① 期待が大きすぎ? 便移植は究極の治療法ではない!
② 便移植の課題・問題点
③ つまり、いい腸内フローラをキープしましょうということ
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私の好きな食べ物で一番体に悪いものといえば、圧倒的に「ラーメン」でしょうね(笑)
それも油こってり、「横浜家系ラーメン」最高です(イェイ!)
今日もラーメン食べてしまいました(涙)
ラーメン家に入る前にはいつも、店の前で「お前は自分の寿命を縮めてまでも、本当に今、このラーメンが食べたいのか?」「もう一度聞くでェ。ホンマにか?」と自問しています。
そして、答えはいつも「Yes」です(当然やろ!)
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前回、制御性T細胞のお話をして、これから免疫の本道に突入しようかと意気込んでいたのですが、前回017の最後の方で少しだけ触れた「今話題の便移植」のことが気になって仕方がありません。
「今話題」というのは、「すごく期待されている」とかっていう誤解を与えたのではないかと心配になりました。
私が便移植に触れた真意は、実は「腸内細菌の重要性」を訴えたかったからです。
今回は、大事な腸内細菌のお話をします。
① 期待が大きすぎ? 便移植は究極の治療法ではない!
通称「便移植」といいますが、別にウンコそのものを移植しようということじゃぁありませんので、御安心下さい。
ネットをあれこれ見ていると、千葉大学は「糞便移植療法」(やっぱウンコを移植するように聞こえるなぁ)とか、ウィキでは「便微生物移植」(ウン、これなら誤解を与えなさそう)と表現されています。
わたし的には「他家腸内微生物移植」と呼びたいです。どうです? すこしはキレイに聞こえませんか?
実際には、健康な人の便を採取し、これを生理食塩水に懸濁して、ろ過して固形物を除いたものを大腸内視鏡を使って患者の大腸内に注入します。
移植により、病気の人の悪い腸内フローラを健康な人のいい腸内フローラに置き換えることで病気が治る、あるいは症状を改善するというものです。(厳密にいうと置き換えられないのですが、その話はあとで)
実際、効果があって、潰瘍性大腸炎とかクローン病とか、厚生労働省から「特定疾患」に指定されている自己免疫疾患の難病が劇的に良くなるという症例がたくさん報告されています。
そう言う報告だけを見ると、誰にでも効くような印象を持つのも無理からぬこと。。。
便移植が一般の人に広く知られるようになったのは、2015年2月に放送されたNHKスペシャル「腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」がひとつのキッカケでしょうね。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20150222
決して番組批判ではありませんが(実際、いい番組だったと思います)、あの番組では、患者さんやその関係者に過度の期待を与えてしまったような気がします。
あたかも便移植が究極の治療法だと。。。
制作側の意図は、恐らくは「腸内細菌の驚異のパワー」を伝えたかったのだと思いますが、便移植で潰瘍性大腸炎が治るという部分が余りにもインパクトが強かったです。
便移植は欧米では盛んですが、日本では実施医療機関(順天堂大学、慶応大学、千葉大学、滋賀医科大学など)はまだ少なく、費用も1回100万円程度かかります(もちろん保険効きません)。
私たち庶民には、そんなにホイホイとはできませんね。
でも、難病が完治するなら安いものかもしれません。
しかし、ひとつ冷静に考えてみましょう。
② 便移植の課題・問題点
どうも、便移植で難病が(皆、誰でも)「完治」するような誤解を与える報道が多いですねぇ。
実際、「便移植 問題点」でググってみても、便移植の問題点を明確に指摘しているサイトには、お目にかかれませんでした。
ですので、これから私が言う便移植の問題点というのは、あくまで本ブログ限定の私の私見だということをご了承下さい。
2015年のこのような論文があります。
Gastroenterologyという、消化器系では権威のある学術雑誌です。
潰瘍性大腸炎(我が国では厚労省により特定疾患に指定された難病です)の患者38人に、複数の健康な人の便(正確には糞便微生物)を移植しました。
なんと、著効率はたったの24%(9人)です。
費用の安くない便移植ですが、効くか効かないか、やってみないと分からない訳です。
(「効かなかったら100%返金保障」ならやってもいいかもですね)
ただし、発病後1年以内であれば75%に効果ありです。
また、便の提供者は健康であれば誰でもいいという訳ではなく、効果のある便の主は特定の人だと言います。
つまり、効果のある便の安定供給のためには、効果のある便の提供者を見つけ出し、確保しなければならないという問題があります。
逆に言うと、それが確保できると、著効率は上がるということではあります。
私が思う便移植の最大の問題点は、近年始まった療法だけに、長期的な持続効果について、データが不足していることです。
便移植でいい腸内フローラを恒久的に構築できるのか? という問題です。
結論に至るには、もうしばらく臨床での長期観察データの蓄積が不可欠です。
③ つまり、自分なりのベストな腸内フローラをキープしましょうということ
要するに、腸内細菌が病気と健康に深く関わっているということは間違いありません。
腸内フローラは、食事や休息、運動などの生活習慣の影響を受け、短時間で良くも悪くも変化します。
暴飲暴食だけで簡単に変わります。
また、腸内フローラは人それぞれ異なり、10人いれば10通りの個性があります。
腸内フローラは子供の時に決まってしまい、大人になってから乳酸菌とかビフィズス菌とか飲んでも、変わるというものではありません。
ただ、一時的な効果はありますので、効果の継続を期待するなら飲み続けることです。
腸には「腸管免疫」という特有の免疫系があり、取り込むべき菌と取り込まない菌を選択しています。
一度要らない菌と決まると、いくらいい菌でも取り込んでくれません。
それが免疫というものです。
そして、その取捨選択が決まるのは子供の間で、乳幼児期の食事や生活環境などの影響を大いに受けるのです。
前にお話した通り、子供のころに過度に清潔な環境を与えることで、好ましくない腸内フローラが出来上がり、その腸内フローラが免疫系を不健全にします。
たとえば、制御性T細胞が育たず、アレルギー性疾患になる一因となります。
潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患も然りですね。
いい腸内フローラと健全な免疫。お互いに影響し合っています。
「腸内フローラは一生変わらない」と言っておきながらなんですが、腸内フローラは結構短期間で劇的に変わります。
はぁ、何言ってんの?
いや、本ブログ005では、たった2週間の食事の変更で、劇的に腸内環境が変わることをお伝えしましたね。
「変わらない」というのは「決して他人のような腸内フローラに変更することはできない」という意味であり、不摂生で悪い方向には簡単に変わってしまいます。
つまり、人それぞれにベストな腸内フローラというのがあり、そのベストな状態をキープするために生活習慣を考える必要があります。
食事、運動、休息、飲酒、喫煙、これらの見直しですね。
そして、またまた出ました「βグルカン」。
βグルカンは小腸で免疫細胞と出会い、免疫系を調整してくれます。
βグルカンを飲んでると、大腸炎のマウスでTregが増えて、症状を改善するという論文もあります。
そして、小腸から大腸に達したβグルカンは、良い菌の餌になって、良い菌を育て、腸内フローラを良好な状態に保ってくれます。
腸内フローラと免疫は緊密に連携していますが、βグルカンはその両方に直接的に働きかけてくれます。
まさに「最強」です。
しかし、βグルカンの効果も一時的なものです。
ですから、継続して摂取しなければなりません。
私の場合、以前は(子供のころから)慢性的な軟便(ほとんど水様性)でしたが、βグルカン摂取3ヶ月後くらいで改善しました。
なによりも今は便が全く臭くないのです。
これは腸内フローラが改善した明確な証拠です。
(あくまで個人の感想です)
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。
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