号外【2024年ノーベル生理学医学賞の発表は10月7日】坂口志文氏の受賞なるか?
目次:
1.逆境を跳ね返しての偉業!制御性T細胞の発見
2.なぜ本庶先生との共同受賞を確信していたのか?
3.なぜ本庶先生との共同受賞はならなかったのか?
4.志文先生の今年の受賞はあるのか?
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今年もこの季節がやってまいりました。
毎年この時季は心が高鳴ります。
関心事はもちろん、日本人の受賞はなるのか?
特に、ショッパナに発表される生理学医学賞に大、大、大注目です。
以前から、絶対にノーベル生理学医学賞を受賞すべき人、受賞して当然の人、と私が考えている方がいます。
大阪大学の坂口志文(しもん)先生その人です。
1.逆境を跳ね返しての偉業!制御性T細胞の発見
志文先生の最大の業績はというと、それはもう制御性T細胞(Treg)の発見です。
世界中の免疫学者の間で、免疫を抑える免疫細胞など存在しないのが常識とされ、その話題に触れることさえタブー視されるような風潮のなか、そんな研究を続ける者を変人でも見るような目に晒され続けながらの偉業です。
Tregって何?については、以下の過去ブログをどうぞ。
2.なぜ本庶先生との共同受賞を確信していたのか?
2018年、京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)先生が免疫チェックポイント分子の発見とガン治療への応用により、米国のジェームズPアリソンさんとともにノーベル生理学医学賞を受賞されました。
この年、私は本庶先生の受賞を予想し、見事に的中させましたが、実は正解率は50%。
なぜなら、この時、絶対に志文先生も共同受賞すると確信していたからです。
ノーベル賞の共同受賞は3人までです。
ひと枠空いてるのに、なぜ志文先生は受賞できなかったのか?
その資格がない、とでも言うのか?
それとも我々は、日本人の贔屓目からTregの発見を過大評価しているのだろうか??
選考委員会からすれば、客観的に見て、ノーベル賞というほどの業績でもないということなのか??
本庶先生とアリソンさんが見つけた免疫チェックポイントという機構は、免疫系を活性化したり、逆に抑制したりと、免疫の制御を行うための非常に重要な仕組みです。
そして、免疫を抑制する仕組みとは、まさにTregが担っているものです。
特にアリソンさんが発見したCTLA4という免疫チェックポイント分子を介した免疫抑制は、Tregのもっとも重要な機能なのです。
ですから、CTLA4の阻害によるガン治療は、Tregの機能の応用と言えます。
坂口・本庶・アリソンの3名の共同受賞!
完璧じゃないっすか!?
3.なぜ本庶先生との共同受賞はならなかったのか?
本庶先生がPD-1を発見したのが1992年、アリソンさんのCTLA4が1995年です。
一方、志文先生が初めてTreg発見の論文を発表したのが1995年です。
後年になって、志文先生のこの論文は、20世紀の免疫学研究でもっとも画期的な論文との認定を受けています。
ですが発表当時、この歴史的な論文は、世界中の免疫学者から完全シカトされたのです。
称賛する者もいなければ、こき下ろす者もいない。誰もなんにも気にもとめなかったのです。
Tregが認知されるまでに志文先生が歩んだイバラの道については、以下の過去ブログでどうぞ。
上の過去ブログの通り、Tregについて、「どうやら本当らしいぞ」「実在するみたいだ」と認められるようになったのは、世紀も変わった2001年以降のこと。
ですから、おそらく、本庶先生とアリソンさんが、それぞれPD-1とCTLA4の研究に打ち込んでいた90年代の後半から2000年代の初頭にかけて、お二人ともTregのことは知らずに、あるいは知ってはいても、少なくとも志文先生のTregの研究成果を自身の研究の参考にすることなどなかったのではないでしょうか?
事実、本庶先生は、Tregが認知される前の90年代の終わりごろには既に、PD-1が働かないと免疫系が暴走することを独自に見出していました。
つまり、二人の成果は、坂口志文の成果とは何ら関係がない・・・と、ノーベル賞の選考委員会は考えたのかもしれません。推測ですが・・・
それともうひとつの理由は、Treg研究の成果が、まだ実用の面での貢献が足りないということです。
免疫チェックポイント阻害剤は世界中で使われ、多くの末期がん患者を延命してきた実績があります。
そこへいくとTregは、まだ医療応用の面での実績がない、ということは認めざるを得ない事実です。
ですが、実用の役に立っていない研究にノーベル賞の受賞資格がないわけでは決してありません。
新しい素粒子が発見されたとか、ニュートリノに質量があるとかないとか、そんなことは私たちの生活には何の関係もないと思う人は多いでしょう(私もそう思います)。
ですが、我々はどこから来たのか? なんのために存在しているのか? そして、どこに向かうのか? というような疑問と好奇心を抱き、それらを追究することをやめることはできません。
科学の進歩はすなわち、人類そのものの進歩なのです。
生理学医学賞に限らず、科学の発展に寄与した多くの業績に対してノーベル賞が授与されています。
志文先生の業績により、20世紀の古い免疫学が刷新され、人類に大いなる進歩をもたらせたことはまぎれもない事実です。
4.志文先生の今年の受賞はあるのか?
本庶先生の受賞から今年(2024年)で6年。志文先生の受賞はあるのでしょうか?
生理学医学賞たって、いろんな分野があって、それぞれの分野で傑出した成果を出している人がたくさんいるわけですからねぇ。
免疫学分野で授与して、2,3年後にまた同じ免疫学分野というわけにはいきませんよねぇ。
そこで、過去の免疫学分野でのノーベル生理学医学賞の受賞年を見てみましょう。

本庶先生の受賞が6年前の2018年。その前が2011年で、7年の間隔があります。
さらにその前となると、さかのぼること15年の1996年です。'00年代の10年間は、まったく受賞がありません。
やはり、ぐるっとひと廻りするのに10年前後はかかりますよねぇ。
でも、1980年代には、3,4年の間隔で免疫学分野の業績が受賞していますから、6年ぶりの受賞は十分ありっすよね。
今年か来年にも坂口志文のノーベル賞受賞は十分にあり得る!というのが結論ですねv(^^)
発表まで、あともう少し。とても楽しみです。
おまけ
科学者の営みは無機質で味気ないもの?と思えば、さにあらず。
華やかなノーベル賞受賞の背後の、まことに人間くさいドラマ二編もどうぞ。
20世紀の生命科学史上最大の発見~DNAの二重らせん構造モデル~
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。
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