Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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009【清潔はビョーキだ!!(その1)】We love 菌

目次

  • Let’s try! キレイ好き度チェックリスト

  • 菌と免疫の緊密な関係

 

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Let’s try! キレイ好き度チェックリスト

 

今回は気分を変えて、「健康に過ごすための“正しい食事7箇条”」の話題から一旦離れます。

いずれまた、“正しい食事7箇条”の6番目のお話に戻ります。

 

前回のブログ008で、人工甘味料が腸内細菌に悪い影響を与えて、その結果、糖尿病のリスクを引き上げるという「ネイチャー」の論文をご紹介しました。

つまり、腸内細菌が悪い方向に変化すると病気になり得るということです。

 

腸内細菌と健康の関係について注目が集まったのは、ここ7~8年くらいです。

 

10年位前までは、乳酸菌飲料をせっせと飲むのも、せいぜいお腹の調子を整えて、便秘を改善するくらいの目的でしたが、今は、「腸活」という言葉が流行るくらい、腸内細菌が健康に及ぼす重要性について広く知られるようになりました。

 

現在までに、腸内細菌の乱れが原因になっている、あるいは深く関わっていることが指摘されている病気には、次のようなものがあります。

 

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ほとんど全ての疾患領域ですね。

 

「腸の中の菌が、なんで心の病気と関係あるの?」と思われるかもしれませんが、腸と脳は神経ネットワークでつながっており、「対話している」と言われるほどです。

また、腸でセロトニンドーパミンなどの脳内神経伝達物質が作られていることは、現在ではよく知られています。

 

腸内細菌の重要性については、一般の人向けに書かれた易しい本がたくさん出回っていますし、テレビ・雑誌でも取り上げられていますので、これ以上クドクド書かなくてもいいでしょう。

 

で、まだあまり注目されていないのが腸以外の体の菌です。

腸以外というと、口の中(口腔)や皮膚です。

 

ではここで、セルフチェックをしてみましょう。

「衛生面には気を付けている」と自負するキレイ好きの方は是非ともご参加下さい。

 

さあ、貴方のキレイ好き度は?

 

  1. 必ず薬用せっけんを使ってしっかり手洗いする
  2. 頭と体は毎日しっかり洗う
  3. 1日2回以上入浴またはシャワーする
  4. 1日に何回も洗顔する
  5. 殺菌効果のあるうがい薬やマウスウォッシュを常用している
  6. 部屋や衣服に消臭・除菌スプレーを日常的に使っている
  7. ウェットティッシュを携帯している
  8. 日用品は出来る限り抗菌加工のものを買う
  9. 住むなら絶対に機密性の高い家に限る
  10. 少しのホコリも気になってしょうがない

 

さあ、どうでしたか?

 

8個以上の方:貴方は完全にビョーキです。「清潔」というビョーキです。

5~7個の方:気を付けないとビョーキになりますよ。ライフスタイルを見直しましょう。

2~4個の方:ごくごくフツー人です。

0~1個の方:素晴らしい! 理想的な清潔観念の持ち主です!

 

菌と免疫の緊密な関係

 

私たちの体、腸の中、口の中、皮膚の表面にはたくさんの菌が常在、というより私たちと共生しています。

これらの菌は、私たちの体の調子に大いに影響を与え続けています。

 

私たちは無菌の状態で生まれて来ます。

厳密に言うと、お母さんのおなかの中の胎児は無菌状態です。

そして、生まれてくるとき、お母さんの産道の中で初めて菌に触れます。それはお母さんの菌です。

 

おっぱいを飲むときにも体の中に菌を取り込みます。

看護師さんや来訪者の菌にも触れます。

空気中の菌も、離乳食の中の菌も取り込みます。

赤ちゃんはなんでも口の中に入れようとします。

そうしてやがて、その子特有の細菌叢(さいきんそう)を腸の中や、口の中や、皮膚の表面に構築するようになるのです。

 

ですから、その子の育った環境によって、どんな菌に触れたかによって、一人ひとりの細菌叢は異なった固有のものに確立されていきます。

 

抗生物質の飲み過ぎで正常な腸内細菌叢が破壊される「菌交代現象」というのは、昔から知られていました。

抗生物質で良い腸内細菌が殺され、悪い菌が優勢になる現象です。

 

同様に、過度にきれいにすることで、良い菌まで取り除いてしまうと、健康上のトラブルにつながるのです。

 

なぜかというと、我々の体の細菌叢と免疫は緊密に関連しており、細菌叢の状態が免疫系の調子を左右し、免疫系の不調から様々な病気にかかるからです。

 

過度の清潔が引き起こす病気の一つに、現代病と言われるアレルギーがあります。

これも菌と免疫が大きく関わっている病気です。

 

次回は「清潔」とアレルギーの関係についてお話します。

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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