Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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線虫検査で「がんのリスクあり」と判定されたら病院に行くべきか?【002】その健康・医学情報、信じていいの?

目次:

  1. 「陽性判定」でも、必ずしもがんが見つかる訳ではない
  2. どこにがんがあるのか分からない検査が人の役に立つのか?
  3. がんが見つからなかった方が、損失が大きいって話

 

前回の記事はこちらから↓↓

takyamamoto.hatenablog.com

 

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1. 「陽性判定」でも、必ずしもがんが見つかる訳ではない

 

「1滴の尿で、全身の23種類のがんのリスクが一度で分かる」と謳う「線虫がんリスク検査サービスX」。
この検査サービスに関心のある人でも、「本当に当たるのだろうか?」「この検査を定期的に受けていれば、安心できるのだろうか?」との疑念を抱くに違いない。
あるいは、「この検査を受けていれば、従来のがん検診を受ける必要はないのでは?」と考える人もいるかもしれない。
本当にそうなのだろうか?
この線虫検査の結果が陽性(がんのリスクあり)の判定だった場合に、多くの人が思うのは、「本当にがんに罹っているのだろうか?」ということだろう。
とても心配で、不安でたまらないに違いない。

検査の結果が陽性(がんのリスクあり)だった場合に、本当にがんが見つかる確率を「陽性的中率」という。
たとえば、がん検診の検査が陽性だった人が100人いたとして、そのうちの90人にがんが見つかった場合、陽性的中率は90%となる。
残りの10人はというと、陽性判定でありながら精密検査を行っても、がんが見つからないということだ。
このように、病気ではないのに陽性という誤った検査結果が出てしまうことは、がんの検査に限らず、多くの臨床検査で普通にあることで、これを「偽陽性(ぎようせい)」という。
陽性的中率が低い、つまり擬陽性が多いということは、病気でない人に余剰な検査を行うことになり、大変な無駄と損失が生じるのである。

一方で、検査結果が陰性(がんのリスクなし)の人たちで、本当にがんではないと確認される人の確率を「陰性的中率」という。
がん検診の結果が陰性だった人が100人いて、そのうちの90人が本当にがんではないと確認された場合、陰性的中率は90%になる。
残りの10人は、検査の判定結果が陰性でありながら、よくよく調べてみたら、がんが見つかったということだ。
これは「偽陰性(ぎいんせい)」と呼ばれ、その検査で病気を見逃してしまう確率が10%もあることを示している。
特に無症状期間が長く続く場合、この偽陰性の人たちは病気の発見が遅れる可能性が高いのである。
陰性的中率が低い、つまり偽陰性が多いということは、病気の人を漏れなく見つけ出すことを目的としているスクリーニング検査法としては非常に問題があるため、検査法の改良・改善が求められることになるのだ。

 スクリーニング検査:集団を対象に、病気の可能性のある人を見つけ出す「ふるい分け」の検査。病気の疑いのある者をあぶり出し、詳しく調べて病気を確定することで、早期発見・早期治療につなげるのが目的。

もうお分かりだと思うが、偽陽性や偽陰性が多いことは好ましくないことである。
陽性的中率/陰性的中率ともに100%であることが理想ではあるが、多くの臨床検査法において、高い陽性的中率と高い陰性的中率とを両立させることは、非常に難しいのである。

以上の「陽性的中率」「陰性的中率」、そして「偽陽性」「偽陰性」という言葉と、その意味するところについては、是非とも覚えておいていただきたい。
これらを覚えておくと、あなたが受ける、あるいは受けようとしている検査の目的や診断精度についての理解が格段に深まり、正しい判断を行うのに非常に役に立つことだろう。

2.どこにがんがあるのか分からない検査が人の役に立つのか?

 

陽性的中率が低い(偽陽性が多い)と、がんがないのに不要な追加検査を受けねばならず、本人には身体的・精神的なストレスがかかり、不要な医療費を浪費することにもなる。
一方で、陰性的中率が低い(偽陰性が多い)と、その検査で多くのがんの人を見逃してしまい、本来の目的である早期発見の役に立たないのだ。

「線虫がんリスク検査サービスX」は、がんを見つけることを目的とした検査法として国の認可を得ていない。
この線虫検査サービスXの最大の問題点としては、「陽性的中率と陰性的中率の実証がまったく不十分」だと多くの専門家から指摘されていることだ。
実際、関連の学会においては、「我々の医療機関で検証した結果では、臨床での有用性を示唆するエビデンスは得られなかった」と報告する医師や医学研究者は多い。
こんな状況だから、この検査は当然、国からの認可を得られるはずもないのだ。

そして、もう一つの問題点は、この検査で陽性判定が出たとして、体のどこにがんがあるのか、まったく分からないということだ。
これは、まことに大問題なのである!

 

患者「先生、体のどこかにがんがあるに違いありません。がんが見つかるまで徹底的に調べてください」
医師「調べろたって、どこにがんがあるのか分からないんじゃねぇ・・・・」
患者「お金はいくらかかっても構いません。それで早期発見できれば安いものです」
医師「安いつったって、保険利きませんよ。自治体の検診で陽性だったのとは違うので、全額実費になりますけど・・・・」
患者「えっ、実費? 保険利かないって? なんで?」

 

一般のがん検診でも、陽性判定にも関わらず、がんが見つからないこと、つまり偽陽性はよくあることだ。
だが、大腸がん検診で陽性判定だったなら大腸を詳しく調べ、肺がん検診で陽性だったなら肺を詳しく調べればよい。それでシロクロをハッキリさせられる。
ところが、どこにがんがあるのかがサッパリ分からないのなら、一体どこから手を付ければいいというのか?

それでも、線虫検査Xで陽性判定となったからには、「あらゆる検査をし尽くしてでもがんを見つけて欲しい」、あるいは「がんでないことを確定して、安心したい」と思う人は多いだろう。
CTやMRI、PETなどの高額な画像診断法による検査を、全額実費を払ってでも受けることを望む人もいることだろう。

どこにあるのか、本当にあるのかも分からないがんを探すことの問題は、カネと時間を要することだけではない。
あるのかどうかすらも分からないがんを見つけるための検査を受けるとなると、短期間にかなりの量の放射線被ばくを受けることになる可能性があるのだ。
これは被験者にとって、非常にリスクが高いことである。将来の発がんリスクを高める行為であると言えるぐらいだ。
だとすれば、この人のやっていること(がんを見つけるために、進んでCTやPET検査で被ばくすることをいとわないこと)は本末転倒なようにも思える。

肺がん検診(胸部X線検査)で被ばくする線量など、何ほどのこともない。
毎年一回、繰り返し検査を受けても、健康には何の問題もないと証明されている。
だが、CTやPET、PETとCTを組み合わせたPET-CT検査による被ばく線量は、通常のX線検査と比べると桁違いに大きいのだ(下表)。

 

表.画像診断検査の1回当たりの被ばく線量(目安量)(ChatGTP作成を筆者改変)

 

比較的被曝線量の高い、これらの画像診断検査は、必要以上に頻繁に行うものではない。
被爆によってもたらされるリスクよりも、検査によって得られるベネフィットの方が大きいと判断されるときに実施されるべきである。
そして、その判断を行うのは、もちろん医師だ。

訳の分からん民間の検査サービスで陽性判定が出たからということで、「実費を支払いますから、CTでもPETでもなんでもやって、必ずがんを見つけてください」と言われても、「はい、分かりました。なんぼでもやりましょう」という訳にはいかないのだ。
これは、カネを支払えば解決するという問題ではない。
あるのかどうかも分からない病気を調べるために、被験者に無視できない健康上の不利益をもたらす可能性があるという、より深刻な問題なのだ。

そもそも、「X線検査は被ばくが怖いから、検診は受けたくない。尿検査ですべて分かるなら、そっちがいい」と、肺がん検診を忌避した人が、「がんがあるに違いないから、CTでもPETでも、何でも検査してください」と医師に泣きつくとすれば、これはもう、笑える話ではないか。

 

3.がんが見つからなかった方が、損失が大きいって話

 

そして一体全体、どこまで検査し尽くしたら、「がんがなくて良かった」と確信し、安心できるのだろう?
そう確信するに至るまで、モヤモヤした不安な気持ちで日々を過ごさなければならない。
さらに、本人にもたらす不利益としては、種々の辛い検査に耐え、膨大な時間を費やした挙句に、莫大な検査費用を支払わされることだ。
取り越し苦労代としては、あまりに高すぎる。

こんなのが本当に人の役に立つ検査だと言えるのだろうか?
まあ、その判断は人それぞれだろう。
金持ちはいいよ。
だが、暇もカネもない庶民には無理だ!

様々な検査をやり尽くした結果、無事にがんが見つかればいいだろう(がんが見つかって、「無事」というのも変な話だが)。
「早く見つかって良かった」と喜べばいい。
その後は治療に専念すればいいのだから。

だが、時間を奪われ、辛い検査に耐え、不安に苛まれ、高い検査代を支払わされた挙句にがんが見つからなかったら、

①  「がんじゃなくて良かった」と喜ぶ
②  「時間とカネを返せ!」と怒る

あなたはどっちだ?

病気の診断や病状把握を目的に実施される臨床検査というのは、「陽性判定出た。何の症状もないけど、どこかが悪いはずだ。どこかは知らんけど」では役に立たないのだ。
特に、多くの一般大衆に対して行う検査、すなわち集団で行う健診や検診では役に立たないどころか、弊害が多いだろう。
もし、多くの偽陽性者が病院に押しかけたらどうなる? 病院はパニックだ。
非効率である以上に、非現実的だ。

 体全体の健康状態を把握して病気のリスクを総合的にチェックするのが「健診(健康診断/健康診査)」。がんなどの特定の病気を早期発見・早期治療することを目的として検査を行うのが「検診」。

線虫検査サービスXで陽性判定が出た場合、どこにあるのか分からないがんを見つけるために、あまりにも多くの追加検査を行わなければならず、そして、ついにがんを見つけることができず、「がんではない」との結論に至ったなら、それまでに行ったすべての検査が、本来は無用であったということになる。
これもまた、極めて非効率であり、非現実的だ。

医療現場では、人にも設備にも限りがある。つまり、医療施設の受け入れキャパには限りがあるのだ。
線虫検査の偽陽性者が病院に殺到し、医療施設において無用で非効率な検査が行われるということは、直ちに適切な医療を必要としている人たちから、重要な医療のリソースを奪い去ることにもなるのである。

線虫検査サービスXで陽性判定が出た場合、がんが見つかった時のメリットよりもむしろ、がんが見つからなかった時の損失があまりに大きいという話だ。

 

今回の振り返り:
・線虫がんリスク検査サービスXをはじめ、民間企業が一般消費者を対象にして実施している検査サービスのほとんどが国の認可を受けておらず、その診断性能(信頼性・再現性)の実証は十分とは言えない可能性がある。
・検査法の診断性能が低いということは、その検査には下表のような問題点があるということを知っておこう。

表.診断性能が低い検査法の罪

・「どうやら病気があるらしいが、どのような病気が、どこにあるのかは分からない」というような検査は、臨床(医療現場)においては役に立たないことを覚えておこう。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます。次回もどうぞお楽しみに。

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尿で判定する「がんリスク検査」って役に立つの?【001】その健康・医学情報、信じていいの?

目次:

  1. 検診ですべてのがんが分かる訳ではない
  2. 苦痛のない検査が理想的ではあるが・・・・
  3. 線虫が尿中のがんの臭いを嗅ぎ分ける??

 

前回の記事はこちらから↓↓

takyamamoto.hatenablog.com

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1.検診ですべてのがんが分かる訳ではない


多くのがん種において、早期発見が有効であることは、もはや科学的に疑いの余地はない。

がんの早期発見の有効性については、以下のnote記事をご参照 ↓↓

note.com

 

公的に認められたがん検診には、胃がん(内視鏡検査)、大腸がん(便潜血検査)、肺がん(胸部X線検査)、乳がん(マンモグラフィ検査)などがあり、年齢などの条件に合致する人には、市区町村が検診費用の全部または一部を負担する。
なぜ自治体が税金を投入してまで、市民のがんの早期発見に努めるのか?
初期のステージで発見できれば、少ない医療費で回復が見込めるし、さらに、短い治療期間で以前の生活に戻れる可能性が高いのだ。
早期発見によって医療費が削減できる上に、労働力人口(納税者数)の維持も可能になるという訳だ。
自治体にとっては、重要な問題である。


もし発見が遅れ、進行がんとなってからでは、膨大な医療費がかかる上に回復の見込みは少ない。
治療は長期化し、高額な薬を使用しなければならなくなる。
それでも功を奏さず、患者を救えないことが多くなる。
つまり、言い方は悪いが、助かる見込みの少ない患者ほど、カネがかかるものなのだ。
これでは、いずれ医療財政が破綻しかねない。
自治体はやっていけなくなるのである。

 

実は、多数あるがん種のうち、一般検診(定期健康診断などで行われるもの)が有効であると認められ、検査の実施に公費が投入されているものは、ごく一部のがん種に限られる。
それらはつまり、科学的に有効性が証明されているだけではなく、医療経済的にもコスパが良い(費用対効果が高い)と認められているものだ。
そうでなければ、公費をつぎ込むことなどできない。

重要なことなので繰り返すが、いくら検診で早期のがんを発見できて、多くの人を救うことが可能だとしても、その検査の実施に高額な費用がかかるのであれば、公的資金を投入することはできない。
とても医療財政がもたないのだ。
公的な医療制度においては、優れた医療技術で人の命を救えるだけでは十分ではない。
医療はタダではできない。カネ回りのことも考えねばならないのだ。

「安価で効率的に早期がんを発見できること」
この条件を満たすことが十分に実証されなければ、公的ながん検診とはならないのである。

 

2.苦痛のない検査が理想的ではあるが・・・・

 

「忙しい」「面倒だ」「煩わしい」「検査が怖い」「自分は大丈夫だ。たぶん」などと言って、がん検診を先送りにしている人は多いだろう。
まず、医療機関や検診会場に出向かなければならない。
そして、苦痛やリスクを伴う検査もある。

胃や大腸の内視鏡検査は、私も何度も受けたことがあるが、かなりの苦痛を伴う。できれば受けたくないし、正直「もっと楽に検査できないものか?」とも思う。
肺がん検診の胸部X線検査は、苦痛はまったくないが、X線の被ばくを心配する人もいるだろう。実際は、ごく低線量の被ばくであって、健康への影響はほとんど無視できるほどに小さいのだが、そうは言っても、不安に思う人が多いのは事実である。
前立腺がんのスクリーニング検査(「スクリーニング」の意味については、いずれお話したい)である「PSA(前立腺特異抗原)検査」は採血だけで済むが、それでも腕に針を刺さないことには検査できない。

理想的な検査は、体への負担や苦痛がない検査だ。
たとえば、大腸がん検診の便潜血検査は、便の一部を自分で採取して提出するだけだ。
日常的に排便しているのだから、体への負担は何もない。便の採取が、ちょっと面倒なだけだ。
そこで近年多いのが、「自宅で採取した尿を送るだけで、多種類のがんのリスクが一度で分かる」という民間企業の検査サービスだ。
これも、体への負担は皆無だ。

ここで注意してもらいたいのが、これらの尿検査によるがんのリスク判定は、その有効性が国や専門家によって認められていないということである。
あくまでも民間企業が、一般消費者を対象にビジネスとして行う「検査サービス」であって、その有効性については「科学的な実証が不十分」とされるものばかりであり、国や市区町村は何らの認証も推奨もしていないものである。
この点は非常に重要なので、ぜひ覚えておいて欲しい。
公的な一般がん検診に採用されていない検査法は、いまだ科学的な有効性と医療経済的な面での実効性が確立されていないということを。

 

3.線虫が尿中のがんの臭いを嗅ぎ分ける??

 

最近は尿に限らず、自分でサンプルを採取して送れば、いろいろな病気のリスクが一度で分かるという民間企業のリスク検査サービスが花盛りだ。
私企業が商売としてサービスを提供しているのだから、効果的な宣伝を打って、たくさんの人に利用してもらおうとするのは理の当然ではある。
なかでも、アグレッシブに広告を展開しており、一般の人の間でも広く知られるようになったのが、尿中のがんの臭いを線虫が嗅ぎ分けることによって、「体のどこかにある多種類のがんを、一度で早期に見つける」と謳っている「線虫がんリスク検査サービスX」だ。

かつて、体長わずか1ミリメートルほどの小さな生き物が、尿中のがんの臭いを嗅ぎ取る能力を有していることを発見した研究者がいた。
線虫が大好きな臭いに引き寄せられて、がん患者の尿の方に向かって移動するという性質を利用すれば、簡便で安価ながんのリスク判定が可能になるのではないかと考えたのだ。
研究者や事業家たちは、その研究成果をもとに特許を取得し、会社を立ち上げ、検査サービスビジネスを始めたのである。

このがんリスク検査サービスXのネット広告における謳い文句はこうだ。

 

①  自宅で、全身のがんリスクをチェックする時代へ。
②  「あの時検査していれば」を防ぐための最新がんリスク検査
③  通常の検診では見つけづらいステージ0-Iのがんにも高確率で反応。
④  全身23種類のがんのリスクを一度にチェック
⑤  「どの検査を受ければ?」と考え続ける時間を減らせます。

以上の謳い文句は、いずれも同サービスのネット広告の「原文ママ」である。

どうやら、「既存のがん検診の検査よりも優れている」と主張しているように私には聞こえるが、皆さんにはいかがだろうか?
いや、優れているどころではない。
「通常の検診では見つけにくい超早期のがんを高確率で見つけられる」「一度で全身23種のがんのリスクが分かる」というのだから、恐れ入る!
まるで夢のような理想的な検査法ではないか。
これさえあれば、既存のがん検診など、すべて不要ではないか!?

なぜ国や専門家たちは、この素晴らしいがんの検査法をいまだ認めないのだろうか?
その答えは明白だ。
企業が広告で謳っているほどに、このがんリスク検査法Xの有効性は科学的に実証されていないからだ。
この広告が「嘘」だと断じることは言い過ぎかもしれない。
だが、一般消費者に対して誤認を招くような「誇張」があることは断言しておこう!

次回以降、この「線虫がんリスク検査サービスX」が、本当に人々の役に立つのか?について、皆さんと一緒に紐解いていきたいと思う。

きっと役に立つと思う。お楽しみに。

 

次の記事はこちらから↓↓

takyamamoto.hatenablog.com

 

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新連載スタート【000】その健康・医学情報、信じていいの?

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昨今、世の中は膨大な情報で溢れ返っている。

なかには、意図的に人を欺こうとする嘘の情報が確かにあるし、意図せず間違った情報もある。

特に専門性の高い情報となると、どれが真実で、どれがフェイクなのか、多くの人には判別がつかないのではないだろうか。

 

健康・医学情報に関心の高い人は多い。

近年のわが国においては、世界に類を見ない少子高齢社会の高度化が進み、将来の社会保障制度への不安も相まって、多くの人が「できるだけ健康でいたい」と願うのは当然だろう。

だが、非専門の人たちにとって、健康・医学情報の真贋を見極めることは容易ではない。

多くの人が、高度な医学の専門知識がなければ、真贋の見極めは難しいと思っているに違いない。

 

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私は最近、noteで「医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド」という連載を行った。↓↓

note.com

 

一般の人たち、医学の門外漢の人たちでも、医学の専門知識なしで、怪しい健康・医学情報に騙されないようになれるのだという、これまでに誰も提唱したことのない、ユニークで実効性が高い「論理的思考アルゴリズム」を伝授する書(まだ書籍化されていないが、書籍化を目指している)である。

そのようななかで今回、新たなシリーズの連載をスタートすることにした。

 

怪しい情報に騙されないようにするための思考アルゴリズムを身につけたとしても、それでも真贋の見極めが難しい情報はあるだろう。

たとえば、人々を商品購入に誘導するために巧みに語られたネット広告がそうだ。

人々の不安を煽った上で、その不安を解消する方法を提示するという常套手段であるのだが、ストーリー性を持たせた広告は確かに効果的だ。

 

昨今の健康ビジネスの世界においては、科学的に正しいことが実証されたかのように謳われているが、その実、科学的根拠に乏しい製品/サービスの広告というのは枚挙に暇(いとま)がない。

それらの広告に、本当に十分な科学的根拠があるのかどうか、いちいち調べるのは難しい。

 

近年では、AIで容易に調べることもできる。

だが、AIは知ったかぶりして、平気で間違った回答をすることも多い。鵜呑みにはできない。

質問の仕方(プロンプトの与え方)によっても、AIの回答は変わってくるので、AIを活用するにもスキルが求められる。

つまり、AIを活用して情報を集めることは重要ではあるが、AIの回答が最終解ではない。

最後はやはり、自身で判断することは避けられない。

そのために基本的な知識は、是非とも身につけておきたいところだ。

 

この連載では、実在する商品/サービスの広告や、その他の具体的な健康・医学情報を取りあげ、それらが本当に信用するに値するものなのかどうか、どの点に着目して、どのように考えればいいのかについて、できるだけ易しく、解りやすく書いていきたい。

 

noteの連載「医学の知識ゼロで医学情報の嘘を見抜く最強メソッド」では、「医学の知識なしで見分ける」を目的にしていた。

それでもしかし、知識はないよりはあった方がいいに決まっている。

 

知識を身につけるといっても、どうか怯まないでいただきたい。

この連載では、一般の人でも「最低限、これだけは覚えておけば役に立つだろう」という、ごく基礎的だが、確実に役に立つ知識について、易しく解りやすく解説していくつもりだ。

一般の方々に理解できる範囲でお話していく。

是非、あなたの健康ライフにお役立ていただきたい。

 

では始めるとしよう。

 

次の記事はこちらから ↓↓

takyamamoto.hatenablog.com

 

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【お知らせ】『医学の知識ゼロで嘘の情報を見抜く方法!』連載ーーnoteに移行します

本ブログで連載を始めた「医学の知識ゼロで噓の情報を見抜く方法!」ですが、今後はnoteで連載を続けます。

どうぞ引き続き、以下のサイトからお読みください。

 

note.com

 

本連載は商業出版を目指しています。

noteの「創作大賞2026」に応募します。

大賞を受賞できれば、作品化の道が大きく開けます。

 

note.com

 

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また、拡散大歓迎です。再リンク、シェアお願いします。

 

固定観念の弊害【003】医学の知識ゼロで嘘の情報を見抜く方法!

何か引っかかる言葉を耳にしたとき、逆説的な質問を自分に投げかけることは、物事を科学的に考える上で非常に有効な手段となります。

 

たとえば、「薬はできるだけ飲みたくない」と言う人がいるとします。

「なぜか?」と問うと、「人工の物は危険だから」とのことです。

これは本当なんでしょうか?

 

人工物はぜんぶ危険なの? 人が作った薬は飲まない方がいいの?

そう疑問に思ったときにも、逆説的な質問を自分にしてみてください。

「じゃあ、自然のものなら、天然のものなら安全なの?」と。

そのように考えてみると、簡単に解りますよね。

自然界には危険がいっぱいだということが。

 

自然界は私たちの体に有害な「毒」で満ちています。

毒ヘビ、毒グモ、毒キノコ、毒クラゲ、フグ、トリカブト・・・・

思い付くだけでも、片手の指の数以上は挙げられます。

 

毒ヘビは自分で毒を作ることができますが、フグはそうではありません。

毒を含んだ餌(自然界に生息する生き物)を食べ続けることで、特に肝臓や卵巣などの内臓に毒を濃縮して蓄積します。

つまり、ことほど左様に、自然界には毒をもつ生物であふれているということです。

実際、毒のない人工の餌を与えて完全養殖すれば、毒のないフグができると言います。

つまり、皮肉なことに、人工の養殖フグの方が当たる心配がなく、「安全」だと言えるのですね(無毒のフグを養殖したとしても、いぜん法令によって、販売・提供することは規制されているようです)。

 

さて、毒性が疑われる物質については、「致死量」が調べられています(表1)。

当然ながら、実際にヒトで試すことはできるはずもなく、マウスやラットなどの小動物に実際に物質を投与して、どのくらいの量で死ぬのかを調べ、人間の体重に換算して求め出した推定量です。

 

 

自然界で最強の毒は何かというと、ボツリヌス菌の毒素で、針の先についたわずかな量を舐めただけで必死です!

その毒性の強さは、映画やドラマで毒殺の定番ツールとしておなじみの青酸カリもまったく及びません。

表1に示したように、サリンを含めて人間が作り出すことのできる毒と比べると、生物毒の強さは桁違いです。

1g(1円硬貨の重さ)の青酸カリは大人4人分の致死量に相当するのに対して、同量のボツリヌス毒素は、実に1万6000人分以上にもなるのですから・・・・。

自然は安全どころか、恐ろしいほど危険なのです。

 

本題に戻りましょう。

根拠のない思い込み固定観念に縛られていては、科学的に考えることはできません。

ときには、自分が当たり前と思っている事にも疑問の目を向け、疑ってかかることが重要です。

そして、そのようなときには、逆説的な質問を自分に投げかけて考えることを習慣にすることで、「科学的に考える力」が鍛えられ、その結果として物事の真偽を見抜く力も身につきます(表2)。

ぜひ、心がけて実行してください。

 

 

次回は、科学において非常に重要な考え方、「何事もやってみないと判らない」のお話です。

ぜひ、継続してお読みください。

 

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出版関係者の方へ:

書籍化、商業出版を希望しています。興味をお持ちいただけましたら、コメントお願いいたします。

 

「科学的に考える」とは?【002】医学の知識ゼロで嘘の情報を見抜く方法!

連載第2回目です。

 

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ずいぶん前、何十年も前のことです。テレビ番組で、街ゆく人たちにマイクを向けて質問します。

「強盗、殺人などの凶悪犯罪者の実に94%の人が、日常的に食べている食物があります。そのような危険な食物は、法律で厳しく禁じるべきではないか?」と問うのです。

そして、ほとんどの人はこう答えます。

「エーッ、94%も? それは絶対に禁止しないとヤバイです」と。

その食物とは、いったい何だと思います?

答えは「コメ」です。

そう、最初から引っかけが目的の誘導質問に、まんまと騙されたわけです。

 

なぜ街ゆく人たちは、こうも簡単にペテンな質問に引っかかってしまったのでしょうか?

それは、科学的に思考していなかったからです。

では、「科学的」とはいったい、どういうことでしょう? 

 

「科学的であること」

これは本連載においては非常に重要なテーマです。

「科学」と聞いて怯まないでください。

難しい科学の話を理解する必要はありません。

ただ、「科学的」とはどういうことか?については理解していただく必要があります。

 

さて、凶悪犯罪者の多くが日常的に食べている食物は、本当に危険だと言えるのか?

このことについて考える上で、非常に有効な手段があります。

それは、逆説的に考えてみることです。

「じゃあ、凶悪犯罪を起こさない人は、それを食べていないのか?」と。

逆説的な質問を自分に投げかけてみることは、科学的に考える上でしばしば有効な手段となり、あなたを正解に導くのに役立ちます。

 

コメ食が凶悪犯罪を起こす一因に「なっている」とか「なっていない」とか、何を基準にして判断するのでしょう?

それは、「対照」(「対象」とは意味が違いますので、ご注意ください)との比較です。

この場合に比較となる対照は、「凶悪犯罪を起こしたことのない人たち」ということになります。

その対照となる人たちが、日常的にコメを食べていないという事実があるのなら、コメ食が凶悪犯罪を引き起こす原因のひとつになっているのかもしれないと考えることができるでしょう。

ですが事実としては、悪人/善人の区別なく、ほとんどの日本人は日常的にコメを食すのです。

だとすれば、答えは明白です。

「コメ食が凶悪犯罪を引き起こしているとする根拠はない」と。

 

大事なことですので、もう一度言っておきますと、科学的に考えるためには、「対照との比較」が重要です。

対照とは、科学的な判断をくだす上での基準になるもののことです。

 

もうひとつ重要なことは、凶悪犯罪者の多くがコメを食べていたという、過去の事実についてしか述べられていないことです。

本当にコメ食が、人を凶悪犯罪に駆り立てる効果があるのかどうかをより確実にするためには、何人もの人に毎日コメを食べさせ続けて、実際に凶悪犯罪を起こすようになるのかを確かめなければなりません。

その際には、対照として、「コメを一切食べさせない人たち」と比較する必要があります。

 

具体的な例で説明しましょう。

小学生くらいの子どもを200人集めてきて、100人ずつ2つのグループ(AグループとBグループ)に分けます。

Aグループには毎日コメを食べさせ続け、Bグループにはコメを一切食べさせません。

この場合、コメを食べさせないBグループが比較のための「対照群」になります。

そして長期間にわたって観察するのです。

20年後、大人になった2つのグループの元子どもたちが、どれだけ凶悪犯罪に手を染めたのかを調べます。

Aグループの方がずっと多いようなら(例えば、Aグループで10人、Bグループで1人なら)、コメ食がヒトを凶悪犯罪に駆り立てる要因になっている可能性があると考えることができるわけです。

 

このように、コメ食と凶悪犯罪との因果関係について、より確かなエビデンスを得るためには、過去にさかのぼった後ろ向きの「調査」だけでは不十分で、将来、本当にそうなるのかという前向きの「実験」が不可欠なのです(図)。

 

図.「後ろ向き研究」と「前向き研究」

ただし、ここで注意が必要です。

あくまでも「可能性がある」と言える程度であって、1回限りの実験でもって、「間違いなく、コメ食が凶悪犯罪を引き起こす原因になっている」と断定できるものではありません。

あとで詳しく述べますが、「科学的」であるためには、もう一度、他の人を対象にしてやってみても同じ結果になるのか、他の地域でやってみても同じ結論に達するのか、「再現性」を確認することが極めて重要になります。

 

ですが現実には、長期間を要する前向き試験を何度も行って再現性を確認することは、容易なことではありません。

ですから、人を対象とした試験で確かな結論を導き出すことは難しいのです。

 

ここまでお話してきたことをまとめておきましょう。

コメ食と凶悪犯罪との因果関係について、科学的に考える上で、あなたが知っておくべきことは3つ。

 

  • 「コメを食べる人」に対して、「コメを食べない人」という対照との比較で調べる
  • 「今までどうだったのか」という過去にさかのぼった「後ろ向き」の調査だけでは不十分で、「これから将来、本当にそうなるのか」という「前向き」の実験こそが、「コメ食が人を凶悪犯罪に向かわせる」という仮説を立証するには不可欠
  • ただし、1回の結果だけでもって、断定はできない

 

「エーッ! そんな食べ物は禁止しないとヤバい!」などと直観的、衝動的に判断してはいけません。

科学的に考える上で重要なことは、頭を冷やして客観的に物事を見ることです。

では、客観的に判断するには、具体的にどうすればいいのか?

 

次回以降、根拠のない思い込みの弊害について、そして、これを排除することの重要性について、お話してまいります。

 

次回もぜひ、継続してお読みください。

 

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知識ゼロで見抜けるって本当なの?【001】医学の知識ゼロで嘘の情報を見抜く方法!

連載第1回目です。

前回の記事はこちら↓↓

takyamamoto.hatenablog.com

 

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巷に多々ある健康食品やサプリメントの類。

健康保険の利かない民間療法や美容医療。

ネットやSNSにあふれる膨大な情報や広告。

さらには、現役の医師や医学研究の専門家らが発信する「ワクチンは打つな」、「薬をやめれば病気は治る」といった怪しい主張の数々。

いったいぜんたい、どれが正しくて、どれが信用できないのか? どうやって見分ければいいのだろうか?―――今、この記事を読んでくださっているあなたは、そんな悩みをお持ちなのかもしれません。

 

「波動」「ホメオパシー」「デトックス」「毒素」「酵素」「水素水」等々―――こんなワードが出てきたら「ちょっと待って!」と注意喚起し、これらのキーワードで語られる健康・医学情報モドキが、いかに根拠のない話なのかについて、具体的な研究論文などを引用して、やさしく、解りやすく解説してくださっている良書がいくつかあります。

私自身も拝読して、勉強させていただき、また大いに影響も受けました。

ですが同時に、まだ何かが足りないようにも感じました。

具体的には、ふたつあります。

 

ひとつは、それらの本が、個々の事象のウソを暴いて説明することを目的としているため、本を読んでも、読者はいぜんとして、自分で情報の真贋を見分けることができないままなのではないか、ということです。

そして、もうひとつは、警戒すべき怪しいキーワードをいくつか覚えたとしても、それらのワードが出てこない新手の広告の謳い文句や新エセ医学情報には役に立たないではないか、ということです。

本を一冊読んで、警戒すべき個々のキーワードや具体的事例をいくつか知ったとしても、それだけでは他のケースに応用が利かず、読者には相変わらず、自身で嘘を見分けるためのスキルが身に付くものでもありません。

 

騙されないようにするには、限定的な事例やキーワードのみに頼るのではなく、自力で嘘を見抜くための普遍的なノウハウを身につけていただく必要がある、と私は考えました。

 

一例を挙げましょう。

現役の開業医が著書の中で、以下のように述べているとします。

「がん検診は無意味だ。なぜなら、がん患者のうち、検診を受けた人と受けなかった人の死亡率に差はなかったとの研究論文があるからだ。無駄に放射線を被ばくするだけなので、むしろ、がん検診は受けてはいけない」と。

どうでしょう?

あなたは、これを信用して、がん検診を受けるのをやめようと思うでしょうか?

怪しいワードは出てきません。

それに、根拠となる論文があると言っています。

そして、言っているのは現役の医師です。

 

「医者が言うことなのだから、正しいに違いない」と思う人もいるかもしれません。

あるいは、「本当だろうか?」と疑問に思いながらも、本当なのかどうか、本当にがん検診は受けない方がよいのか、判断がつかない人が多いのだろうと思います。

 

そこであなたは、かかり付けの主治医に訊いてみることにします。

当然、あなたの主治医はこう言うでしょう。

「なに言ってるんですか! あなたの年齢になれば、がん検診は絶対に受けてください!」と。

どちらも医師が言うことです。

どちらを信じればいいのでしょう?

 

医師が「根拠となる研究論文がある」と言うと、「間違いない!」と信用してしまう人が多いのではないかと思います。

博士で大学教授のような偉い人が言うことだったら、疑う理由がないと思うかもしれません。

ですが、本連載を読んでいただければ、たったひとつの研究論文が、即「根拠」となり得るわけではなく、医師や博士、大学教授のような権威のある専門家の言うことだからとて、必ずしも信用するに値しないということがご理解いただけるでしょう。

 

この連載は、文系/理系の別にかかわらず、医学の知識なしで嘘の広告、間違った医師や専門家の言うことの真贋を見分けるためのコツを伝授するものです。

それほど難しいことではありません。

いくつかの着眼ポイントを知っていただいた上で、ある考え方を習慣化していただければ、今後は無為に惑わされることはなくなるでしょう。

 

より具体的に、本連載がお伝えすることは以下のことだけです。

 

安易に騙されないようになるために、あなたには2つの習慣を身につけていただきます。

ひとつは、何事も「疑ってかかる」ということです。

そして、もうひとつは、「科学的根拠はあるのか?」とご自身に問いかけていただくことです。

まずは、このふたつの行動を習慣化することから始まります。

 

次に、「科学的に考える」とは、どういうことかを知っていただきます。

これは何も、あなたに「科学を勉強しろ」と言っているのではありません。

重ねて申し上げますが、科学や医学の知識を身につける必要などないのです。

ただ、「あっ、そういうふうに考えればいいわけね」ということに気づいていただければ、それで十分です。

目的は、科学を修得することではなく、「科学的とはどうことかを理解する」ということなのです。

 

新たに科学や医学の勉強をする必要はまったくありませんし、もとより知識がなくても問題ありません。

ですが、論理的に考える力は、多少は必要になります。

でも、それほど心配することはありません。

物事を冷静に見て、筋道立てて考えることができて、その考え方さえ理解することができる人であれば、文系であっても、理系脳でなくても、嘘の、あるいは誤った健康・医学情報を見抜くスキルが身につけられるでしょう。

 

このように、論理的に考えられる人が対象なので、スピリチュアルな世界観陰謀論を信じやすい方には、本ブログでお伝えするメソッドは向かないと思います。

 

では次回、健康・医学情報の嘘を見抜くためには、何をどのように考えればよいのかについて、話を始めてまいりましょう。

 

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商業出版を目指して、連載スタート!【000】医学の知識ゼロで嘘の情報を見抜く方法!

新連載はじめます。

 

昨年出版した『真・二重らせん物語 DNAを追い求めた科学者たち、真実のストーリー』についで2作目の原稿を完成させました

これを順次、本ブログで公開していきます。

 

処女作の『真・二重らせん物語』は幸運にも、早々に出版元が決まりました。本当に運が良かったと思います。

そして、1冊くらい本を出したことのある人は、結構いるでしょう。

ひとつ出したからと言って、(それがベストセラーになれば別ですが)2作目の出版のハードルが大きく下がるというわけではありません。

2作目、3作目と続けて出すのは難しいことです。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

現在、この2冊目の本の出版を引き受けてくださる出版社を探しているところです。

ですが、一社ずつ企画書や完成原稿を持ち込んで、先方からの返事を待つという方法では、どうにも時間がかかって仕方がない。

せっかちな私としては落ち着かず、待ってばかりはいられません。

もっと能動的な仕掛けが必要なのではないか?

 

そう考え、新しい本の内容を順次、ブログとnoteで公開することにしました。

多くの出版編集者が、新しい本のネタ探しと、埋もれている有望な作者を掘り起こすためにブログや、特にnoteをよく見ているといいます。

まずは、このはてなブログから始めます。

 

テーマは『医学の知識ゼロで嘘の情報を見抜く方法!』

 

昨今、ネット上や書籍では嘘の、あるいは誤った健康・医学情報で溢れ返っています。

商品広告では、明らかに消費者を騙す意図をもって巧みに語られた胡散臭い宣伝文句が多くあります。

どれが正しくて、どれが信用できないのか、判断がつかないのではないでしょうか。

そして、健康効果のない商品にお金を搾取され、適切な治療を受ける機会を逸し、なかには健康被害を被る人も実際にいるのです。

 

このようなことは、なくしたい!

 

ですが、多くの一般の人には、専門的な情報や巧みな宣伝文句の真贋を見抜くことは難しいものです。

どうすれば、誤った情報に踊らされ、騙される人を減らすことができるのか?

健康・医学情報の嘘、誤りを見抜くには、絶対に医学の専門知識は必要なのではないか?

だとすると、専門知識を持たない一般の人たちは、これからもずっと悩み続け、騙され続けなければならないのか?

 

いいえ、そんなことはありません!

医学の専門知識なしで、文系/理系の別にかかわらず、少しばかり論理的に物事を考えることができる人なら誰でも、嘘の、あるいは誤った健康・医学情報を見抜き、安易に騙されないようになれます。

本ブログは、そのために必要な、ちょっとしたコツと考え方を伝授するものです。

 

これは、私が独自に開発した、まったく新しい、そして非常に理にかなったメソッドです。

これまでに、このようなメソッドを提示した人がいたでしょうか?

本ブログは、皆さんの目からウロコを落とさせまくること必至の方法を伝授するものです。

これはかつてない、非常にユニークな本になるでしょう。

 

週2、3回くらいのペースで公開を続けていこうと思います。

どうぞお楽しみに。

 

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#商業出版

#健康情報

#医学情報

#疑似科学

#見分け方

 

105【祝・ノーベル賞受賞】メディアが語らない坂口志文~何がそんなに凄いのか?~

目次:

1.坂口志文の何がそんなに凄いのか?

2.常識にとらわれない者たちの苦悩

3.苦難の始まりは一本の論文

4.転機が訪れるまでの長い道のり

5.ノーベル賞に導いた意図しなかった出来事!

6.あなたは25年も耐えられるか?

 

やったか!見たか!

坂口志文先生ノーベル生理学・医学賞受賞、まことにおめでとうございます。

これから各方面の報道が過熱し、志文先生の経歴やお人柄、そして業績の内容について多くが伝え語られることでしょう。

本ブログでは、おそらく、たぶん、一般のメディアでは語られないであろう、志文先生が栄誉に輝くまでの苦難の道のりを、わたくし、やまけん独自の切り口でお伝えします。

 

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1.坂口志文の何がそんなに凄いのか?

 

何がそんなに凄いのかって、ひと言でいうと、最初の論文発表(1982年)から10数年もの間、ほとんどの研究者から関心を持たれず、気にも留められず、無視され続け、時に白い目で見られた無名の日本人の研究成果が、実は20世紀の古い免疫学の教科書を刷新する歴史的な大発見だったということ。(ひと言じゃねーし)

10年以上もの間、ほとんどの研究者がそのことに気付かず、地球上で坂口志文と、奥様の教子(のりこ)さんを含め、ごくわずかな理解者だけが、その重要性を認識していたということです。

 

そういうのって、ノーベル賞級の研究には、よくあることじゃないの、ですって?

確かに。

でも、志文先生の場合は少し、いや、かなり異質な状況にありました。

 

志文先生は20年以上にもわたって賞とは無縁で、その間、研究者としてほとんど無名でした。

この度のノーベル賞受賞の業績は、免疫学の世界で決してスポットライトが当てられることもないなかで、20年もの長きにわたって行われた研究の成果なのです。

そして、志文先生の業績が広く認められるようになってから、さらに20年以上の歳月が流れた今日、実に40余年越しのノーベル賞受賞となったわけです。

 

2015年 ノーベル生理学・医学賞の登竜門ガードナー国際賞受賞

 

2.常識にとらわれない者たちの苦悩

 

逆境にも負けず、己の信念を貫き通して大発見をなし、ノーベル賞を受賞された方は少なくありません。

 

iPS細胞の山中伸弥先生。

神経細胞や筋肉の細胞、肝臓の細胞など、「特定の機能と形態をもつに至った細胞は、二度と受精卵のような、どんな細胞にもなり得る状態に逆戻りすることはない!」というのが当時の生物学の常識でした。

それはそうでしょう。

100人の専門家に会って、99人から「そんなこと、できるはずない」と言われても無理からぬことです。

山中先生は誰からも理解されず、研究費集めに疲弊し、心が折れて、何度も研究をやめようと思ったそうです。

takyamamoto.hatenablog.com

山中先生の苦闘とiPS細胞については、上の過去ブログをご参照

 

免疫チェックポイント阻害剤の本庶佑先生。

自身の発見を画期的ながん治療薬につなげるため、大手製薬企業を行脚したといいます。

高名な本庶先生に敬意を表して、会ってはくれますが、企業側の返事は最初から決まっています。

「No」だと。

「免疫力でがんは良くならない!」というのが、当時のがん治療の専門家の間での常識でした。

なぜなら、新しいがんの免疫療法が鳴り物入りで出てくるたびに、たいして効かなかったり、副作用が強くて使い物にならなかったりで、「効く、効く」と言っているうちに、がんの免疫療法はすっかりオオカミ少年と化してしまっていたのです。

企業側からすれば、「また、そんな話か?」程度にしか思われなかったでしょう。

 

薬屋の石アタマどもめ!

こんな調子で、医薬品など実現するものか!

takyamamoto.hatenablog.com

本庶先生の免疫チェックポイント阻害剤については、上の過去ブログをご参照

 

さて、坂口志文先生です。

志文先生が免疫を抑制する免疫細胞探索の研究をされていた1980年代中頃から1990年台の後半にかけて、免疫学者の間では、「免疫を抑制する免疫細胞など存在しない」というのが常識でした。

常識というよりも、当時の免疫学分野の人たちの間では、免疫を抑制する免疫細胞のことは、話題にすることさえもタブー視されていました。

志門先生にとっては、まさに「暗黒の時代」だったのです。

なんで、そんなことになったのか?

このあたりの事情については、以下の過去ブログをお読みください。

takyamamoto.hatenablog.com

 

3.苦難の始まりは一本の論文

 

上のブログを読んでいただければ、科学の世界においても珍しい、かなり特殊な状況であったことがご理解いただけると思います。

口にするのもはばかられるのに、話すだけにとどまらず、研究するなんて、けしからん!

こんな怪しい研究に、研究費なんて付けられるものか!

白い目で見られるのも意に介さず、乏しい研究費で、研究場所も転々と変えながらも、決して追究をあきらめない。

それも確たる信念があるからこそ。

そんな骨太な漢(おとこ)がひとり。

それが坂口志文でした。

 

志文先生は1976年に京都大学医学部を卒業されました。

医学部の学生時代から免疫には興味があり、臨床の医師になるより免疫学の研究を志望して、博士課程に進みました。

ある時、一本の論文に遭遇し、自己免疫疾患を抑える仕組みが存在するのでは?とのアイデアを得たのです。

 

当時の考えでは、健康な人では、自分を攻撃する不良の免疫細胞はくまなく除去されていて存在せず、だから決して自己免疫疾患になることはないとされていました。

自己免疫疾患の人は、組織や細胞に異常が起こっていて、それで間違えて免疫に攻撃されるのだと説明されていたのです。

でも志文先生は、その論文を読んだことで、「これまでの常識は間違っている」と直感したようです。

そして翌年の1977年、博士課程を中退して京都大学を飛び出し、その論文の著者、愛知県がんセンターの西塚泰章先生の研究室の門を叩いたのです。

26歳。

まさに、この時、制御性T細胞を追い求める志文先生の苦難の旅路が始まるのです。

 

数年後、再び京都大学の大学院に戻り、免疫を抑制する細胞の存在を示唆する愛知県がんセンターで行った研究内容を論文にまとめて1982年に発表し、翌1983年に医学博士の学位を取得されました。

その頃、1980年代初頭というと、時期的にはサプレッサーT細胞の存在が否定されて、免疫学者たちが免疫を抑える免疫細胞の話題を避けるようになった、ちょうどその頃です。

皆がサプレッサーT細胞の研究をやめ、忘れようとする中で、志文先生は免疫を抑える細胞の存在に確信を得て、研究を続けました。

「まだそんな胡散臭いことをやっているのか?」という目で見られ、「俺のはサプレッサーT細胞とは別物だ!」と叫んでも、誰も聞いてはくれません。

「このまま日本におったんでは、潰されるだけや」

日本国内で周囲の理解と援助を得られない中で、学位取得後まもなく、研究の場をアメリカに移しました。

 

先見の明がありすぎる人、時代を先取りしすぎる人、常識にとらわれない人、そういう人たちが周囲の無理解を乗り越え、ノーベル賞という最高の栄誉に浴した例は結構あります。

ですが、志文先生の場合は特殊です。

 

山中伸弥先生の常識外れの論文は、世界中の耳目を集めました。

「そんなこと、できるわけがない!」「でも、もし本当だったら、世の中が変わる!」

反響はものすごかったのです。

 

ウイルス発がん説のペイトン・ラウス先生は、世界中の研究者の笑いものになりました。

でも、無視はされなかったわけです。

批判されたということは、少なくとも、存在は認められていたわけです。

takyamamoto.hatenablog.com

ラウス先生の偉業は、上の過去ブログをご参照

 

無視されるって、批判されるよりも、ずっとキツイんじゃないでしょうか。

研究者であれば誰でも、自身の発表に対する反響が欲しいはずです。

それが批判であったとしても、反響があれば議論の機会は与えられますし、そうして議論を戦わせて真理を導き出すことは、健全な科学の営みのひとつです。

しかし、まったく反響がないのであれば、それは論文発表などしていないのも同じです。

もちろん、論文発表していれば将来、その価値が見直されることはあります。

そして現実に、志文先生の論文はそうなるのですが、それはまだまだ先のことでした。

 

4.転機が訪れるまでの長い道のり

 

アメリカで、幸運にも8年間にわたる奨学金を得ることができました。

異端でも、面白いと思えることにはお金を出す人がいる。そこは彼の国の良いところでしょう。

渡米するという志文先生の選択は正しかったのです。

ですがアメリカの免疫学者からも、免疫を抑える免疫細胞は歓迎されませんでした。

 

イーサン・シェバックというアメリカ免疫学界の大御所先生が大の「免疫を抑える免疫細胞」嫌いで、そんな人物がよりにもよって、ほとんど誰にも読まれなかった志文先生の「免疫を抑える免疫細胞」の存在を示唆した論文に目を付けたのです。

「まだ、こんな輩がいて、論文まで出すとはけしからん! この論文に書いてあることが本当かどうか確かめろ!」と、ポスドクの女性研究者に指示したのです。

数ヶ月後、彼女はシェバックに報告しました。

「あの論文は本物です。書いてある方法の通りに実験すると、マウスは確かに自己免疫疾患になりました」と。

この再現実験の結果からすると、自己免疫疾患を抑える細胞の存在が証明されたわけではないものの、あたまから否定することはできないと認めざるを得ないのです。

そして、ここが大人物の偉いところ。

シェバック先生は自身の非を認め、志文先生に連絡を取り、なにかと支援をしてくれるようになったのです。

 

1992年、志文先生は約10年ぶりに日本に戻りました。

そして、アメリカでの研究内容も含めた成果を論文にまとめました。

満を持しての自信作で、世界最高峰の科学誌のひとつ"Nature"に投稿しました。

が、これがほとんど門前払い同様の扱い。

気を取り直して、他の有力誌にも投稿しますが、落とされまくった末に1995年、免疫学分野では世界屈指の"The Journal of Immunology"(JI)に、やっとのことで掲載されることになりました。

JIを読む研究者はたくさんいます。免疫学者なら、誰だって毎号に目を通すでしょう。

が、しかし! これまた、ほとんど反響なし!

ですが、あのシェバック先生が「重要な発見だ!」と宣伝してくれたおかげもあり、その後2年、3年と経つうちに、少しずつですが、アメリカでJIの論文内容に関心を示す研究者が増えてきて、なかには追試の結果を発表する者も出てきたのです。

 

2000年、転機が訪れます。

他者の研究データも増えてきたところで志文先生に、細胞生物学にかけては世界最高峰の学術誌"Cell"から、他の研究者の報告内容も合わせて自己免疫疾患を抑える免疫細胞研究の全体像を解説する総説論文の執筆オファーがあったのです。

ついに、世間の注目を惹く一大チャンス到来です!

こうなると、これまで名無しの権兵衛だった仮想の細胞も、いつまでも「権兵衛」のままというわけにはいきません。

カッコいい名前を付けてやることが重要です。

その細胞の性質をよく表していて、覚えやすく、親しみを抱かせるようなイカす名前です。

果たして、その細胞は、坂口志文によって晴れて「制御性T細胞(regulatory-T cells;Treg)」と命名されたのでした。

 

5.ノーベル賞に導いた意図しなかった出来事!

 

しかし、それでも志門先生の業績を評価しない者が、依然として多くいました。

ひとつの理由は、これまでに志文先生や他の人たちが行った研究のほとんどが、マウスを使ったものだということです。

 

マウスで観察された現象が、ヒトで確認できないなんてことはままあることです。

新しい薬が病気の動物で劇的に効いても、ヒトではたいして効果がなかったなんてことも、しょっちゅうです。

特に医学に関わる研究分野では、動物実験のデータだけでは、本当の意味で価値が認められないというのは、ありがちなことです。

山中先生が、マウスのiPS細胞の樹立に成功した後、ヒトのiPS細胞の作成を急いだのも、そういう訳です。

同様に、ヒトのTregが存在する証拠を示すことができれば、それはもうインパクトは段違いです。

これまで原因不明で治療法のなかった自己免疫疾患の仕組みの本質が解明されれば、治療法の開発に道を開く可能性が出てくるのですから。

そうなれば、少なくない専門家が注目せずにはいられないはずです。

 

ですが、志文先生がマウスで行ったような実験、つまり、生まれたばかりの新生児の胸腺(心臓の少し上にあって、幼弱T細胞の選別・分化・成熟を担う小さな臓器)を切り取って、わざと自己免疫疾患にしてみたり、別の人の白血球を移入して、また治してみせたり、なんてことを人間でできるはずがありません。

いったい、どうすればいいのか?

 

新しい世紀の幕が上がって間もなく、流れが大きくこちら側に来ます。

2001年、ヒトのTregの存在を証明するための重要な手掛かりが、志文先生の意図しないところで、他者の研究によってもたらされたのです。

幼児期に様々な自己免疫疾患を多発する先天性の病気「IPEX症候群」の原因遺伝子「FoxP3」の発見によってです。

takyamamoto.hatenablog.com

IPEX症候群の原因遺伝子の発見とヒトの制御性T細胞については、上の過去ブログをご参照

 

FoxP3遺伝子が正常に働かないと自己免疫疾患を抑えられない。

そして、志文先生の仮説では、健康な人でも誰でも皆、自己反応性の免疫細胞を持っており、それにも関わらず自己免疫疾患にならないのは、自己反応性免疫細胞を抑える免疫細胞があるから。

それこそが制御性T細胞!

志文先生は、さらなる仮説を展開します。

FoxP3はTregのマスター遺伝子ではないか?」

 

マスター遺伝子とは、その細胞の特徴を決定づける最も重要な遺伝子のことです。

FoxP3がTregのマスター遺伝子であるということは、「免疫抑制を示す免疫細胞、すなわちTregにはFoxP3遺伝子が発現していることが絶対条件」となるのです。

あとは、本当にそうなのか、志文先生自ら実験で確かめるのみです。

 

果たして、マウスでの実験の結果、免疫抑制を示すT細胞ではFoxP3遺伝子が常にONになっており、免疫抑制を示さないT細胞ではOFFになっていることが分かりました。

ですが、これだけではFoxP3がTregのマスター遺伝子であると結論付けるには不十分です。

さらに、免疫抑制を示さない幼弱な(将来、どのようなT細胞になるのかが決まっていない)T細胞でFoxP3遺伝子を強制的にONにしてやると、免疫抑制機能を獲得してTregに変身(分化)することが確認されたのです。

これによって免疫抑制を示すマウスのT細胞、すなわちマウスの制御性T細胞のマスター遺伝子がFoxP3であることが確実となったわけです。

 

FoxP3遺伝子がマウスのTregのマスター遺伝子であることの証明。

ヒトのIPEX症候群の原因遺伝子がFoxP3であるとの事実。

この2つの点と点がつながって線となり、ヒトのTregの存在は、他者が疑いを入れる余地のないところとなりました。

2003年のことでした。

 

免疫を抑制する免疫細胞を追い求めて25年以上。

ついにこの時が来たのです!

 

6.あなたは25年も耐えられるか?

 

当時、反響がなかった1995年のJI論文は、今では20世紀の免疫学研究でもっとも画期的な名論文のひとつとして認識されています。

http://Immunologic self-tolerance maintained by activated T cells expressing IL-2 receptor alpha-chains (CD25). Breakdown of a single mechanism of self-tolerance causes various autoimmune diseases - PubMed (nih.gov)

 

その研究手法は実に理にかなっていて、とってもエレガントです。

takyamamoto.hatenablog.com

そのエレガントな研究手法については、上の過去ブログをご参照

 

そして、Tregのマスター遺伝子がFoxP3であることが解明されてから、さらに22年後の今日のこの日、研究を始めてから実に40余年越しの栄誉となりました。

 

かつて笑いものになったラウス先生は、自らのウイルス発がん説を証明するための研究を続けることはありませんでした。

しかし、志文先生は制御性T細胞を追い求め続けました。

ただひたすら愚直に・・・

 

志文先生はおっしゃいます。

「サイエンスはフェアな世界」

免疫を抑える細胞というだけで嫌悪され、白い目で見られ、無視され続けた不条理。

しかし、そんな過去の不条理への恨み言など一切口にすることなく、「フェア」だと言い切るのです。

 

並みの人間の信念や精神力では、到底25年も耐えきれないし、愚痴や恨み言も一切口にしない・・・

私は、「苦難の道のり」と表現しましたが、志文先生ご自身は、そのような苦労をしたとは決しておっしゃいません。

それどころか、「やることが多すぎて、あっという間に時間が過ぎた」と言います。

免疫学の本質的な研究の中心に身を置けたことが「本当に幸せだった」と。

 

また、こうもおっしゃいます。

「サイエンスでは、正しいものは正しいと言わなければならない」

偏見の目をもって、志文先生が提示した数々のエビデンスに真摯に向き合おうとしなかった当時の研究者たちに対する批判ではなく、これからの若い研究者たちに向けた愛あるメッセージなのだと思います。

 

坂口志文先生、本当におめでとうございます。

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

#坂口志門

#制御性T細胞

#ノーベル賞

#生物学教育

 

【真・二重らせん物語】本を上梓します!(あらすじ有り)

生まれて初めて本を出版します。

タイトルは、

『真・二重らせん物語 DNAを追い求めた科学者たち、真実のストーリー

 

www.kadensha.net

 

DNAの二重らせん構造

その発見の経緯について書かれたものは数多くあります。

ですが、ひとつの側面しか捉えられていなかったり、断片的であったり、そもそも事実と異なる記述も見受けられます。

 

本書は、DNAの構造究明に関わった当事者たちの著書や信頼性の高い資料を精査し、事実関係を確認し、真実の物語を再構築した人間ドラマです。

科学者たちの物語と言っても、専門知識は不要。

人物描写にフォーカスし、中学生にも読めるよう、平易な文章で書きました。

 

理科が好きな中学生、理系の進路に関心のある高校生、研究職志望の大学生など、若い人たちに読んでいただき、刺激を受けて欲しい。

もちろん、大人の方たちにも、純粋に人間のドラマを楽しんでいただきたいです。

 

【真・二重らせん物語】表紙カバー

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

<あらすじ>

若き米国人生物学者ジェームズ・ワトソンは、22歳で博士号を取得した秀才である。当時、多くの生物学者が、遺伝物質はタンパク質であると主張していたが、ワトソンはDNAこそが遺伝子の本体であると信じていた。DNAの構造を明らかにすれば、そのことを決定的に証明できる。そして、自分がそれをなし遂げるのだと、野心を燃やしていた。

1951年秋、ワトソンは英国の名門ケンブリッジ大学にやって来た。そこで出会った天才肌の英国人物理学者フランシス・クリックと意気投合し、ともにDNAの構造究明に乗り出したのである。

ところが、結果を急いだワトソンとクリックは大失態を演じ、研究所長の面目を潰したため、DNA研究を禁じられてしまう。悶々と過ごすうちに、一年もの月日が流れていた。

そんなある日、二人を震撼させるニュースが飛び込んでくる。20世紀最大の化学者ライナス・ポーリングがDNAの構造を掴み、近く論文発表をするというのだ! しかし、ポーリングは致命的なミスを犯していた。彼のモデルは明らかに間違っている! そう悟ったワトソンとクリックは、研究所長にDNA研究再開の許可を求めた。そして、それは認められたのだ。やってみろと。さあ、勝負はまだ着いちゃいないぞ!

だが、二人に残された時間は多くはなかった。ポーリングがひとたび自身の過ちに気づいたなら、もの凄い執念でもって巻き返しを図ってくるのは必至だ。そして、もしそうなれば、たちまち彼はDNAの構造を突き止めてしまうに違いないと、二人にはそう思えた。だとすれば、自分たちに残された時間は、せいぜい6週間というところか。あまりにも短い! 絶望的なほどに短すぎる!

奇跡とも言える数々の幸運に恵まれ、同僚たちからの援助を得て、ついに二人はDNAの二重らせん構造「ワトソン‐クリックのモデル」を導き出した!

かの偉大なライナス・ポーリングに土俵際まで追い詰められ、絶望的なタイムリミットのなかで、なぜ二人は、あのような大逆転劇をなし得たのか? その要因は何だったのか?

ライバルたちとの息詰まる駆け引き。苦悩に苛まれる業深き二人の科学者。交錯する彼らの想い。本書は、20世紀の生命科学史上最大の偉業に挑んだ科学者たちの内面に鋭く切り込み、彼らの人間としての生の姿をヴィビッドに描出したサイエンスノンフィクションである。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

次作に向けて、大変励みになります。

 

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号外【2024年ノーベル生理学医学賞の発表は10月7日】坂口志文氏の受賞なるか?

目次:

1.逆境を跳ね返しての偉業!制御性T細胞の発見

2.なぜ本庶先生との共同受賞を確信していたのか?

3.なぜ本庶先生との共同受賞はならなかったのか?

4.志文先生の今年の受賞はあるのか?

 

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今年もこの季節がやってまいりました。

毎年この時季は心が高鳴ります。

関心事はもちろん、日本人の受賞はなるのか?

特に、ショッパナに発表される生理学医学賞に大、大、大注目です。

 

以前から、絶対にノーベル生理学医学賞を受賞すべき人、受賞して当然の人、と私が考えている方がいます。

大阪大学坂口志文(しもん)先生その人です。

 

1.逆境を跳ね返しての偉業!制御性T細胞の発見

 

志文先生の最大の業績はというと、それはもう制御性T細胞(Treg)の発見です。

世界中の免疫学者の間で、免疫を抑える免疫細胞など存在しないのが常識とされ、その話題に触れることさえタブー視されるような風潮のなか、そんな研究を続ける者を変人でも見るような目に晒され続けながらの偉業です。

 

Tregって何?については、以下の過去ブログをどうぞ。

takyamamoto.hatenablog.com

 

2.なぜ本庶先生との共同受賞を確信していたのか?

 

2018年、京都大学本庶佑(ほんじょたすく)先生が免疫チェックポイント分子の発見とガン治療への応用により、米国のジェームズPアリソンさんとともにノーベル生理学医学賞を受賞されました。

この年、私は本庶先生の受賞を予想し、見事に的中させましたが、実は正解率は50%。

なぜなら、この時、絶対に志文先生も共同受賞すると確信していたからです。

takyamamoto.hatenablog.com

 

ノーベル賞の共同受賞は3人までです。

ひと枠空いてるのに、なぜ志文先生は受賞できなかったのか?

その資格がない、とでも言うのか?

それとも我々は、日本人の贔屓目からTregの発見を過大評価しているのだろうか??

選考委員会からすれば、客観的に見て、ノーベル賞というほどの業績でもないということなのか??

 

本庶先生とアリソンさんが見つけた免疫チェックポイントという機構は、免疫系を活性化したり、逆に抑制したりと、免疫の制御を行うための非常に重要な仕組みです。

そして、免疫を抑制する仕組みとは、まさにTregが担っているものです。

特にアリソンさんが発見したCTLA4という免疫チェックポイント分子を介した免疫抑制は、Tregのもっとも重要な機能なのです。

ですから、CTLA4の阻害によるガン治療は、Tregの機能の応用と言えます。

 

坂口・本庶・アリソンの3名の共同受賞!

完璧じゃないっすか!?

 

3.なぜ本庶先生との共同受賞はならなかったのか?

 

本庶先生がPD-1を発見したのが1992年、アリソンさんのCTLA4が1995年です。

一方、志文先生が初めてTreg発見の論文を発表したのが1995年です。

後年になって、志文先生のこの論文は、20世紀の免疫学研究でもっとも画期的な論文との認定を受けています。

ですが発表当時、この歴史的な論文は、世界中の免疫学者から完全シカトされたのです。

称賛する者もいなければ、こき下ろす者もいない。誰もなんにも気にもとめなかったのです。

 

Tregが認知されるまでに志文先生が歩んだイバラの道については、以下の過去ブログでどうぞ。

takyamamoto.hatenablog.com

 

上の過去ブログの通り、Tregについて、「どうやら本当らしいぞ」「実在するみたいだ」と認められるようになったのは、世紀も変わった2001年以降のこと。

ですから、おそらく、本庶先生とアリソンさんが、それぞれPD-1とCTLA4の研究に打ち込んでいた90年代の後半から2000年代の初頭にかけて、お二人ともTregのことは知らずに、あるいは知ってはいても、少なくとも志文先生のTregの研究成果を自身の研究の参考にすることなどなかったのではないでしょうか?

事実、本庶先生は、Tregが認知される前の90年代の終わりごろには既に、PD-1が働かないと免疫系が暴走することを独自に見出していました。

つまり、二人の成果は、坂口志文の成果とは何ら関係がない・・・と、ノーベル賞の選考委員会は考えたのかもしれません。推測ですが・・・

 

それともうひとつの理由は、Treg研究の成果が、まだ実用の面での貢献が足りないということです。

免疫チェックポイント阻害剤は世界中で使われ、多くの末期がん患者を延命してきた実績があります。

そこへいくとTregは、まだ医療応用の面での実績がない、ということは認めざるを得ない事実です。

ですが、実用の役に立っていない研究にノーベル賞の受賞資格がないわけでは決してありません。

新しい素粒子が発見されたとか、ニュートリノに質量があるとかないとか、そんなことは私たちの生活には何の関係もないと思う人は多いでしょう(私もそう思います)。

ですが、我々はどこから来たのか? なんのために存在しているのか? そして、どこに向かうのか? というような疑問と好奇心を抱き、それらを追究することをやめることはできません。

科学の進歩はすなわち、人類そのものの進歩なのです。

 

生理学医学賞に限らず、科学の発展に寄与した多くの業績に対してノーベル賞が授与されています。

志文先生の業績により、20世紀の古い免疫学が刷新され、人類に大いなる進歩をもたらせたことはまぎれもない事実です。

 

4.志文先生の今年の受賞はあるのか?

 

本庶先生の受賞から今年(2024年)で6年。志文先生の受賞はあるのでしょうか?

 

生理学医学賞たって、いろんな分野があって、それぞれの分野で傑出した成果を出している人がたくさんいるわけですからねぇ。

免疫学分野で授与して、2,3年後にまた同じ免疫学分野というわけにはいきませんよねぇ。

そこで、過去の免疫学分野でのノーベル生理学医学賞の受賞年を見てみましょう。

免疫学分野のノーベル生理学医学賞

 

本庶先生の受賞が6年前の2018年。その前が2011年で、7年の間隔があります。

さらにその前となると、さかのぼること15年の1996年です。'00年代の10年間は、まったく受賞がありません。

やはり、ぐるっとひと廻りするのに10年前後はかかりますよねぇ。

でも、1980年代には、3,4年の間隔で免疫学分野の業績が受賞していますから、6年ぶりの受賞は十分ありっすよね。

 

今年か来年にも坂口志文のノーベル賞受賞は十分にあり得る!というのが結論ですねv(^^)

発表まで、あともう少し。とても楽しみです。

 

おまけ

 

科学者の営みは無機質で味気ないもの?と思えば、さにあらず。

華やかなノーベル賞受賞の背後の、まことに人間くさいドラマ二編もどうぞ。

 

takyamamoto.hatenablog.com

20世紀の生命科学史上最大の発明~遺伝子増幅技術PCR法~

 

takyamamoto.hatenablog.com

20世紀の生命科学史上最大の発見~DNAの二重らせん構造モデル~

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

104【テロメアと老化(その2)】テロメアが長いと長生きできない「長いテロメア症候群」

目次:

1.「長いテロメア症候群」見た目は若いが、細胞はズタボロ

2.テロメアの長さを抑える遺伝子があった

3.がん細胞――無限に増殖する老化細胞

4.長いテロメアがもたらす恐怖の結果

 

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1. 「長いテロメア症候群」見た目は若いが、細胞はズタボロ

 

テロメアを伸ばすことができれば細胞は若返り、寿命すら延ばすことができるのか?

前回の記事、103【テロメアと老化】で、もし、皮膚の細胞のテロメアを伸ばして寿命を延ばすことができればどうなるか?についてお話ししました。

テロメアを長くしたおかげで皮膚細胞が若返って、死ぬべき細胞が死ぬことなく生き続ける。皮膚では細胞であふれかえる奇病になるんじゃないかと。。。

この話はもちろん仮説で、というより、可能性として考えられるひとつのシナリオであって、私の作り話ともいえるものです。本当にこうなるのかどうかは、分かりません。

ところが最近(といっても昨年の話ですが)、通常より長いテロメアをもった細胞がどうなるのか?そのような人がどういう運命をたどるのか?を観察、研究した結果が報告されました。

米国の名門、ジョンズ・ホプキンス大学のチームが、世界的に権威の高い臨床医学誌「The New England Journal of Medicine」2023年6月29日号に掲載した論文がそれです。

 

www.newswise.com

 

https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2300503

NEJM原著論文「長いテロメア症候群」

 

先天的な遺伝子異常によって、普通の人よりテロメアが格段に長い人がいるらしいです。

結論を言うと、このテロメアが長い人たちは、歳とってても見た目は若いのですが、実は細胞はズタボロだというのです。

そして、種々の悪性腫瘍の発症リスクが顕著に高いことが判りました。

論文の著者たちは、この症状を「long telomea syndrome(長いテロメア症候群)」と呼んでいます。

 

2.テロメアの長さを抑える遺伝子があった

 

普通の細胞には寿命があります。

細胞が分裂するたびにテロメアが短くなり、ついに一定の長さにまで短くなると、予めプログラムされていたとおりに細胞の増殖は停止し、細胞死に至ります。

しかし、造血系の細胞など、一生増殖し続けないといけない細胞は、それでは困るので、分裂の都度、短くなったテロメアの長さを回復させるテロメラーゼが働いています。

一方、普通の細胞では、テロメアが順当に短くならないといけないので、テロメアが長くなるのを抑える遺伝子があるのだそうな。

それがPOT1だそうです。

つまりPOT1は、テロメアを延ばすテロメラーゼとは逆の働きをしているわけで、細胞の種類によってテロメア長を適切に制御し、その結果として我々は健康に生きることができているのでしょう。

 

過去ブログで、早老症「ウェルナー症候群」のお話をしました。

その原因遺伝子はWRNでした。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

WRNの機能は、二本鎖DNAのらせん構造を巻き戻すヘリカーゼと呼ばれる酵素です。

WRNの欠損が、具体的にどのように老化を促進するのか、これもまた、具体的なことはわかっていません。

でも、WRNもPOT1も、染色体末端のテロメア配列に結合することはわかっており、どちらもテロメア長の制御に深く関わっていることは確かなようです。

 

このように、テロメア長の制御にはいくつもの遺伝子が関与しており、こういう微妙なバランスをとっているものを人間がいじくって、思いのままに細胞を若返らせたり、個体としての人間の健康寿命を延ばせるものでしょうか?

 

3.がん細胞――無限に増殖する老化細胞

 

テロメアが一定長以下に短くなると細胞は死滅する。

これを止めるには、死なないガン細胞に倣うのがいいでしょう。

がん細胞ではテロメラーゼが働いており、分裂のたびにテロメア長が修復されるので、無限に増殖できます。

さぞかし、がん細胞のテロメアって、チョー長いんでしょうね?

いえいえ、実はそれが、そうでもないんです。

 

がん細胞は多種多様で、それぞれに特徴は違うのですが、テロメアの長さは概して長くはないのです。

増殖停止に追い込まれるほど短くはないのですが、普通の細胞と比較しても、それほど長いわけではありません。

最低限の長さが維持できれば十分なのでしょう。

 

前回のブログでも述べたとおり、一般的にテロメアの短い細胞は老化状態にあると言われます。

そうすると、テロメアの短いがん細胞は、老化状態を維持したまま、チョー元気に無限に増殖を続けているということになるのでしょうか。

つまり、老化細胞のテロメア長を回復させて、分裂停止を回避しても、それだけでは若くて健康な細胞に戻れるとは限らないということではないでしょうか。

老化しているけれども、死ねないし、増殖を止められないという、なんとも不健全な細胞。これがガン細胞の姿なのかもしれません。

 

4.長いテロメアがもたらす恐怖の結果

 

では、がん細胞みたいに中途半端な長さではなく、もっと一気にテロメアを長くできればどうなのでしょうか?

 

ジョンズ・ホプキンスの論文に戻りましょう。

POT1遺伝子に変異のある5つの家系17人を対象に、いろいろと調べました。対象者の年齢は7歳から83歳。

変異保有者の血液細胞のテロメアは、普通に比べて2倍近い長さだったそうです。

そして、高齢でも白髪が少なく、見た目の若い人が多かったということです。(羨ましいですか?)

しか~~しッ、観察開始から2年の間に、甲状腺腫、黒色腫、リンパ腫、子宮筋腫など、様々な腫瘍が発生したと言います。中には、一人で複数の腫瘍を持つ人もいたとか。

 

どうしてこんなことになるのか?

クローン性造血というがん細胞の遺伝子を解析した結果、ひとつの細胞につき、数百から千個以上もの変異があったといいます。

これは異常な数です。これだけ細胞が、DNAがズタボロになりながら生き永らえているなんて。。。

私の知ってる常識では考えづらい。

なぜなら、私たちの体は、細胞がここまで異常になるのを見過ごし、許すことはないからです。ふつうは。。。(リンチ症候群とか、リ・フラウメニ症候群とか、一部の家族性腫瘍を除いては)

 

通常なら、DNAに変異が起こると、これを修復する遺伝子が働きます。

もし、修復しきれない場合は、「ゲノムの守護神」と呼ばれるp53遺伝子が発動し、異常細胞を自死アポトーシス)に追い込みます。

しかし、テロメアの長いPOT1変異保有者のガン細胞は、DNA修復遺伝子や守護神の介入を許すことなく、異常な数の変異を蓄積させながら生き永らえたということになります。

 

ジョンズ・ホプキンスのアルマニオス教授は、以下のように述べています。

「長いテロメアは、老化を防ぐというよりはむしろ、老化によって生じた変異細胞を守り、その耐久性を強化しているのではないか」

遺伝子変異は、早ければ4歳ころから始まると推測されるようです。

本来なら修復され、あるいは排除されるべき異常な細胞がテロメアの長さゆえに修復と排除に抗い、耐え抜き、生き残り、長年にわたって変異を蓄積して増殖し、幅を利かせ、様々な悪性腫瘍を発症するのだと。

 

テロメアが短いのは細胞が老化している証拠。だから、テロメアを伸ばせば老化は治せる。寿命が延ばせる。

無理にテロメアを伸ばせば、何が起きるかも知らずに、あまりにも安直な発想です。

私たちはまだ、生命についてなんにも知っちゃいないってことを、肝に銘じなければなりません。

 

皆さま、くれぐれも怪しい輩のいうことに引っかからないよう、くれぐれもご注意くださいね。

そして、何より大事なのは、食事・運動・睡眠です。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せください。

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