力が高まった状態でも、アレルギーや自己免疫疾患などの原因となる好ましくない免疫反応を「特異的に」Tregが抑えてくれているんじゃないかと考えられます。

 

本ブログ【010】で、アレルギー性疾患の少ないアーミッシュの人たちにはTregが多いとか、【017】では、妊婦では免疫系が胎児を攻撃しないようにTregがたくさん子宮に集まっているとかいいました。

010【清潔はビョーキだ!!(その2)】We need 菌 and 毒 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

017【自己免疫疾患と制御性T細胞】 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

 

これまでの多くの研究では、Tregの数が多いか少ないかが盛んに調べられてきました。

でも、本当にTregの働きを知るには、特定のTregが特定の好ましくない抗原に対する免疫反応を抑えているという、Tregの「特異性」を証明することが重要だと思います。

 

たとえば、「ヒノキもブタクサも問題ないんだけど、スギだけはダメ」なんて人もいる訳です。

このような人の場合、スギ花粉に対する免疫反応だけを抑える「特異的な」Tregが、何らかの原因でうまく働いていないのだと考えると説明がつきます。

 

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如何なゴルゴ13と言えども、何らかの原因で自己免疫反応を抑える抗原特異的Tregが上手く働いていないと、自己免疫疾患にもなり得る!

 

ヒトの抗原特異的制御性T細胞の働きは、技術的な問題から、まだ充分には解明されていません。

でも最近、技術的ブレークスルーがあったとかで、その論文を読んでいるところです。

Cell 167, 1067-1078, 2016

難しくて、なかなか読み進められません、、、(涙)

 

④ 免疫系のバランスは「シーソー」じゃない!!

 

Tregの抗原特異的な働きについては、これから解明されるものと期待します。

そしてその結果、超健康な人の免疫とは、「がんや感染症に対する免疫力は強く、同時に抗原特異的なTregが働いて、好ましくない免疫反応は抑えている状態である」ということが証明されるのではと予想しています。

 

病気やケガをすれば、免疫系が活性化して炎症反応を引き起こします。

でも、快方に向かえば、炎症反応は速やかに鎮めなければなりません。

このように、免疫というのは、攻撃するべきときには攻撃し、攻撃してはいけないもの、攻撃してはいけないときには、攻撃は抑えなければなりません。

このように免疫系が絶妙に制御されている状態、これが免疫系の「バランス」がいい状態なのだと思います。

「強い or 弱い」という2元的な単純なものでは決してありません。

そして、そこで重要な働きをしているのが、恐らく抗原特異的なTregです。

(これはまだ仮説であり、実証されている訳ではありませんので、ご注意下さい)

 

ですから、健康のために大切なことは、免疫力をアップさせるというより、免疫力を「調整」することなのです。

 

で、話はまたここに帰着します。

免疫調整のために重要なのは、食事・運動・休息・βグルカンなのですね(笑)

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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023【腸内細菌と心】「乱れた細菌叢から慢性炎症へ」

目次:

  • 心と腸はつながっている

  • 細菌叢が悪いとどうなる?

  • 結論:乳幼児期の食事と衛生環境が大事 大人になってからも「腸活」は大事

 

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① 心と腸はつながっている

 

心と腸

全然関係ないと思われていたもの同士が、今では切っても切れない、というか、むしろ密接に関わり合っていることが確実になりました。

いや、つながっているというより、対話していると言えるかもしれません。

 

腸内で発生する様々な物質、それらが幼少期の脳の発達に影響し、性格の形成や精神疾患の発症に大きく関わってきます。

好ましくない腸内環境が、うつ、統合失調症自閉症なんかの引き金になります。

 

腸内で発生する多くの物質が、腸内に共生する細菌によって作り出されます。

これらの物質が脳の働きに影響することが、多くの動物実験で明らかにされています。

 

マウスの腸内細菌を入れ替えるとか、無菌のマウスに別のマウスの腸内細菌を移植するとかの実験です。

実際、このような実験をすると、マウスの性格に変化が出るのですが、マウスの性格の変化は行動に現れますので、行動を観察します。

 

例えば、下の写真はNHKスペシャル「腸内フローラ~解明!驚異の細菌パワー~」からですが、いつもおどおどした臆病なマウスと、好奇心いっぱい、全然ひとっところに留まっていられない活発マウスというのがいて、これらの腸内細菌をお互いに入れ替えてみた実験です。

 

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マウスを高さ数センチの台に載せます。

活発マウスは、もう下に降りたくて仕方がありません。ものの10数秒で難なく降りて、どっかに行ってしまいます。

一方、臆病マウス。降りたいのはやまやまですが、何度も下を覗いては見るものの、怖くて降りられません。結局7分経っても降りられませんでした。

このマウスの腸内細菌を入れ替えたらどうなるか?

臆病マウスの菌を移植された活発マウス。ビビってしまって、降りるのに数分もかかるようになりました。

一方、活発マウスの菌を移植された臆病マウス。最後まで降りられなかったのが、数分はかかりますが、それでも降りられるようにはなりました。

結果は何度やっても同じです!

 

さらに同番組から。

異性に積極的なマウスと消極的なマウス。

積極的なマウスは、盛んにメスに呼びかけます。

一方で、シャイなマウスは、極端に呼びかける回数が少ないです。

 

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人間の耳には聞こえないマウスの鳴き声を、特殊な装置で検出

一定時間あたりの呼びかけの回数を測定

 

このシャイなマウスの腸内には、ある種の腸内細菌が作り出す4EPSという物質が多いことが分かりました。

この4EPSという物質を阻害する薬品を投与したところ、どうなったか?

なんとメスに呼びかける回数が格段に増えました。

何度やっても同じ結果です!

 

異性に対して積極的になれない方。

お友達にイケイケドンドンのナンパ野郎がおられたら、その方からウンコをもらって下さい。

昨日までのシャイな自分とはおさらばです(笑)

 

ただし、これらの結果はマウスの話であって、人間が簡単に「シャイな自分とはおさらば」と行くとは限りません。

 

そこで次のステップとして、神経疾患のヒトの腸内細菌を無菌のマウスに移植する実験が行われています。

不安障害の人の腸内細菌を無菌マウスに移植すると、マウスに不安行動が現れることが分かりました。

不安障害の人の腸内細菌が、不安障害の症状を引き起こす何らかの物質を作り出していると考えられます。

 

現在では、ヒトの腸内細菌が作り出す、心に影響を及ぼす物質がいくつか突き止められています。

例えば、アメリカの研究グループが、自閉症の子供の尿には、クロストリジアという腸内細菌が作り出すHPHPAという物質が多く含まれることを報告しました。

 

そこで、深刻な強迫性障害や多動性障害をもち、尿中HPHPAが高い10代の女性患者に、HPHPAを作り出す細菌の増殖を抑える抗生物質を投与し、同時にプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など、腸内フローラに良い影響を与える微生物)を摂り続けたところ、徐々にHPHPAが下がり始め、1年後には病気の症状が完全になくなったと言います。

 

② 細菌叢が悪いとどうなる?

 

ヒトでも、腸内細菌が心に影響を及ぼすことは確実になりましたが、腸の細菌だけでなく、口の中にも細菌叢があり、歯周病なんかがあると、糖尿病はじめ、様々な病気の原因となりますので、口腔ケアも非常に重要です。

 

ここでは、ご腸内の話をしますが、基本的には口腔も同じです。

 

腸内フローラの状態が悪いというのは、悪い菌が優勢になって、いい菌が虐げられている状態です。

この状態では、腸の内容物が腐敗して、有害物質がどんどん作り出されています。

腸管のバリア機能は低下し、悪い菌が作る毒素、特にLPSという毒素が腸管から血管内に侵入しやすくなります。

なんと、毒素だけでなく、悪い菌そのものも血管に侵入します。

無菌であると言われている血管内に菌が入り込むのです!!

 

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当然、これに免疫系が反応し、炎症性物質を出します。

いつまでも腸内環境の改善がないと、この状態が続くか、ますます悪化します。

そして、体のあちこちで異常な炎症状態が続くことに。。。

これが「慢性炎症」の状態であり、体に様々な悪いレスポンスを引き起こさせます。

 

口の中も同じです。

歯周病菌などの悪い菌と毒素が、バリア機能の低下した歯ぐきから血管内に侵入し、慢性炎症を引き起こします。

歯周病が糖尿病の原因になっていることは、前にお話ししました。

011【昔の常識、今非常識】「糖尿病患者は内科に行くな!?」 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

 

③ 結論:乳幼児期の食事と衛生環境が大事 大人になってからも「腸活」は大事

 

体の病気だけでなく、心にも影響を及ぼす私たちの共生細菌。非常に大切です。

 

まず、小さなお子さんをお持ちの親御さん。

腸内フローラを構築する乳幼児期の食事と衛生環境は非常に大切です。

衛生環境というのは、前に「清潔はビョーキだ」と言ったように、過度に清潔にするのは好ましくなく、自然に菌や毒素を取り込むくらいの環境の方がよいということです。

009【清潔はビョーキだ!!(その1)】We love 菌 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

 

成人してからは、出来上がってしまった腸内フローラを劇的に変更することはできませんが、良い食事、良い生活習慣で、その人なりのベストな腸内環境を維持することが重要です。

018【便移植から腸内細菌を考える】 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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022【慢性炎症】「ほとんどすべての病気に共通した本当の原因とは?」

  1. 「慢性炎症」とは?

  2. 慢性炎症の原因

  3. 次回:腸内細菌と心 乱れた細菌叢から慢性炎症へ

 

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1.「慢性炎症」とは?

 

糖尿病や心臓疾患、関節リウマチなんて、かつては腸内フローラや歯周病なんかと全然関係のない事象だと思われていました。

ましてや心の病気が、腸や口の中が密接に関係しているなんて、誰が想像したでしょう?

 

最近では、症状も病態も全然違う病気が、実は共通の原因をもっており、その共通の原因にフォーカスした治療が重要だという考えが出てきました。

 

その共通の原因とは「慢性炎症」です。

体の病気だけでなく、心の病気でさえ、体の慢性炎症から精神に不調をもたらしていることが分かってきました。

 

「炎症」というと、皆さんはどんな印象を持つでしょうか?

 

風邪をひいて熱がでます。熱が出るのは炎症反応のためです。

で、お医者さんに行くと、解熱剤(抗炎症剤)を出してくれます。

ということは、熱は下げるべきもの(炎症は良くないもの)なのでしょうかね?

 

感染症なんかで引き起こされる炎症は「急性炎症」です。

体温を上げることによってウイルスの活動を弱め、同時に免疫力を高めます。

なので、やたらと解熱剤を飲んで熱を下げるのは、好ましいことではありません。

 

ケガをすると、患部が熱をもって赤く腫れたりします。

これも急性炎症です。

ケガの修復では、血液凝固による止血の後、免疫細胞が患部に集まり、たくさんの炎症性物質(サイトカインや成長因子というタンパク質)を出して、細胞の増殖と組織の再生が始まります。

 

今では、ケガをしても(感染症のリスクが高い場合を除いて)基本的に消毒はしません。

消毒液によって様々な細胞にダメージを負わせ、その結果、初期の正しい炎症反応の成立に失敗してしまうと、傷の治りが悪くなることが知られているからです。

つまり、急性炎症というのは病気やケガからの回復になくてはならないものなのですね。

 

そして、ケガや病気が快方に向かい始めたら、速やかに炎症は静まらなければなりません。

治りかけているのに、いつまでも炎症反応が続くのは病的な状態です。

 

例えば、炎症など必要ないのに、くすぶるような小さな炎症反応が続いている状態

これが「慢性炎症」であり、多くの病気の引き金になります。

 

で、慢性炎症の大きな原因はというと、「腸内フローラの乱れ」と「免疫系の不調」です。

(最近では、「口腔内フローラ」も重要であることが分かってきました)

さらに、腸内フローラの乱れと免疫系の不調をもたらすのは、過食や偏食などの不適切な食事や、運動不足、不十分な休息などの好ましくない生活習慣です。

 

肥満の人は、多くの場合で過食か運動不足のどちらか、あるいはその両方です。

肥満では、ほぼ確実に慢性炎症が起きており、多くの病気の原因となるため、最近では「肥満自体が病気である」という考え方が出てきており、「肥満症」という言葉もあります。

「太ってはいるけど、別にどこも悪くないから病気じゃない」と言うかもしれませんが、それは違います。

「血糖値は高いけど、別にどこも悪くない」というのと同じです。

糖尿病は糖尿病、肥満は肥満であり、将来、深刻な事態になるリスクが高い状態ですので、あなどってはいけません。

 

2. 慢性炎症の原因

 

慢性炎症の原因は、腸内フローラの乱れと免疫系の不調だと言いました。

繰り返しになりますが、この2つの原因は何かというと、様々ありますが、過食など不適切な食事、運動不足、休息不足などの不適切な生活習慣です。

 

本ブログ003と話が重なりますが、重要なことですので、もう一度確認しておきましょう。

 

過食などで中性脂肪コレステロールが高い状態が続くと、脂肪細胞がこれを取り込み、肥大化します。

肥満の人の内臓脂肪には、この肥大化脂肪細胞がいっぱい詰まっています。

 

この状態になると、脂肪細胞をはじめ、様々な免疫細胞が分泌する物質の内容が変わってきます。

脂肪細胞では、良い物質のアディポネクチンとレプチンが出にくくなり、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなり、血糖値が下がりにくくなること)や血圧上昇、血栓形成を引き起こす、TNF-α、遊離脂肪酸、アンジオテンシノーゲン、PAI-1などの悪い物質が出るようになります。

 

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免疫細胞でも、IL-1β、TNF-αなどの炎症性物質の産生が優位になり、体のあちこちで慢性炎症の状態です。

 

様々な組織は、長い間炎症性物質にさらされ続けると、その機能や構造に好ましくない変化が起こります。

その変化は、長期的には様々な生活習慣病につながるので、放置は非常に危険です。

 

以前は、「肥満」は単なる栄養過多の状態と思われていましたが、現在では、慢性炎症を伴った「病気の状態」と言えます。

 

しかし幸い、内臓脂肪は付きやすいが、取れやすい。

努力の成果が体重や腹囲の減少という形で目に見えて分かるので、それを励みに頑張ってみましょう。

 

食事・運動・生活習慣の改善です。

 

3. 次回:腸内細菌と心 乱れた細菌叢から慢性炎症へ

 

次回は、腸内フローラがどのような心の状態に影響を及ぼすのか?

それから、細菌叢の乱れた腸や口の中の状態がどういう風になっていて、どんなことが起こって慢性炎症が引き起こされるのかを見ていきましょう。

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご感想やご意見、ご批判をコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

号外【私の師匠が本出版&テレビ出演】

皆さん、こんにちは

 

お知らせです。

私の師匠である飯沼一茂博士が2月に本を出版されました。

遅ればせながらご紹介いたします。

www.wani.co.jp

 

小難しい内容ではなく、日頃の生活で皆さんができることや、「へぇ~、そうなの?」みたいなお役立ち情報をご紹介、みたいな内容です。

 

続いて、5月4日(木)23:17~関西のみですが、朝日放送ビーバップ!ハイヒールに飯沼先生が出演されます。

朝日放送 | ビーバップ!ハイヒール

メインMCのハイヒールや、ブラマヨなどの出演者が、飯沼先生に健康と免疫の問題について質問し、飯沼先生が答えるというもの。

 

すでに収録済み。

飯沼先生ご本人の談によると、台本はあってないようなもの。

関西芸人さんたちのアドリブで、話は二転三転。

編集されたものを見てないので、どんな風に仕上がるのか怖いそうです(笑)

是非ご覧下さい。

 

飯沼先生は、その他にも別所哲也さんのラジオ番組に出演されたりもしています。

J-WAVE TOKYO MORNING RADIO | J-WAVE | radioinfo.radiko.jp ラジオウェブ

 

「健康、病気、免疫」に関心のある方は、「飯沼一茂」でチェックしてみて下さい。

 

お知らせでした。

 

 

021【免疫力の本来のパワー(その3)】「免疫力だけで末期ガンから生還できる!!」

目次:

  • ガン免疫療法は「オオカミ少年」?

  • 全く新しい考え方のガン免疫療法

  • 免疫細胞にはブレーキボタンが付いている!?

  • ガン細胞もブレーキボタンを押す「手」を持っている!

  • 免疫力本来のパワー!!

結論:日頃から免疫本来の力を発揮できるように努めましょう!

 

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前回の最後で、「次回は免疫のブレーキとアクセルの話をする」と言いましたっけ?

確かに言いましたが、内容変更させて下さい。

ブレーキの話をします。アクセルは出てきません。

 

今回は、ガンと免疫のブレーキの話を中心に、私たちが本来もつ免疫の力がどれほど強力かというお話を致します。

 

① ガン免疫療法は「オオカミ少年」?

 

免疫力を増強することでガンをやっつける「免疫療法」という考え方は、何十年も前からありました。

しかし、どの方法もあまりうまくいかず、「効く、効く」と言っているうちに、ついには「オオカミ少年化」してしまい、「新しい免疫療法」が出てきても、「眉唾モノ」みたくみられるようになりました。

そう、「免疫療法」というだけで、なんか「代替療法」か「民間療法」みたいに、胡散臭さを感じる人も多かったのです。

 

例えば、ガン患者の血液から免疫細胞を取り出して、免疫力を増強する試薬を加えて試験管の中で培養し、充分パワーアップしたところで患者の体内に戻す免疫療法があります。

パワーアップした免疫細胞は、活発に炎症性物質やなんかを出しているので、体に戻すと強い炎症が起こり、高熱が出たりします。

 

こんな感じで使えなかったり、何かしらの問題があって、費用が高い割に決め手に欠けるのが従来のガン免疫療法でした。

 

② 全く新しい考え方のガン免疫療法

 

従来のガン免疫療法は、どうにかして免疫力をアップさせてやろうという考え方でした。

皆、やたらアクセルを踏むことばかり考えていた訳です。

 

今話題の新しいガン免疫療法の考え方は、アクセルを踏み込むのではなく、免疫系にかかっているブレーキを外してやろうというものです。

逆の発想です。

 

私たちの免疫系は当然、ガン細胞をやっつけようと頑張ります。

一方で、ガン細胞もなかなか賢くて、何とか免疫系をだまくらかして、生き延びてやろうとします。

 

実は、免疫系から逃れるために、ガン細胞が免疫系の司令塔であるヘルパーT細胞にブレーキをかけていることが分かりました。

ヘルパーT細胞が機能しないと、免疫系全体がダウンすることは、前回のAIDSのお話の通りです。

だったら、このブレーキを解除する方法を見つければ、私たちが本来持つ免疫力が回復するのではないかという訳です。

 

この考えに基づいた新しいガン免疫療法の薬は「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれ、非常に関心が高まっています。

 

③ 免疫細胞にはブレーキボタンが付いている?

 

制御性T細胞(Treg)は免疫系のブレーキだと言いました。

もっと正確に言うと、Tregは免疫細胞のブレーキボタンを押すことのできる「手」を持っているということです。

本当のブレーキボタンは免疫細胞の表面に付いていて、Tregがそれを押すことによって免疫反応を抑える仕組みです。

 

免疫細胞の表面にあるブレーキボタンとは、PD-1というタンパク質です。

Tregは、このPD-1と結合するタンパク質(PD-L1)を持っていますが、言ってみれば、このPD-L1が免疫細胞のブレーキボタンを押すことのできる「手」だということですね。

 

アレルギーとか自己免疫疾患とか、好ましくない免疫反応を抑えたいとき、Tregの「手」(PD-L1)がヘルパーT細胞の「ブレーキボタン」(PD-1)を押すことで、ヘルパーT細胞に活動停止命令が出されます。

これが、Tregがアレルギーとか自己免疫疾患の余剰な免疫反応を抑える仕組みのひとつです。

 

で、我々の免疫系が自らの免疫反応を抑えるこの仕組みを、ガン細胞は巧みに利用しているのです。

 

④ ガン細胞もブレーキボタンを押す「手」を持っている!

 

ある種のガン細胞は、Tregの「手」と同様のものを持っていて、ヘルパーT細胞のブレーキボタンを押すことができるのです。

これを押されては、免疫系の攻撃力は著しくパワーダウンです。

なんと狡猾なことでしょう!

 

ガン細胞も賢いが、しかし人間も賢い!

そこで人間が考えたのは、「ヘルパーT細胞のブレーキボタンにカバーをかけて、ガン細胞がボタンを押せないようにすればいいんだ」ということです。

そのカバーというのが、タンパク質でできた抗体です。

 

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人工的に作られた抗体が、ヘルパーT細胞のブレーキボタンであるPD-1と結合して、カバーします

カバーで守られていては、ガン細胞はブレーキボタンに手出しができません。

これで免疫系は本来の力を発揮できます。

 

この抗体が「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる新しいタイプの薬なわけです。

 

⑤ 免疫力本来のパワー!!

 

免疫チェックポイント阻害剤が初めて認可されたのは、末期のメラノーマ(悪性黒色腫;ホクロからガン化して、転移しやすい)患者に対してでした。

抗がん剤療法、放射線療法とも期待できず、打つ手がない患者のみを対象にして約40%の人に延命効果がありました。

この40%という数字が高いとみるのか、低いとみるのか?

従来なら助からなかったはずの人のうちの40%です。

 

さて、私が言いたいのは40%という数字の評価ではなく、従来の医療で助からないはずだった人でも、「免疫だけの力」で回復するのだということです。

末期がんから回復するのですから、免疫力のパワーというのは、改めて凄いのだということが分かりますね。

 

病気になったときはもちろんですが、日頃から免疫力をバランスのいい状態に保つことがいかに重要かということ。

これが今回の結論です。

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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020【免疫力の本来のパワー(その2)】「AIDSが明らかにした免疫系の“アキレス腱”ヘルパーT細胞!」

結論:

1.ヘルパーT細胞は免疫系の中田ヒデ!

2.AIDSで分かるヘルパーT細胞の大切さ!

 

次回予告:

免疫系のアクセルとブレーキ

 

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1.ヘルパーT細胞は免疫系の中田ヒデ!

 

前回、本ブログ019で、免疫系の全体像をお話しました。

 

免疫系には、「自然免疫」と「獲得免疫」の二段構えの備えがあること。

そして、獲得免疫は、敵の種類や性質に応じて、「細胞性免疫」と「液性免疫」の2つのパターンを駆使して戦うことです。

 

そして、敵に応じて、獲得免疫を駆使して、どう戦うかを決めるのは「ヘルパーT細胞」と呼ばれる「免疫系の司令塔」だということでした。

 

いわば、「自然免疫」はゲリラ戦です。

出現した敵に対して、なりふり構わず攻撃しますが、必ずしも効率的に戦果を挙げられるわけではありません。

 

そこで、敵の種類や性質に応じて適宜に対応した戦略を駆使して「獲得免疫」が戦線防衛に重要な役割を担うわけです。

ゲリラ戦の自然免疫に対して、獲得免疫は戦術的な組織戦ですね。

そして、その戦術を決定し、獲得免疫に作戦司令を出すのが「ヘルパーT細胞」なのですね。

凄くないですか? ヘルパーT細胞!!

 

それだけに、ヘルパーT細胞は免疫系の「アキレス腱」とも言えます。

アキレス腱とは? つまり、免疫系の弱点にもなるということです。

 

ここを責められると、獲得免疫は機能しない!!

中田ヒデを失ったトルシエ・ジャパンか!?(古い!!)

 

そのことを、我々人類が改めて思い知ったのは、1980年代前半に突如、人類の前に出現した「AIDS」ではないでしょうか?

 

2.AIDSで分かるヘルパーT細胞の大切さ!

 

AIDSは、「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」が、実はヘルパーT細胞に感染することで引き起こされる病気です。

 

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HIV感染を抑える種々の薬

 

HIVはヘルパーT細胞に感染し、ヘルパーT細胞をゆっくりと死滅させながら増殖したウイルスは、また別のヘルパーT細胞に感染して、それを繰り返します。

 

その結果どうなるか? 知れたことですね。

どんどんヘルパーT細胞が死んでいき、減っていきます。

そして、何年も経ったころには、獲得免疫はそれこそ「機能不全」に陥ります。

免疫が十分に働かない「免疫不全」の状態であり、そのために何らかの病気を発症した状態がAIDS(後天性免疫不全症候群)です。

 

そのために、普通では見られないような珍しい悪性腫瘍(カポジ肉腫とか)になったり、健康な人なら死なないような感染症(カリニ肺炎とか)で死んだりします。

ヘルパーT細胞が機能しなくなると、こんな状態になるんだということが、AIDSによって明らかになったわけです。

 

AIDSの原因がまだ分からなかったとき、いや、分かった後ですら、AIDSは「20世紀の黒死病」と言われて、専門家すら恐怖しました。

「司令塔を狙い撃ちするウイルスだって!?」 「どうすりゃいいんだ!?」

 

そして、そこから得たものは、「免疫系の司令塔」の重要性です。

それは、ヘルパーT細胞!!

 

時を経て1990年代後半、制御性T細胞(Treg)の発見によって、ヘルパーT細胞の重要性が、さらに強化されたのでした。

 

次回予告:

免疫系のアクセルとブレーキ

 

さて、話が複雑になるので、これまでお話しませんでしたが、実はヘルパーT細胞には何種類かあります。

それらは1型、2型、17型と呼ばれます。(3型とか4型とかはなくって、2型の次はいきなり17型です(笑))

 

Tregが免疫系のブレーキならば、17型ヘルパーT細胞はアクセルと言えます。

このアクセルとブレーキの踏み具合で、免疫の攻撃力をパワーアップしたり、余計な免疫反応を抑えたりしています。

実際、自己免疫疾患の人は、アクセルである17型ヘルパーT細胞が優勢になっています。

こういう時にはTregに頑張ってもらって、過剰な免疫反応にブレーキをかけてもらわなければならないのですね。

 

健康で免疫系のバランスがいい人では、このアクセルとブレーキの踏み具合が絶妙に制御されています。

このバランスを崩すような原因があると、様々な健康トラブルが発生します。

 

次回は免疫系のアクセルとブレーキのお話です。

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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大変励みになります。

 

 

019【免疫力の本来のパワー(その1)】「免疫系の仕組み」

目次

  1. 免疫系の仕組みを知る大切さ

  2. ふたつの免疫 ―自然免疫と獲得免疫―

  3. 免疫系の全体の仕組み

  4. 2種類の獲得免疫

  5. 免疫系の司令塔

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

最近、珍しく忙しくて、前回の記事から日が空いてしまいました。

 

今回から、具体的に免疫の仕組みについてみていき、なぜ免疫が私たちの体にとって大切かということの理解を深めていきたいと思います。

 

1.免疫系の仕組みを知る大切さ

 

前回、腸内フローラの大切さについてお話しました。

また、腸内フローラをいい状態にキープすることで、免疫系もいい状態になる、つまり、両者は互いに影響し合っているのだということでした。

ですから、免疫系を整えるには、腸内フローラを整える「腸活」が重要という結論です。

 

私たちの免疫系は、がんや病原体から身を守ってくれる一方で、アレルギーや自己免疫疾患を引き起こす、いわば諸刃の剣であり、非常に絶妙な制御の上に成り立つシステムです。

本当に繊細なシステムですから、そのことを理解すれば、なぜ免疫系を崩すようなことをしてはいけないかが分ります。

 

今回から少し難しくなりますが、免疫系の基本的な仕組みを見ていきましょう。

免疫系は「異物を認識して排除する」のが基本だと言いました。

ですので、免疫系を理解する第一歩として、異物を認識して排除する免疫系の仕組みを見てみましょう。

 

2.ふたつの免疫 ―自然免疫と獲得免疫―

 

麻疹(はしか)にかかったら二度とかからない「二度なし現象」については、皆さんよくご存じでしょう?

この時に、よく「抗体ができた」などといいます。

 

予防接種のお陰で、その病気にならずに済んだら、「抗体ができたからだ」という風に言われます。

 

この抗体という物質(タンパク質ですが)は、免疫系の非常に強力な武器で、特定の異物をロックオンして狙い撃ちするミサイルのようなもので、私たちの体を守る上で非常に重要な存在です。

 

でも、初めての感染の時は、この抗体を作るのに時間がかかります。何日もかかります。

ですから、病原体を撃退するのに時間がかかって、それが麻疹ウイルスだったなら「はしか」という病気になるのです。

 

ところが、一度はしかになって抗体ができたら、その敵の正体を憶えていて、二度目の感染の時は迅速に抗体を作り、病気になる前にウイルスを撃退します。

これが「二度なし現象」です。

 

この、一度異物と遭遇して敵の正体を憶えることによって獲得する免疫を、「獲得免疫」と言います。

 

逆に言うと、初めての感染の時には、獲得免疫を頼ることはできないわけです。

その場合には元から備わっている免疫というのがあって、これで対抗します。

この元から自然に備わった免疫「自然免疫」といいます。

 

我々の免疫系は、「自然免疫」と「獲得免疫」の二段構えになっています。

 

3.免疫系の全体の仕組み

 

下のイラストに免疫系の大体の仕組みを図式化しました。全体像を見ていきましょう。

 

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異物(免疫系によって認識される異物を「抗原」と呼びます)が体内に侵入したとします。①

まずは、自然免疫の出番です。

 

自然免疫の細胞には、マクロファージや樹状細胞、好中球などの「貪食(どんしょく)細胞」と呼ばれる、文字通り、異物を食べる細胞があります。②

 

特にマクロファージは大喰らいで、異物なら何でも手当たり次第に食べてしまう食いしん坊(バンザイ)です。

 

下の写真は、培養しているマクロファージにポリスチレンの小さな玉(ビーズ)を入れてみたところです。

 

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なんと、長~い触手を伸ばしてビーズを捕まえ、食べてしまいます。

こんな、細胞内で消化できないようなものまで見境なく食べてしまうほど、マクロファージは食いしん坊です(笑)。

異物侵入の初期では、このマクロファージが大活躍です。

 

また、樹状細胞という細胞も異物を食べます。

この細胞は、食べた異物を細胞の中で分解して、分解してできた異物の破片を細胞の表面に出します。

そして、ヘルパーT細胞という獲得免疫の細胞にくっつきます。

 

くっついて何をするかというと、異物(抗原)の破片を、ヘルパーT細胞という獲得免疫の細胞に示して、敵の特徴を伝えます(これを「抗原提示」といいます)。

抗原提示を受けたヘルパーT細胞は、敵の情報を知り、免疫系でどのように敵と戦えばいいのかを判断します。

 

たとえてみれば、ヘルパーT細胞というのは、免疫系の「コールセンター」みたいなものですね。

 

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異物を食べて活性化した樹状細胞はたくさんの突起を出す

ヘルパーT細胞にくっついて抗原提示をしているの図

 

例えば皆さん、何か事故があったとき119番に電話しますね。

そしたら、救急のコールセンターのオペレーターが言います。「火事ですか? 救急車ですか?」

オペレーターは、通報の内容から何が起こったのかを知り、どのように対処すればいいかを判断して、怪我人がいるなら、現場に近い消防署から救急車を出動させるよう要請します。

 

このたとえの様に、ヘルパーT細胞は、樹状細胞から侵入者の情報を得て状況を知り、獲得免疫でどのように戦えばいいのかを判断し、異物と戦う獲得免疫の細胞に出撃要請を出すわけです。③から④または⑥

 

4.2種類の獲得免疫

 

ヘルパーT細胞の指令によって出動する獲得免疫には2種類あります。

それは細胞性免疫と液性免疫です。

 

細胞性免疫は、リンパ球の一種であり、攻撃力を持つキラーT細胞という細胞が主に働くため、「細胞性免疫」と呼ばれます。

 

液性免疫では、B細胞というリンパ球が、ミサイルタンパクである「抗体」をたくさん作り出して、この抗体ミサイルが異物にロックオンして攻撃を行います。

この抗体というのはタンパク質であり、血液中や体液中に溶けて存在しており、液体の状態で働く免疫ですので、「液性免疫」と呼ばれます。

 

この2つの獲得免疫、分担はどうなっているかというと、大雑把に言えば、がん細胞やウイルス感染細胞のように問題を抱えた細胞を攻撃するのが細胞性免疫で、細菌や(細胞に感染していない)ウイルスなどの病原体や毒素など、外からやってきた異物に対応するのが抗体です。

(あくまで、大雑把な役割分担です)

 

コールセンターのオペレーターであるヘルパーT細胞は、単なるオペレーターではありません。

敵の種類から、細胞性免疫と液性免疫をどのような割合で出動させるのかを判断しているのです。

賢いですよね~!

ですから、ヘルパーT細胞はよく、「免疫系の司令塔」と呼ばれます。

 

5.免疫系の司令塔

 

ここまで免疫系の仕組みを見てみると、免疫の司令塔であるヘルパーT細胞が非常に重要な働きを担っていることが分かるでしょう。

 

この司令塔に何かトラブルがあると、細胞性免疫と液性免疫の両方の獲得免疫が正常に働かなくなることがお分かり頂けますよね。

 

ヘルパーT細胞は、がん細胞やウイルス感染細胞に対する攻撃にも、細菌やその他の異物の排除にも、自己免疫疾患やアレルギーの抑制にも、AIDS発症にも深く関わっている非常に重要な細胞なのです。

前にお話した制御性T細胞(Treg)の働きも、このヘルパーT細胞と大いに関連があります。

 

今回の話では是非、免疫系におけるヘルパーT細胞の重要性について憶えておいて頂ければと思います。

その上で次回は、ヘルパーT細胞を中心に、免疫と病気の関係についてお話していきます。

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

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大変励みになります。

 

 

018【便移植から腸内細菌を考える】

① 期待が大きすぎ? 便移植は究極の治療法ではない!

② 便移植の課題・問題点

③ つまり、いい腸内フローラをキープしましょうということ

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

私の好きな食べ物で一番体に悪いものといえば、圧倒的に「ラーメン」でしょうね(笑)

それも油こってり、「横浜家系ラーメン」最高です(イェイ!)

今日もラーメン食べてしまいました(涙)

ラーメン家に入る前にはいつも、店の前で「お前は自分の寿命を縮めてまでも、本当に今、このラーメンが食べたいのか?」「もう一度聞くでェ。ホンマにか?」と自問しています。

そして、答えはいつも「Yes」です(当然やろ!)

 

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前回、制御性T細胞のお話をして、これから免疫の本道に突入しようかと意気込んでいたのですが、前回017の最後の方で少しだけ触れた「今話題の便移植」のことが気になって仕方がありません。

「今話題」というのは、「すごく期待されている」とかっていう誤解を与えたのではないかと心配になりました。

 

私が便移植に触れた真意は、実は「腸内細菌の重要性」を訴えたかったからです。

今回は、大事な腸内細菌のお話をします。

 

① 期待が大きすぎ? 便移植は究極の治療法ではない!

 

通称「便移植」といいますが、別にウンコそのものを移植しようということじゃぁありませんので、御安心下さい。

ネットをあれこれ見ていると、千葉大学は「糞便移植療法」(やっぱウンコを移植するように聞こえるなぁ)とか、ウィキでは「便微生物移植」(ウン、これなら誤解を与えなさそう)と表現されています。

わたし的には「他家腸内微生物移植」と呼びたいです。どうです? すこしはキレイに聞こえませんか?

 

実際には、健康な人の便を採取し、これを生理食塩水に懸濁して、ろ過して固形物を除いたものを大腸内視鏡を使って患者の大腸内に注入します。

 

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移植により、病気の人の悪い腸内フローラを健康な人のいい腸内フローラに置き換えることで病気が治る、あるいは症状を改善するというものです。(厳密にいうと置き換えられないのですが、その話はあとで)

 

実際、効果があって、潰瘍性大腸炎とかクローン病とか、厚生労働省から「特定疾患」に指定されている自己免疫疾患の難病が劇的に良くなるという症例がたくさん報告されています。

そう言う報告だけを見ると、誰にでも効くような印象を持つのも無理からぬこと。。。

 

便移植が一般の人に広く知られるようになったのは、2015年2月に放送されたNHKスペシャル「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」がひとつのキッカケでしょうね。

https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20150222

決して番組批判ではありませんが(実際、いい番組だったと思います)、あの番組では、患者さんやその関係者に過度の期待を与えてしまったような気がします。

あたかも便移植が究極の治療法だと。。。

 

制作側の意図は、恐らくは「腸内細菌の驚異のパワー」を伝えたかったのだと思いますが、便移植で潰瘍性大腸炎が治るという部分が余りにもインパクトが強かったです。

 

便移植は欧米では盛んですが、日本では実施医療機関順天堂大学、慶応大学、千葉大学、滋賀医科大学など)はまだ少なく、費用も1回100万円程度かかります(もちろん保険効きません)。

私たち庶民には、そんなにホイホイとはできませんね。

でも、難病が完治するなら安いものかもしれません。

 

しかし、ひとつ冷静に考えてみましょう。

 

② 便移植の課題・問題点

 

どうも、便移植で難病が(皆、誰でも)「完治」するような誤解を与える報道が多いですねぇ。

実際、「便移植 問題点」でググってみても、便移植の問題点を明確に指摘しているサイトには、お目にかかれませんでした。

 

ですので、これから私が言う便移植の問題点というのは、あくまで本ブログ限定の私の私見だということをご了承下さい。

 

2015年のこのような論文があります。

Gastroenterologyという、消化器系では権威のある学術雑誌です。

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潰瘍性大腸炎(我が国では厚労省により特定疾患に指定された難病です)の患者38人に、複数の健康な人の便(正確には糞便微生物)を移植しました。

なんと、著効率はたったの24%(9人)です。

費用の安くない便移植ですが、効くか効かないか、やってみないと分からない訳です。

(「効かなかったら100%返金保障」ならやってもいいかもですね)

 

ただし、発病後1年以内であれば75%に効果ありです。

 

また、便の提供者は健康であれば誰でもいいという訳ではなく、効果のある便の主は特定の人だと言います。

つまり、効果のある便の安定供給のためには、効果のある便の提供者を見つけ出し、確保しなければならないという問題があります。

逆に言うと、それが確保できると、著効率は上がるということではあります。

 

私が思う便移植の最大の問題点は、近年始まった療法だけに、長期的な持続効果について、データが不足していることです。

便移植でいい腸内フローラを恒久的に構築できるのか? という問題です。

 結論に至るには、もうしばらく臨床での長期観察データの蓄積が不可欠です。

 

③ つまり、自分なりのベストな腸内フローラをキープしましょうということ

 

要するに、腸内細菌が病気と健康に深く関わっているということは間違いありません。

 

腸内フローラは、食事や休息、運動などの生活習慣の影響を受け、短時間で良くも悪くも変化します。

暴飲暴食だけで簡単に変わります。

 

また、腸内フローラは人それぞれ異なり、10人いれば10通りの個性があります。

 

腸内フローラは子供の時に決まってしまい、大人になってから乳酸菌とかビフィズス菌とか飲んでも、変わるというものではありません。

ただ、一時的な効果はありますので、効果の継続を期待するなら飲み続けることです。

 

腸には「腸管免疫」という特有の免疫系があり、取り込むべき菌と取り込まない菌を選択しています。

一度要らない菌と決まると、いくらいい菌でも取り込んでくれません。

それが免疫というものです。

そして、その取捨選択が決まるのは子供の間で、乳幼児期の食事や生活環境などの影響を大いに受けるのです。

 

前にお話した通り、子供のころに過度に清潔な環境を与えることで、好ましくない腸内フローラが出来上がり、その腸内フローラが免疫系を不健全にします。

takyamamoto.hatenablog.com

たとえば、制御性T細胞が育たず、アレルギー性疾患になる一因となります。

潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患も然りですね。

 

いい腸内フローラと健全な免疫。お互いに影響し合っています。

 

「腸内フローラは一生変わらない」と言っておきながらなんですが、腸内フローラは結構短期間で劇的に変わります。

はぁ、何言ってんの?

いや、本ブログ005では、たった2週間の食事の変更で、劇的に腸内環境が変わることをお伝えしましたね。

takyamamoto.hatenablog.com

 

「変わらない」というのは「決して他人のような腸内フローラに変更することはできない」という意味であり、不摂生で悪い方向には簡単に変わってしまいます。

 

つまり、人それぞれにベストな腸内フローラというのがあり、そのベストな状態をキープするために生活習慣を考える必要があります。

食事、運動、休息、飲酒、喫煙、これらの見直しですね。

 

そして、またまた出ました「βグルカン」。

 

βグルカンは小腸で免疫細胞と出会い、免疫系を調整してくれます。

βグルカンを飲んでると、大腸炎のマウスでTregが増えて、症状を改善するという論文もあります。

 

そして、小腸から大腸に達したβグルカンは、良い菌の餌になって、良い菌を育て、腸内フローラを良好な状態に保ってくれます。

 

腸内フローラと免疫は緊密に連携していますが、βグルカンはその両方に直接的に働きかけてくれます。

まさに「最強」です。

 

しかし、βグルカンの効果も一時的なものです。

ですから、継続して摂取しなければなりません。

 

私の場合、以前は(子供のころから)慢性的な軟便(ほとんど水様性)でしたが、βグルカン摂取3ヶ月後くらいで改善しました。

なによりも今は便が全く臭くないのです。

これは腸内フローラが改善した明確な証拠です。

(あくまで個人の感想です)

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご感想やご意見、ご批判をコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

017【自己免疫疾患と制御性T細胞】

1.「自己免疫疾患」って?

2.制御性T細胞(Treg; ティーレグ)って?

3.Tregの働き

4.病気と免疫とβグルカン

 

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1.「自己免疫疾患」って?

 

免疫は本来、異物を認識し、排除するシステムとして定義されました。

だから、免疫をパワーアップするβグルカンが、がんや感染症に効果があるというのは理解できると思います。

 

でも、βグルカンは、リウマチなどの自己免疫疾患にも有効であることが示されています。

異常な免疫反応による自己免疫疾患に、免疫力を増強するβグルカンが効くなんて、すっごく矛盾しているように思えますね。

 

自己と非自己(異物)の認識。これが免疫系の基本です。

本来、免疫系は自己を攻撃しないものです。

 

でも、何らかの原因で免疫系の制御が狂うと、自己を攻撃する免疫細胞が活動しはじめます。

それが「自己免疫疾患」です。

 

主な自己免疫疾患

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代表的な自己免疫疾患は、なんと言っても関節リウマチでしょう。

リウマチでは、攻撃型のT細胞という免疫細胞が自分の関節の滑膜(かつまく)という組織を攻撃し、炎症、変形する病気です。

 

リウマチに次いで患者が多いのがSLE(全身性エリテマトーデス)で、これはいろんな臓器が攻撃を受けます。

 

若い男性に多いクローン病では、口から肛門までの消化器がやられるため、激しい下痢で、常にトイレの場所をチェックしていないと、外出もままならないと言います。

 

ゴルゴ13の持病として有名なギラン・バレー症候群は運動神経が侵されるため、運動機能に障害が出ます。

 

以前は、なぜ自分の組織や細胞を攻撃する免疫細胞が存在するのか謎でした。

しかし、1995年に坂口志文(しもん)先生が、免疫を抑える機能を持つ制御性T細胞(Treg; ティーレグ)を発見されてから、なぞが解明されました。

 

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 坂口志文 大阪大学教授

 

2.制御性T細胞(Treg)って?

 

下の図を見て下さい。

(少し難しい話になりますので、2は飛ばして読んで下さっても結構です。免疫反応を抑える細胞である「Treg」という言葉だけは覚えて下さいね)

 

 

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以下が坂口先生らが行った画期的な実験です。

 

普通のマウスからT細胞という種類のリンパ球を採ってきます。

このリンパ球をヌードマウスという毛のないマウスに移植します。

その結果どうなるか?

何も起こりません。(なんじゃ、そりゃ?)

 

次に、普通のマウスのT細胞全体から、ある種類のT細胞を取り除きます。

そして、除いた後のT細胞をヌードマウスに移植します。

そうすると、様々な自己免疫疾患を発症するのです。

T細胞の提供元のマウスは健康なマウスです。なのになぜ自己免疫疾患に??

 

ヌードマウス(文字通り、毛のない裸のマウス)というのは、免疫系に異常のあるマウスで、T細胞を持っていません。

T細胞がないので、自己反応性T細胞による自己免疫疾患には絶対ならないのです。

なのになぜ、健康なマウスのT細胞を移植することで自己免疫疾患になるのか?

 

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ヌードマウスは胸腺がないので、成熟T細胞が育たない。成熟T細胞がないので、抗体も作れない。

 

初めの実験では、全部のT細胞を移植して、何も起きませんでした。

次の実験で、ある種のT細胞を除いたところ、自己免疫疾患になりました。

このことから導き出される推論は、

「健康なマウスも、元々自己反応性T細胞を持っている。そして、自己反応性T細胞の働きを止めるある種のT細胞もある。だから、後者を取り除くと、自己反応性T細胞を抑えられなくなり、移植されたヌードマウスは自己免疫疾患になる」です。

 

今では、誰でも(健康な人でも)自己反応性の免疫細胞を持っていることが分かっています。

それでも自己免疫疾患にならないのは、Tregが自己反応性免疫細胞の働きを抑えてくれているからです。

自己免疫疾患の人は、何らかの理由でTregが上手く機能していないのですね。

 

坂口先生はTreg発見の功績で、毎年ノーベル賞候補になっていますね。

それだけ重大な発見でした。

早く受賞して頂きたいです。

 

3.Tregの働き

 

Tregは必要な時に働いて、好ましくない免疫反応を抑えます。

 

好ましくない免疫反応といえば、アレルギー性疾患なんかもそうです。

アレルギー性疾患は、花粉とか、食材なら蕎麦とかピーナッツとか、本来は無害なため、免疫系が反応してはいけないものにまで過剰反応することによります。

Tregがしっかり働いてくれると、この過剰な反応を抑えてくれるので、アレルギーにならずに済みます。

実際、アレルギー疾患の人は、Tregの数が少ないことが知られています。

 

Tregは、驚いたところでは、流産の抑制に働いています。

 

受精卵や胎児は母体にとって異物です(DNAの半分は父親のものなのですから)。

ですので、免疫系がこれを排除しようとします。

これでは流産してしまいます。

そこで、Tregが免疫系による受精卵や胎児への攻撃をブロックしているのです。

実際、妊娠動物ではTregの数が増え、多くが子宮に集まっていることが分かっています。

 

不妊治療をしても、なかなか妊娠しないとか、何度も流産しているとかいう女性がおられますが、このような女性の中にはTregの働きの悪い人がいるのかも知れません。

 

長い間、不妊治療を受けているのに全然妊娠しない。

精子の機能や排卵に問題はなく、お医者さんにも原因が解らない。

そのような人の中には、実はちゃんと受精はしているのに、免疫系の攻撃によって、本人も気が付かない間に流産していたという例があるのかもせれません。

 

簡単かつ効率よくTregを増やす方法が確立すれば、不妊で悩む多くの女性への福音になるかもしれません。

いや、不妊だけでなく、自己免疫疾患やアレルギー性疾患も同じです。

 

実は、比較的簡単にTregの働きを良くし、実際に難病の自己免疫疾患で高い効果を上げている方法があります。

それは「便移植」です。

ウンコを移植だって??(いま話題ですよー)

いずれお話します。

 

あっ、それから、もっと簡単な方法は「βグルカン」です。

 

4.病気と免疫とβグルカン

 

現在では、「免疫」なしでは病気について考えることはできません。

糖尿病や動脈硬化など、「免疫と関係ないんじゃないの?」なんていう病気も、実は免疫と切り離して考えることはできないのです。

 

がんや感染症、自己免疫疾患やアレルギー、生活習慣病、それから心の病気に至るまで、これらは互いに全然違う病気のように思えて、実は根幹には「免疫系の制御の破たん」という問題が潜んでいます。

 

少しでも健康問題に関心のある方は、是非、日頃から免疫の情報をチェックしてみて下さい。

 

かつてβグルカンは、免疫力をパワーアップする「免疫賦活剤」だと考えられていましたが、免疫を強めるだけではない作用のあることが分かってきて、むしろ「免疫調整剤」と言った方が正確でしょう。

「調整剤」と捉えることによって、なぜβグルカンが様々な疾患に対して効果を示すのかが理解できるようになります。

 

今回も最後まで読み下さり、ありがとう御座います。

 

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