目次:
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Let’s try! キレイ好き度チェックリスト(子供編)
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昭和30年代以前はアレルギーという概念がなかった? ~アーミッシュからの考察~
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我々には菌と毒が必要だ!
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抗菌加工のものは全部、木曜の朝、ゴミ置き場に出しましょう
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① Let’s try! キレイ好き度チェックリスト(子供編)
これ重要
小さいお子さんをお持ちのお母さん方にお尋ねします。
お子さんに以下のことをいくつしていますか?
- 授乳の時は乳首を消毒していた
- 子供に砂場遊びや泥んこ遊びを禁じている
- 子供には犬や猫を触らせない
- 食物アレルギーになるのが怖いので、子供に与えていない食材がある
- 床に落ちたものは(たとえ家の中でも)絶対に食べさせない
さあ、いくつ当てはまりますか?
これらすべてNGです。
5つ全部やっているという方は、お子さんの健全な成長を邪魔しています。
乳首の消毒なんて、私の家内もやっていました。
病院で看護師さんから指導されてのことでした。
15年くらい前までは、医療関係者の間でも消毒が常識だったのですね。
でも、この10年近くの間に考え方が様変わりしました。
まさに「昔の常識、今非常識」です。
② 1960年代以前はアレルギーという概念がなかった? ~アーミッシュからの考察~
1960年代以前は、アレルギーの患者は非常に少なく、医学界には「アレルギー」という疾患概念すらありませんでした。
それが、高度経済成長とともにアレルギーが増え始め、現在では、なんのアレルギー疾患も持っていない人の方が少ないくらいです。
なぜ昔は少なかったのか?
その謎を解くカギはアメリカにありました。
アーミッシュというのは、数百年前にドイツの辺りからアメリカに移住してきた人たちの集団で、信仰上の理由から現代文明を否定し(電気・ガス・水道ありません)、農耕・牧畜で自給自足している人たちです。
実は以前から、アーミッシュの人たちには非常にアレルギーが少ない、都市部に住むアメリカ人の10分の1から20分の1程度しかアレルギー性疾患がないことが知られていました。
なぜなのか?
多くの医学研究者がこの謎の解明に挑んできました。
長年にわたってアーミッシュは、アレルギーの原因とメカニズムを解明するための重要な研究対象であり続けました。
現代文明に背を向けながらも、彼らは現代医学の進歩のために協力し続けてくれているのです。
これまで多くのグループにより、アーミッシュの研究がなされてきました。
つい最近では昨年(2016年)、シカゴ大学のグループが「New England Journal of Medicine」という非常に権威のある医学雑誌で新たな知見を報告し、注目されました。
これまでに得られた知見は(おおざっぱには)こうです。
アーミッシュは農耕・牧畜をしています。
アーミッシュの子供は小さいころから家畜に触れています。
他にも原因はありますが、この家畜に触れることがアーミッシュにアレルギーの少ないひとつの理由だと言います。
アーミッシュのコミュニティは動物であふれている
では、家畜の何がいいのか?
それは家畜の「糞」です。
もっというと、糞の中の細菌が作り出す「毒素」です。
③ 我々には菌と毒が必要だ!
アレルギーは、反応してはいけない物質に免疫系が異常反応する病気です。
我々の体には免疫を抑える仕組みがあり、それに重要な役割を果たしているのが、1995年に日本人免疫学者(現大阪大学教授・坂口志文先生)が発見した制御性T細胞(Treg; ティーレグ)というものです。
アーミッシュの人は、このTregの数が多いことが分かっています。
Tregがアレルギーの異常な免疫反応を抑えているわけですね。
Tregは免疫系にバランスをもたらす非常に重要な細胞ですので、また別の機会に詳しくお話します。
さて、子供のころに様々な菌や毒素に触れることによって、免疫系は正しいバランスを得るようになります。
現代の過度に清潔な環境下にいると、この免疫のバランスが築けず、必要な数のTregが育たないのだということが分かってきました。
アレルギーは、清潔になりすぎた近代的な生活が引き起こした新しい病気なのです。
④ 抗菌加工のものは全部、木曜の朝、ゴミ置き場に出しましょう
- せっかくのお母さんの肌にいる菌に触れる機会を奪わないようにしましょう
- 砂遊びをさせましょう
- 動物に触れさせましょう
- 抗菌加工のものは全部、木曜の朝、ゴミ置き場に出しましょう
- 隙間だらけの木造住宅に住みましょう
「不衛生にしろ」とは言いませんが、過度に清潔な環境を与えて、子供の免疫系を過保護にしてはいけません。
それも乳幼児の時期が大切です。
手洗いなどは、よっぽど汚れているとき以外は、水だけで十分です。
汚れているときでも、普通のせっけんにしましょう。(筆者注)
「子供がお腹痛を起こしたらどうしてくれるんだ!」って?
たとえ、それで一時的にお腹が痛くなったとしても、そういうことを繰り返して健全な免疫系が出来上がっていくのですから。。。
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。
ご注意下さい:
インフルエンザウイルスやノロウイルス、大腸菌O-157の流行、またMRSA(多剤耐性黄色ブドウ球菌)の蔓延など、多くの人命が危険にさらされる状況では、感染拡大防止のために薬用せっけんや消毒薬の使用は非常に重要です。
また、食品関連の業務では、食中毒防止の目的で、薬用せっけんや消毒薬での手洗いが励行されています。
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是非、ご意見・ご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。
大変な励みになります。