Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

健康 病気 免疫 遺伝子 腸内細菌 がん 生活習慣病 感染症

Drやまけんの「病気と免疫の話」エピソード3

新しい動画をYouTubeにアップしました。

自然免疫の重要性について、ノーベール賞受賞者のお仕事と、ある著名な日本人研究者の業績についてお話しています。

 

www.youtube.com

 

再生リストも作成しました。

YouTubeで「drやまけん 病気と免疫」で検索してみてください。

 

本ブログともどもよろしくお願い致します(^^)

 

 

092【「コールドストレス」体を冷やしてはいけない本当の理由】がん(その12)

実に久しぶりに「がんシリーズ」をお送りします。

今回の話は、普段の生活の中で皆さんが出来るちょっとしたことでがんを防ぐ、あるいはがんに勝つために大切なことをお伝えしますので、是非お読みください。

最新の医学研究で分かってきたことなのですが、本当に簡単なことなので、役に立つと思います。

 

目次:

1.低体温はホントに良くない

2.がん細胞は高温に弱い

3.気温22℃と30℃ どっちで暮らしたい?

4.低温環境の弊害

5.結論

 

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1.低体温はホントに良くない

 

よく「体温が1℃上がると免疫力は○倍にアップ」なんて耳にしますね。

誰がどういう方法で免疫力を数値化したのか知りませんが、これって本当なんでしょうか?

間違いなく本当です。

私たちの体の細胞やタンパク質は37℃付近で効率的に機能するように出来ています。

なので、体の恒常性の維持機能が働いて、暑い夏でも寒い冬でも、体温をこの好ましい温度に保とうとします。

 

takyamamoto.hatenablog.com

「恒常性の維持」については過去ブログご参照

 

免疫細胞もこのくらいの温度で一番元気!

ですから、寒い冬には体を冷やさないことはとても重要なのです。

夏でも冷たいものの摂りすぎは、決して好ましいことではありません。

気をつけなはれや!(年がら年中冷えたビールばっか飲んでるクセに、エラそうに言うな!笑)

 

低体温の人は、やはり免疫が弱いと考えて良いでしょう。

じゃあ、低体温の人はどうすれば良いのかって?

う~~ん。それは私には分かりません。

漢方とかカプサイシンとか、いいのかな?

専門家にご相談ください。(チョー無責任!)

 

2.がん細胞は高温に弱い!

 

がん細胞は42℃以上の温度でほとんど死滅します。

また、正常細胞よりも低い35℃くらいを好みます。

だから間違いなく体温は高いほうがいい!

とは言っても、42℃以上まで体温が上がると完全に病気だし、そもそも死んでしまいますが。。。

温泉なんかを利用した「温熱療法」。これは最近の研究結果からすると、効果が期待できると言っていいでしょう。

 

体を温め、体温を高く保つこと。

これによって、がん細胞に不利な環境を作り、元気な免疫力でもって叩く!!

ベストな戦略です!

 

ではここで、低温環境がいかにガンに有利であるかお話しましょう。

 

3.気温22℃と30℃ どっちで暮らしたい?

 

質問です。

22℃と30℃。どっちの環境で暮らしたいですか?

30℃? なんで? 南の島でのんびり暮らしてみたいって?

いや、そういうことじゃなくって、単純に環境温度だけの問題としてお考えください。

 

何かで聞きましたが、人間が一番快適と感じる温度は22℃だそうな。

そうですよね。暑すぎず、寒すぎず、それくらいが一番過ごしやすいです。

でもですね、がん細胞にとっても22℃は「楽園」なのですねー。

 

実験動物を飼育するときの温度って22℃くらいがスタンダードですね。

実験動物の飼育設備では、温度変化などの環境条件を可能な限り一定に保っています。

 

さて、こういう実験結果があります。

膵臓がんのマウスを2つのグループに分けます。

Aグループは22℃、Bグループは30℃で飼育します。20日後にはどうなったか?

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

マウスを22℃で飼育すると、30℃よりもがんの増殖が速い!

 

マウスのがんの塊は日を追うごとにどんどん大きくなります。

ところが、30℃(Bグループ)で飼育したマウスのがん細胞の増殖は遅く、20日後には、がんの塊の大きさは22℃(Aグループ)の7割程度に抑えられたのです。

 

ここで抗がん剤を使うとどうなるか?

30℃飼育ではがん細胞の増殖はさらに抑えられ、がんの塊の大きさは22℃/抗がん剤なしのマウスの4割程度にまで抑えられました。

抗がん剤治療に加えて、体を温める温熱療法なんかの併用効果が期待できるという結果です。

 

4.低温環境の弊害

 

摂氏22度!

超快適な温度に思えて、実はこれは我々哺乳動物にとっては「ストレス」だというのです。

名付けて「コールドストレス」

低い環境温度で体温を維持することは、実は私たちの体には大きな負担なのです。

 

コールドストレスが私たちの体に及ぼす影響はこうです。

低い環境温度にいると、体温を維持するために基礎代謝が上がります。

体内で盛んにエネルギーを燃やしている状態ですね。

その結果、ノルアドレナリンなどのストレスホルモンの放出が増えます。

ノルアドレナリン神経伝達物質の一種で、交感神経を優位にして活動的になります。

抗うつ薬SNRIという種類の薬がありますが、これはうつ患者で低下したノルアドレナリンを増やす狙いがあります。

逆にノルアドレナリンが過剰に働くと攻撃性が増すことも示されています。

 

takyamamoto.hatenablog.com

過剰な神経伝達物質が凶悪犯罪の原因?

 

また、ノルアドレナリンはストレスホルモンと呼ばれるだけあって、異常に高い状態が続くと血糖値や血圧の上昇などを引き起こし、様々な生活習慣病のリスクを高めることになります。

 

さらに、ストレスホルモンの上昇が血管新生を促進することも解っています。

がん細胞は活発に増殖する分、正常細胞よりも多くの栄養分と酸素を必要とします。

そこで、これらを自分に優先的に取り込むため、ストレスホルモンの力を借りて血管内皮細胞の増殖因子を増やして、自分達の周りに新たに血管網を作り出します。

こうして、酸素と栄養を横取りし、供給を確保しているのです。

対して、正常細胞には十分な酸素と栄養が行きわたりません。

こうして、末期のがん患者は衰弱していくのです。

 

5.結論

 

コールドストレス!

快適に感じるからといって、体に良い訳ではない。

病気のときも健康なときも体を冷やさないこと。

体温を上げることが大切です。

 

だから沖縄の人って長寿なの、かな?

老後は南の島に引っ越そう、かな、、、ブツブツ、、、

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せください。

大変励みになります。

 

 

Dr.やまけんの「病気と免疫」の話第1話

Dr.やまけんで~す(^^)

「病気と免疫の話」第1話、「ヒトはなぜ病気になるのか?」の動画です。私自ら語っています。

う~~ん、「低音のいい声」とか「低っくい幽霊みたいな声」とも言われたナレーションをお楽しみください(^^)

 

youtu.be

 

 

Dr.やまけんの「病気と免疫の話」動画始めましたよ~ん

皆さま

 

ブログって、基本文章だし、文章読むの面倒くせえし、文章じゃよく分からんし。。。

そこで、こんなの始めました。

 

www.youtube.com

 

ナレーション入り動画です。

これまでブログでお話してきたような内容を、パワポのナレーション入り動画でお話しています。

なんと、私の生声も聴けますよ(そんなん、別にええってか?)

 

TouTubeにアップしていきますので、観て頂けたら幸いです。

んでもって、感想やご批判を頂けたら、サルみたく喜ぶことでしょう(^^)

 

宜しくお願い致します。

 

やまけん

091【「心の病気」と「体の病気」は別物ではない】

今月初めは「これでも師走か?」というような陽気が続きましたが、やっと冬らしくなって来ましたね。

薄手の掛け布団で寝ていたら、見事に風邪をひいてしまいました。皆さんも体調管理にはくれぐれもお気をつけ下さい。

でも、なんで布団かけないで寝ると風邪ひくんだろ。布団には感染防御機構が備わっているの、かな?(笑)

 

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かつて精神疾患は、「怠けている」「甘えている」「気合が足りない」とか言われて、かかったことのない人には、なかなか理解してもらえませんでした。

現在でも、「心の病気」とか言って、体の病気とは何か別物のように捉えられている傾向があって、いまだにそれが、一部で無理解の原因になっているように思います。

「心の病気」と「体の病気」は、まったく違うものなのでしょうか?

 

現在では、ドーパミンセロトニンなどのモノアミン系神経伝達物質のバランス異常が多くの精神疾患の原因になっていることが分かっており、このことが明らかに、精神疾患が生理的機能異常による「病気」であることを示しています。

モノアミン系神経伝達物質が少なくなると、うつなどの神経疾患の原因になります。

一方で近年、これらの物質が過剰になると、攻撃性が増し、犯罪に走りやすくなることも指摘されています。(過去ブログご参照)

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

さて、過去ブログでお話したとおり、我々の体には「神経系」「内分泌系」「免疫系」という3つの系があり、これらが相互にバランスを取り合って身体機能の恒常性を維持ホメオスタシスしています。

この3つの系のひとつが不調に陥ると、それが他の系にも悪影響を及ぼして恒常性が破綻し、病気になります。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

神経伝達物質というと「神経系」ですね。

神経系のバランスが崩れて精神疾患にかかるのはもっともなこと。

でも、神経疾患が神経系だけの問題かというと、そうではありません。

たとえば、ドーパミンセロトニンの元になる前駆物質の大半は腸内細菌が作っています。

腸内細菌叢の変化が性格にまで影響していることは以前のブログでお話しました。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

腸内細菌叢のバランスは腸管免疫と密接な関係にあります。

免疫系が不調になると腸内細菌叢も乱れ、それが心の調子にも大きな影響を与えているわけです。

心の病気は神経系だけの問題ではないのですね。

 

近年、うつなどの精神疾患の人の血中で、免疫系の伝達物質であるサイトカインのバランスが崩れていることが分かって来ました。

なかでも炎症性サイトカインの代表格であるインターロイキン6(IL-6)が異常に増えており、IL-6を阻害する方法がうつの治療に有効かもしれないと言うのです。

 

www.m3.com

 

IL-6は多くの炎症性疾患で増加が認められ、強い炎症反応の引き金となって、いろいろな悪さをしています。

例えば関節リウマチ

そこで、IL-6を抑える薬が登場しました。抗体医薬品です。

本ブログの熱心な読者の方ならご存知かと思いますが、悪さをする物質を抑えるのに抗体医薬品が多く使われています。

(先だってノーベル賞を受賞した本庶先生の免疫チェックポイント阻害剤も抗体医薬品です)

事実、抗IL-6抗体は関節リウマチ対して高い効果を示します。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

繰り返しになりますが、「神経系」「内分泌系」「免疫系」は互いに連携しながら体の恒常性を維持しています。

その連携の不調が原因となって様々な生体内物質のバランスが変化し、その影響が臓器や組織に現れた結果が、いわゆる「体の病気」の状態です。

でも、ここまで述べてきたように、多くの精神疾患においても生体内物質のバランスが崩れており、それが脳に影響を及ぼして多くの精神疾患の原因となっているのです。

 

体内の様々な物質のバランスの変化の影響が、他の臓器や組織ではなく、脳を含む中枢神経系に及んだ結果が精神疾患なのであり、心と体の病気の大元の原因が共通していることが多々あるのだということが分かって来ました。

こう考えると、「心の病気」と「体の病気」とを分けて考えることに、あまり意味がないように思えます。

そして、誰でも体の病気になり得るように、誰もが心の病気になり得るということなのです。

 

近い将来、リウマチの薬が精神疾患の治療に使われたりするかもしれませんね。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せください。

大変励みになります。

 

 

【セミナー、講演会をさせて下さい】勉強会の講師でもOK! 完全無報酬ですよ!

このブログを始めたとき、1年続けて1万回のアクセスがあればハッピーだって思っていました。

でも、1年8ヶ月で5万アクセス越え! 予想外の喜びです。

お読み頂いた読者の皆様、本当にありがとう御座います。

 

以前、「病気と免疫」をテーマに講演会をやらせて頂いたことがありましたが、講演会やセミナーも随分ご無沙汰。

どなたか、私に話をさせて頂けないでしょうか。

報酬は一切無用です

会場のみご用意ください。(遠方の場合は交通費はお願いします)

 

医療費削減や市民の健康増進に心を砕く行政の方々、NPO法人の方々、医療保険関係の方々、草の根レベルで市民活動されている方々。

聞いて下さる方がどんなに少なくっても構いません。ひとりでも、ふたりでも。

セミナーや講演会でなくても結構です。聴講者がどんなに少なくても構いません。

例えば勉強会の講師としてでも、喜んで伺います。むしろ、それもいいかもと思います。

 

この国の未来のために、正しい情報を出来るだけ多くの人にお伝えしたい。それだけです。

私の話を聞いて頂き、気付きを持って頂ければ、わずかながらでも、この国の将来、そして、子どもたちの明るい未来のために貢献できるかもしれないという思いがあるのみです。

 

以下、私がお話しできる内容について、お読み頂ければ幸いです。

何卒しばらくお付き合い下さい。

お問い合わせは、本ブログにコメントを頂ければ幸いです。

 

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私の動機

 

2016年の我が国の国民医療費は実に41.3兆円!

これがいかに莫大な金額か想像できるでしょうか? これを一万円の札束で積み重ねると、その高さはなんと413km!

あの国際宇宙ステーションの高度が地上400kmですから、宇宙空間にまで達する、まさに天文学的な金額なのです。

このままでは早晩、日本の医療財政は確実に破綻します!

私たちの国の将来のために、子どもたちの明るい未来のために、今、私たちにできることは何か!? 皆さんといっしょに考えたいと思います。

 

 

一般の方向け

 

1.私たちがいつまでも健康でいるために大切な事 ~腸内細菌の驚異のパワー~

 

昨今、「腸活」などと言われて、腸内細菌の大切さが広く知られるようになりました。

でも、腸内細菌の何がいいのか? 腸内細菌は何をしているのか? 腸内細菌をいい状態に保つために私たちは何をすればいいのでしょうか?

近年の研究で、腸内細菌が体の病気だけでなく、心の病気とも密接に関係していることが分かってきました。

いつまでも健康に過ごすために大切な事。

最新の研究成果も踏まえて、一般の方々に、腸内細菌の驚異のパワーについて、分かりやすく、楽しくお話しできれば幸いです。

 

2.子どもをアレルギーにさせないために(その1) ~食物アレルギーは食べさせて防げ!~

 

かつては、子どもを食物アレルギーにさせたくなかったら、原因となる食物を一切食べさせないのが普通でした。

お医者様も親御さんにそう指導してきましたし、日本小児アレルギー学会のガイドラインにも「原因食物を徹底的に除去せよ!」と書かれていました。

ところが、この数年で大方向転換。なんと、ガイドラインが「食べられるのなら、可能な限り積極的に食べさせよ!」に変わったのです。

なぜ食べさせた方が食物アレルギーの予防につながるのか? 今までの方法は間違っていたのか? 2015年頃からの医学研究で分かってきた正しい食物アレルギーの予防法についてお話します。

 

3.子どもをアレルギーにさせないために(その2) ~食物アレルギーの予防にお肌ケア~

 

食物アレルギーと言っても、その種類や症状は人によって様々。

ところで、ピーナッツアレルギーって、欧米などの外国には多いですが、日本には少ないですね。

海外でも、なぜかイスラエル人には少ないのです。この理由が近年になって分かってきました。

驚くべきこの事実に戦慄する人もおられるかもしれません。

子どもをきつい食物アレルギーにしていたのは、ほかならぬ「親」だったのです。

お子さんを食物アレルギーにしないために知って頂きたい、大切な事についてお話します。

 

4.子どもをアレルギーにさせないために(その3) ~アレルギー性疾患急増は過度の清潔好きが原因!?~

 

昭和40年代以前は、アレルギー性疾患は非常に少なく、そのため、アレルギーという疾患概念すらありませんでした。

我が国の近代化とともに急増したアレルギー性疾患。

その黒幕は、寄生虫感染の撲滅と過度の衛生的な生活環境だったのです。

お子さんに泥んこ遊びをさせていますか? 動物に触れさせていますか? 除菌ティッシュなんて持ち歩いていないですか?

お子さんを過保護にすることが、お子さんの免疫系を不健全にし、アレルギーをはじめ、さまざまな病気の原因を作っているという事を知って頂ければ幸いです。

 

 

専門の方向け

 

看護師、管理栄養士、保健師介護福祉士など、医療のお仕事に携わっておられる専門知識をお持ちの方々を対象に、専門職の方にもあまり知られていない「健康に過ごすために大切な事」のうち、特に病気と免疫、腸内細菌、慢性炎症などの話題を中心にお話させて頂きます。

 

5.総論 「病気と免疫と腸内細菌 ~黒幕は慢性炎症~」

 

今や、病気になる仕組みと、その治療方法について、免疫抜きでは説明できなくなってきています。

21世紀の医療のカギは間違いなく免疫です。そして、この免疫を腸内細菌が制御し、免疫が腸内細菌を守っているというように、この両者が相互依存関係にあることが明らかにされました。

免疫が不調になると腸内細菌のバランスが崩れ、腸内細菌のバランスが崩れると免疫が不調に陥る。

そして、あらゆる病気の黒幕である「慢性炎症」を引き起こす!

ここでは、専門職の方に、一段も二段もレベルを上げてお話させて頂き、普段何気なく携わっておられるお仕事の中で、「ああ、そういう事なのか」という気付きを持って頂ければ幸いです。

 

6.腸内環境の維持向上に、そして免疫力の不活化に食物繊維!

 

残念なことですが、健康食品の中には「眉唾物」と言いますか、明らかな「まがい物」も多く、明らかに科学的エビデンス(学術論文)がないにも関わらず、宣伝文句にだまされて購入する人が後を絶ちません。

中には、余命宣告されたような人たちが、藁をもすがる思いでそのようなものに最後の望みを賭けるという例も少なくなく、本当に心が痛みます。

しかし、中にはまぎれもない本物があるのも事実です。

世界中の研究者や医師による基礎研究と臨床研究、症例報告を合わせて数千にものぼる学術論文。病苦から救われた人々の喜びの声(これが実は胡散臭さを冗長している)。

しかし、薬事承認されていない「健康食品」であるがゆえに、メーカーは宣伝に苦慮し(宣伝広告で効果・効能を謳うことは違法ですから)、本物を、それを必要としている人たちに届けることができないでいます。

そんな数少ない本物が、どういうメカニズムで効果を発揮するのか? 今世紀の免疫学研究が明らかにした科学的事実についてお話します。

キーワードは樹状細胞、トール様受容体、制御性T細胞。いずれも21世紀の免疫研究の本流と目されているものです。

それから、腸内細菌と慢性炎症もお忘れなく。

※    私は、ある特定の健康食品メーカーや、特定の製品の宣伝に与するものではありません。科学的根拠から導き出された客観的事実のみについてお話いたします。

 

トピックス:2018年ノーベル生理学・医学賞受賞の免疫チェックポイント阻害剤! 何がそんなにすごいのか?

 

従来の「がん免疫療法」と言うと、高額な割に効果が低く、副作用が強いために続けられないことが多く、「効く、効く」と言っているうちにオオカミ少年みたくなってしまったのでした。

本庶佑(ほんじょ たすく)京都大学特別教授が開発した免疫チェックポイント阻害剤「抗PD-1抗体」。

新手のがん免疫療法剤です。本庶先生自ら国内の大手製薬メーカーをことごとく回りましたが、「がん免疫療法」と聞いた途端、「眉唾」とばかり、どの製薬メーカーも見向きもしませんでした。

門前払いを喰わせなかったのは、高名な本庶先生に敬意を払ってのこと。誰も信じません。

唯一、抗がん剤の開発実績も十分な開発資金もない小野薬品工業を除いては。。。

従来のがん免疫療法の常識を覆した「免疫チェックポイント阻害剤」とは何なのか? 何がそんなにすごいのか? 課題・問題点は? 今後の医療にどう影響する?

これらの問題について、本庶先生の抗PD-1抗体開発秘話を紐解きながら、免疫チェックポイント阻害剤のインパクトと医療の未来について皆さんといっしょに考えたいと思います。

 

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今後も随時、話題を増やしていく予定です。

よろしくお願い致します。

 

 

号外【Serendipity!】貴方も持ってる!失敗から大逆転する才能!

偶然? 必然? 棚からぼた餅?

科学者の偉大な業績のなかには、偶然の産物や単なる幸運に見えるものも多くあります。

しかし、ノーベル賞を受賞するような研究者は、偶然の出来事や予想外・期待はずれの結果から、より重要な真理を見出す能力を例外なく持っているものです。

そのような能力をSerendipityと呼びます。

たぶん、貴方にも私にもありますよ(^^)

 

  1. 本庶佑アポトーシス関連遺伝子との誤認から一転ノーベル賞

  2. 審良静男:「ノックアウトマウス製造工場」の工場長(失礼!)から研究者が選んだ「研究者の中の研究者」へ!

  3. ワーファリン:害獣を殺す「毒」から人を生かす「薬」へ! 殺鼠剤から生まれた良薬

  4. ジェームズ・ワトソン:DNA二重らせん構造モデル! 化学の落第生が世紀の大発見に至った本当の理由

  5. バイアグラ:治験失敗薬が取り戻させた男の自信と尊厳

  6. アレクサンダー・フレミング:カビのコンタミ! 初歩的実験ミスが人類を細菌感染症の脅威から救った!!

 

過去ブログと内容が重なるところもありますが、まとめてお読みいただくと、科学の裏側で展開されるドラマのおもしろさをあらためて感じ取って頂けるのではと思います。

 

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1.本庶佑アポトーシス関連遺伝子との誤認から一転ノーベル賞

 

2018年のノーベル生理学・医学賞受賞の免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」は、免疫細胞表面のPD-1というタンパク質に結合する抗体です。

このPD-1遺伝子を発見したのは、当時、本庶研の大学院生だった石田靖雅先生(現奈良先端科学技術大学院大学准教授)です。

 

研究者たちが新しい遺伝子なんかを発見すると、自己の業績をアピールするかのごとく、できるだけ印象的な名前を付けるものです。

命名権は発見者の特権というわけです。

そして、その名称が他の研究者の論文で引用されたりすると、研究者達の間で認知され、定着していきます。

 

当時、石田先生と本庶先生らは免疫細胞のアポトーシス(細胞の自殺)の研究を行っており、その中で見つけたこの遺伝子をアポトーシス関連遺伝子であるとしてPD(Programed Death;プログラムされた細胞死)-1と名付け、論文発表しました。

私は、本庶先生や石田先生が、PD-1のことを早まってアポトーシス関連遺伝子だと誤認したのだろうと思っていましたが、奈良先端大のホームページによると、石田先生自らによって「アポトーシスに重要な役割を果たすものであって欲しい、という願いをこめてPD-1と名付けた」と書かれています。

bsw3.naist.jp

 

しかしですね、PD-1遺伝子の発見を報告した石田先生らの論文の要約の最後には、「これらの結果は、PD-1遺伝子の活性化が古典的なタイプのプログラムされた細胞死に関与している可能性を示唆するものである」と書かれています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1396582/

これはやはり、勇み足で結論を出してしまったという感はぬぐえません。

 

期待どおりアポトーシスに重要な働きをする新しい遺伝子を発見した!と思っていたら、実は間違っていた!なんて分かったら、たいていの人はひどく落胆してしまうのではないでしょうか。

しかも、間違った結論を論文で発表してしまった。

普通の人だったら、「もうPD-1のことは忘れたい」。そんな風に思ったりするかもしれません。

 

しかし、ここが本庶先生の本庶先生たるゆえん。

「ほんなら、この遺伝子はいったい何をしてるんや? 構造(イムノグロブリン・スーパーファミリーの一員)からして、重要な遺伝子に違いない!」と、PD-1の機能解明の研究を続けたのです。

その後は私のブログで何度もご紹介している通り!

takyamamoto.hatenablog.com

 

期待はずれの結果にも落胆しない。それどころか、逆に、その結果の重要性を見抜き、追究を続けた結果がノーベル賞につながったのです。

 

PD-1の具体的な機能については、まだまだ分からないことも多く、石田先生は今も奈良先端大でPD-1の研究を続けておられます。

 

2.審良静男:「ノックアウトマウス製造工場」の工場長(失礼!)から研究者が選んだ「研究者の中の研究者」へ!

 

いやぁ、驚きました! 私が敬愛する審良(あきら)静男先生

私に向かってこう言ってのけた人がいたのです。。。

「(当時の)審良研なんか、ただのノックアウトマウス製造工場ですよぉ~」(な、な、な、なんちゅうことを!!)

 

確かに、当時の審良先生の研究室では、次から次へといろいろな遺伝子を破壊したノックアウト(KO)マウスを作製していました。

まだ、ヒトやマウスの遺伝子の機能があまり分っていなかった当時、KOマウスの作製は、遺伝子の機能解明に非常に有効な手段でした。

そして、様々なKOマウスを作っていたからこそ、マウスのトール様受容体のほとんどの謎を審良先生が解明できたのだと言えます。

 

大学院生:「アキラせんせぇ~。このマウス変です。LPS(菌の内毒素)打ってもじぇんじぇん死にましぇ~ん」

審良:「なに!? なんでや? ほな、もうしゃあないな。そんなマウスはほっといてええから、実験続けてくれ!」とはならなかったのですね。

「これはいったいどういうことか?? 破壊したこの遺伝子(MyD88)に関連した重要な何かがあるに違いない!」

 

審良先生ご自身、「別にマウスのトール様受容体を探していたわけではない」、「LPSを打っても死なないKOマウスの発見は、まったくの偶然だった」と著書に書いておられます。

takyamamoto.hatenablog.com

 

ノーベル賞は逃したものの、論文の被引用回数世界一のタイトルを何度も獲得されています。

研究者が自身の論文で他者の論文を引用するとき、特に引用論分の数に限りがあるときは、より重要な論文を厳選して掲載するものです。

被引用回数世界一とは、世界中の研究者達から業績が認められた「研究者の中の研究者」、「世界王者」ということなのです。

 

3.ワーファリン:害獣を殺す「毒」から人を生かす「薬」へ! 殺鼠剤から生まれた良薬

 

このお話は最近のブログで詳しく書いていますが、serendipityの観点からちょっと付け加えさせてください。

takyamamoto.hatenablog.com

 

血栓症の予防薬「ワーファリン」は、かつては強力な殺鼠剤でした。

血を固まりにくくするので、これを食べたネズミは内出血を起こして死にます。

 

アメリカ陸軍のとある兵隊さんが、このスーパー殺鼠剤を大量に飲んで自殺を図りました。

でも、ワーファリンに即効性はありません。

内出血を起こすには何時間から十何時間もかかります。

ワーファリンはビタミンKと拮抗する作用が分かっていましたから、機転の利く医師が大量にビタミンKを投与し、ワーファリンの効果を中和したのです。

兵隊さんは一命を取り留めました。

 

このお医者さんもナイスプレーですが、他に実にSerendipityに溢れた人がいたのでしょうね。

この偶然の出来事から、ワーファリンはビタミンKの量とバランスをうまく取れば、内出血を起こすことなく血液の凝固能をコントロールする薬になると気が付いた人がいたはずなのです。

どこの誰かは知らねども。

ノーベル賞をあげたい!

 

アメリカで初めて医薬品承認されてから60年以上。

今でも広く使われている良薬です。

 

4.ジェームズ・ワトソン:DNA二重らせん構造モデル! 化学の落第生が世紀の大発見に至った本当の理由

 

これも過去ブログでご紹介していますが、「DNA二重らせん構造モデル」誕生前夜にハイライト!

 

ワトソンとクリックが、DNAがらせん構造であるとの確信を持つに至るまでには紆余曲折がありました。

takyamamoto.hatenablog.com

 

そして、彼らの最後の手段は、ボール紙を切り抜いて作ったDNAの部品の模型をいじりまくって、ああでもない、こうでもないと、実験データに合うDNAの構造を探し当てることでした。

DNAの部品はわずかに3種類。糖とリン酸と塩基。

4種類の塩基の構造は、ワトソンが化学の教科書を見て、ボール紙を切り抜いて模型を作りました。

塩基は平面構造なのでボール紙で不都合ありません。

 

ある日、化学者のジェリー・ドナヒューが、偶然ワトソンの「オモチャ」に目をとめました。

「おい、ジム坊や。ボール紙で作ったお前さんの塩基、構造間違ってるで」

「ええっ!? 間違ってるって、化学の教科書の通りに作ったんやで?」

「せやから、その教科書がほとんど全部間違ってるいうことやねんがな!」

 

教科書が間違っている??

これは最近分かったことなので、化学者でも知らない人は多く、なので改訂されていないほとんどの教科書が間違っているとドナヒューは言います。

 

この幸運な指摘がなかったら、二重らせん構造の発見もなかったし、ジム坊やは今日も延々とボール紙のオモチャと格闘を続けていることでしょう。(んな訳ないか^^)

 

5.バイアグラ:治験失敗薬が取り戻させた男の自信と尊厳

 

この薬の効果・効能については説明の必要はないでしょうね。あまりにも有名ですから。

ですが、以下の事実は知らない方も多いのではないでしょうか。

 

実はこのお薬。心臓疾患の治療薬として開発されました。

治験(実際に患者に投与して、効果と安全性を検証する人体実験)を行いましたが、どうにも効果が確認できません。

治験断念! 何百億という大損害です。

 

「治験やめま~す。ついては、被験者の皆さんがお持ちの残りの治験薬を回収しま~す」イエイ(^^)v

 

ところが、「ヤダッ! オレ返さねッ」という人が続出したのです。

それも男ばっか。女性は一人もおらず。

どういうことよこれ??

バイアグラには思わぬ副作用があったのです。

 

皆さん、薬の副作用というと、悪いものと考えてしまうのではないでしょうか。

「副作用」に対して、「主作用」という言葉があります。

本来狙った作用が「主作用」。狙ったのと違う作用が「副作用」

 

治験では安全性の検証は非常に重要です。

ですから、どんな些細な「有害事象情報」もできるだけ多く集めます。

下痢した、食欲が落ちた、イライラする、モノを破壊したい衝動をとめられない(笑)、、、、などなど。

とにかく、薬にどんな不都合があるのか分からないため、「有害」な情報はなんでも集めるのです。

 

バイアグラの男性機能の改善作用。これは副作用です。

しかし、悩める男性にとっては悪いどころか、大いなる福音です。有害なんてとんでもない。

また、男の尊厳にかかわる微妙な問題だけに、被験者も治験担当医に伝えていなかったのでしょう。

 

治験担当医も製薬会社の治験担当者も誰も知らなかった。

知っていたのは被験者本人だけ。

いや、被験者の奥さんやパートナーは知ってたかも。

「一体どうしたのよ、あなた!? 最近凄いわね?ウフッ💕」ってか?(^^)

いや、マジそうだったかもね(笑)

 

大損害どころか思わぬブロックバスター!

これは全くの偶然以外の何ものでもない!

Serendipityも何もあったもんじゃあない!

(勝手に)「タナからぼた餅大賞」あげます(^^)

 

こんなこともあるんですなぁ~

 

6.アレクサンダー・フレミング:カビのコンタミ! 初歩的実験ミスが人類を細菌感染症の脅威から救った!!

 

菌ってガラスのシャーレ(ふた付きのお皿)に寒天の培地を流し込んで固めて、その上に菌の液を蒔いてふ卵器に入れておくと、目視できるほどに増えます。

寒天培地って栄養分豊富ですから、カビなんかを混入させると、培地がカビだらけになって、肝心の菌の観察ができなくなるんですよね。

こんな余計なものを混入させることを「コンタミ」といって、実験手技の上手じゃない人なんかはしょっちゅうコンタミさせて、実験を台無しにしてくれます。

まあ、実験室の衛生環境によっちゃ、コンタミするときはするんですけどね。

 

英国のフレミング先生の研究室も汚かったそうですな。

1928年のある日、「あー、やってもうた。アオカビやッ!」ポイッ!

とはならなかったのですね。

 

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Dr. Alexander Fleming (1881 – 1955)

 

「ん? なんやこれは??」

培地一面に生えるはずの黄色ブドウ球菌

ところが、カビが生えている周辺だけ菌が増えていないのです。

これが世界初の抗生物質ペニシリン」の発見です。

 

その後、様々な微生物から様々な抗生物質が発見されました。

現在では、人工的に合成された抗菌物質もあります。

多剤耐性菌の発生や菌交代症(抗生物質の影響で腸内細菌の組成が大きく変わってしまう)の問題などありますが、以後、何十億人という人の生命を救ってきました。

 

これこそ(勝手に)「Serendipity大賞」!

 

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私も些細なことも見逃さず、真理をつかめるようになりたいと思います。

今日もラーメン屋さんで、「なんで関東のラーメンって、シャキシャキモヤシじゃなくって、クタクタホウレンソウなの?」と思うのです。

これには何か重大な意味があるに違いない!

しかし、この根源的な命題に対する回答はにわかには得られそうにもないので、とりあえずシャキシャキモヤシをトッピングして、今日もおいしく頂きましたとさ(^^)

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今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せください。

大変励みになります。

 

 

やったかみたか!! 本庶佑先生ノーベル賞おめでとう御座います!

本庶佑先生、本当におめでとう御座います(^^)

坂口志文先生が共同受賞されなかったことは、私はノーベル賞選考委員会に抗議を申したい気持ちです。

でも、本庶先生。本当に、本当に、おめでとう御座います。

【10月2日ノーベル生理学・医学賞受賞者発表!】坂口志文先生、本庶佑先生、か?

またまた今年もこの季節がやってまいりました(^^)

2018年のノーベル生理学・医学賞の受賞者発表は10月1日夕方(日本時間)です。

 

今年こそ、制御性T細胞の発見者・坂口志文(しもん)先生と、新規ながん免疫療法(免疫チェックポイント阻害)の発見者・本庶佑(ほんじょたすく)先生のダブル受賞だろうが!

 

昨年は(私にとっては)残念な結果でしたが、ちょうど1年前のブログをリンクしますので、よろしければ前祝いにお読み下さい(^^)

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

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090【ワーファリン誕生秘話】害獣駆除剤から生まれた良薬

目次:

  1. 血栓症を予防するワーファリン

  2. 全米屈指の名門、ウィスコンシン大学

  3. 奇病!「スイートクローバー病」

  4. 特定された原因物質

  5. 殺鼠剤「ワーファリン」命名の由来

  6. 殺鼠剤で自殺を試みるも死に切れず!

  7. 殺鼠剤で死なないスーパーラット

  8. 飲み忘れても、決して一度に2回分を飲んではいけない!

  9. その後、スイートクローバー病はどうなったの?

  10. スイートクローバー病の牛には、この食材を食べさせろ!

 

今回は軽~い読み物です。

 

お盆休みにアメリカに行ってきました。娘といっしょにです。

19年前に単身赴任で住んでいた懐かしの場所を再訪。

ウィスコンシン州のマディソンと言う、日本人にはあまり馴染みのない街ですね。(ちなみに、映画「マディソン郡の橋」は何の関係もありません)

日本人はあまりいませんが、いるとすれば、ウィスコンシン大学の留学生など、大学関係者でしょうね。

 

この場所に来てみて、あることを思い出しました。

この大学で生まれた有名な薬のことです。

血液をサラサラにする薬「ワーファリン」(「ワルファリン」とも)

今回は、このワーファリンの誕生秘話です。

 

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1.血栓症を予防するワーファリン

 

心臓に人工弁をつけている人や心房細動(不整脈)のある人は、血液の流れが乱れるので、血管の中で血が固まりやすくなります。

この血の塊、つまり「血栓」が体のあちこちにとんでって血管が詰まるのが血栓症

脳で詰まると「脳梗塞」、心臓で詰まると「心筋梗塞」を起こして命に関わります。

それを防いでくれるのがワーファリンで、60年以上も使われ続けている良い薬です。

でも、飲む量が多すぎると、血が固まりにくくなって、脳出血などのリスクが高まるので、飲み方には気を使う難しい面もあります。

 

2.全米屈指の名門、ウィスコンシン大学

 

アメリカ旅行に話が戻りますが、娘が私に尋ねました。「ウィスコンシンって何が有名?」

何が有名かって、ウィスコンシンの名物とかかい?

う~~ん、牛か? チーズか? それから、それから、ええ~っと、あとはビールくらいか?

そう、ウィスコンシンは農業、特に酪農とビールの州で、あと、これといったものはプロアメフトチームのグリーンベイ・パッカーズMLBミルウォーキー・ブルワーズ、それにウィスコンシン大学くらいのもので、他にはこれと言って何もありません。

 

このウィスコンシン大学は、アメリカの州立大学の中でも屈指の名門で、ノーベル賞受賞者を多数輩出し、スポーツでも全米屈指の強豪!

まさに「文武両道」の名門校なのです。

 

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2018年8月15日 ウィスコンシン大学マディソン校にて

 

3.奇病!「スイートクローバー病」

 

1920年代。北米で牛がバタバタと死ぬ奇病が発生しました。

解剖してみると、体中で内出血を起こしていました。

これは伝染病なのか!?

 

数年後には、どうやら飼料として与えていた腐ったスイートクローバー(シナガワハギ)を食べた牛が死んでいることが分かってきました。

しかし、なぜ死に至るほどの内出血を起こすのか? 詳しい原因は長らく不明でした。

 

この奇病は酪農州であるウィスコンシンの農家には死活問題です。

腐ったスイートクローバーを与えなければ良いわけですが、雪の積もる冬季には、どうしてもサイロで長期保存した牧草を食べさせなければならず、この病気のリスクは完全には避けられません。

 

ここで一人の研究者が立ち上がりました。

ウィスコンシン大学の生化学者、カール・パウル・リンク博士(1901~1972)です。

 

 

4.特定された原因物質

 

「スイート」ってくらいだから、スイートクローバーってのは、バニラに似た甘い芳香がして、家畜が好んで食べるそうです。

この独特の芳香は、クマリンと呼ばれる化学物質によるもので、今では大量に合成され、香料として利用されています。

リンクは、大量の腐ったスイートクローバーから様々な成分を抽出し、ついに動物に内出血を起こさせ、死に至らしめる物質を突き止めたのです。1940年のことでした。

 

その物質とはジクマロール

スイートクローバーを腐らせる微生物の作用で、クマリンからジクマロールが大量に作られていたのでした。

 

血液が固まるにはビタミンKが必要です。

ジクマロールは、このビタミンKの働きをジャマして血液を固まりにくくしていた、言い換えると、出血しやすくしていたことが分かりました。

 

こいつはいい! こいつは使える!

何がいいの? どう使えるの? ねえってば⁇

 

なんと、翌年の1941年には、ジクマロールは殺鼠剤として販売されたのでした。

これを食べたネズミは、目の網膜で内出血を起こし、視力が落ちるので明るいところに出てきて死ぬといいます。

つまり、ネズミ駆除の効果が目に見えるわけですねぇ。

本当にこいつはいい!

 

1948年。リンクは、このジクマロールを改良して、出血作用をさらにパワーアップさせた恐怖のスーパー殺鼠剤を作り出すことに成功しました。

これこそが「ワーファリン」です。

 

5.殺鼠剤「ワーファリン」命名の由来

 

ワーファリンの特許は、リンクが所属していた Wisconsin Alumni Research Foundation(「ウィスコンシン同窓研究基金」とでも訳せるのでしょうか?)が保有していました。

この頭文字「WARF」とクマリン(coumarin)のお尻の「arin」とをつなげてWarfarin(ワーファリン)と名付けられたのでした。

 

最初は害獣を「殺す」ための毒だったのですが、その後、人を「生かす」ための薬として使われるようになります。

薬として使われるようになったキッカケを調べてみると、どうも偶然から生まれたようですね。

 

6.殺鼠剤で自殺を試みるも死に切れず!

 

スーパー殺鼠剤「ワーファリン」

 

1951年。アメリカ陸軍の兵隊さんが、このスーパー殺鼠剤を大量に飲んで自殺を図りました。

でも、死ねませんでした。

ワーファリンは即効的には効きません。飲み始めは、効果が出るまで時間がかかります。

ワーファリンはビタミンKの働きをジャマすることが分かっていました。

この兵隊さんは、医師の機転で大量のビタミンKが投与されて一命を取りとめたようです。

 

この一件から偶然にも、ワーファリンはビタミンKの量とのバランスを取れば、命を落とすような出血を起こすことなく、凝固能をコントロールできることが分かったのです。

そして、早くも1954年には、抗凝固剤としてアメリカで医薬品承認されたのでした。

 

7.殺鼠剤で死なないスーパーラット

 

ずいぶんと昔のことですが、ワーファリンを食べても死なないラットが話題になったようです。

20年以上も前、NHKの特集番組のなかで「スーパーラット」と呼ばれて以来、学者の間ですら「スーパーラット」の呼称が定着したようです。

 

スーパーラットがワーファリン抵抗性をもつ原因は分かっています。

過去ブログで、ミクソーマウイルスに感染しても死なない「スーパーラビット」や、HIVに感染すらしない「スーパーヒューマン」がいることを紹介しましたが、これと同じです。

takyamamoto.hatenablog.com

 

ヒトにも動物にも多様性があります。

ビタミンKの代謝に重要な働きをしている遺伝子「VKORC1」

実のところ、ワーファリンはこの遺伝子の働きをジャマするのです。

そして、ワーファリンの効かないスーパーラットは、特別な型のVKORC1遺伝子を持っていることが分かっています。

この型のVKORC1遺伝子にはワーファリンは効かないのです!

これは人間も同じです。

 

VKORC1以外にも、ワーファリンの効き目に影響する遺伝子がいくつかあって、その遺伝子の型が違うために、ワーファリンの効き目は、人によって結構差があるのです。

たとえば、人並みの量では効き目が弱く、多めに飲まないといけない人もいれば、逆に少なめにしないと、出血のリスクが高まって危険だったりする人もいます。

なので、お医者様は一人ひとりの患者に対して、血液の固まり具合(血液凝固能)を検査しながら、患者ごとに最適なワーファリン量を決めているのです。

 

8.飲み忘れても、決して一度に2回分を飲んではいけない!

 

ワーファリンの投与量は一人ひとり適切に調節されています。

誤って多めに飲んでしまうと、効き目が強すぎて出血しやすくなるので、非常に危険です。

なので、飲み忘れに気づいても、絶対に一度に2回分を飲んではいけません!

1回くらい飲み忘れても、ワーファリンの効果は数日続くので問題ありません。

飲み忘れよりも、飲みすぎのほうが危険だということを憶えておいてください。

まあ、そこんところは、お医者様や薬剤師などのおっしゃることを良く守ってくださいね。

 

9.その後、スイートクローバー病はどうなったの?

 

えっ!? 一体どうなったのでしょうね?

ネットで調べても、その後のスイートクローバー病の顛末を書いている人はいないので、私は知りません。(そんな無責任な)

 

リンク博士は当初、ウィスコンシンの酪農家の助けになりたくて、この病気の原因究明に立ち上がったのでした。

ところがこの話は、病気の原因物質の発見から一転、殺鼠剤への応用、そして医薬品の承認へと展開していき、スイートクローバー病問題がどうなったのかは、ネットを調べてみても分かりませんでした。

 

でも大丈夫! 現代医学は既にこの病気を克服している、、、はずです。

 

10.スイートクローバー病の牛には、この食材を食べさせろ!

 

ワーファリンを服用している人が食べることを固く禁じられている食べ物があります。

何だと思います?

 

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ワーファリンを大量に飲んで自殺しようと思っても、ビタミンKを打たれれば死のうにも死ねません。

そのくらいビタミンKはワーファリンの効果をチャラにする作用が強いのです。

納豆はビタミンKが非常に豊富な食材です。

ですから、納豆を食べるとワーファリンが効かなくなるのです。

ワーファリン服用者が、どうしても納豆を食べたいと言うのなら、自分の命と引き換えにする覚悟がいりますね。

 

スイートクローバー病の原因物質ジクマロールもワーファリンと同じです。

なので、スイートクローバー病の牛には納豆を食べさせればいい!

ってか、ビタミンKを打てばいいのですよ。

たぶんね (^^)

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せください。

大変励みになります。

 

 

089【イタ~い帯状疱疹に水ぼうそうワクチン??】ヘルペスウイルス(その1)

目次:

  1. 帯状疱疹水ぼうそうと同じウイルスが原因

  2. ヘルペスウイルスは二度と体から追い出せない!

  3. 最近まで発見されなかった8番目のヘルペスウイルス

  4. 水ぼうそうワクチンを開発したのは私の先生

  5. 水ぼうそうには二度とかからないのに、どうして帯状疱疹になるのか?

  6. 帯状疱疹の予防に水痘ワクチン

  7. 帯状疱疹にかかっても薬がある

 

中年以降の大人がかかる病気、帯状疱疹(たいじょうほうしん)」

五十路を過ぎたら要注意です!

私は経験ありませんが、すっごく痛いらしいですね。

痛くて眠れないほどとか、外出もままならないとか、QOL(生活の質)を著しく損なうようです。

でもあれの予防に水ぼうそうのワクチンが効くって知ってました?

どういうわけ? 水ぼうそうって子供がかかる病気でしょ??

なのに、なんで大人の病気の帯状疱疹に効くわけ??

 

帯状疱疹にならないかと心配な方は、少しお時間を頂いて読んでみてください。

 

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1.帯状疱疹水ぼうそうと同じウイルスが原因

 

中年以降の大人がかかる病気「帯状疱疹」。

実はこの病気、子供がかかる水ぼうそう(水痘)と同じウイルスが原因です。

なのでこのウイルス、「水痘帯状疱疹ウイルス」と呼ばれます。

 

お子さんをお持ちの方ならご存知だと思いますが、はしかと同じで、水ぼうそうは一度かかると免疫ができて、普通は二度とはかかりません。(二度かかることも稀にはありますが。。。)

水ぼうそうにはワクチンが有効です。

ワクチンで免疫を作らせてやると、ほとんどの場合、水ぼうそうにかからずに済みます。

水痘ワクチンは効果が高く、重篤な副作用もほとんどなく、非常に有効なワクチンなのです。

 

水痘帯状疱疹ウイルスはヘルペスウイルスの仲間です。

ヒトに感染するヘルペスウイルスには8種類あり、そのうちのひとつです。

ヘルペス感染症は、口周りに発疹(ほっしん)が出たり、赤くはれ上がったりして痛む「口唇ヘルペス」と、主に性交渉で男性も女性も性器に感染する「性器ヘルペス」が一般にも良く知られていますね。

いずれも、健康状態がよければ、それほど問題にならない感染症なのですが。。。

 

2.ヘルペスウイルスは二度と体から追い出せない!!

 

断言します!(今回の「断言」!)

世の中には全くの「病気知らず」、というか、まったく何の病原体にも感染していない人なんて、まず、たったの一人もいない!、、、はずです。

どんなに健康自慢の人でも、知らず知らずのうちに様々な病原体に侵されているものなのです。

そのような病原体の代表がヘルペスウイルス。

ほとんどの人は、8種類のヘルペスウイルスのうち、複数種類に感染しており、一見健康に見えても、体内にはヘルペスウイルスが確かに存在しているのです。

 

ヘルペスウイルスの最大の特徴は「潜伏感染」することです。

「潜伏」ってくらいだから、体の中で息を潜めてじっとしているのか?

その通りです。普段は隠れるようにして大人しくしています。

ところが、宿主(「しゅくしゅ」、あるいは「やどぬし」と読んでもかまいません)がストレスや体調不良などが原因で免疫力が落ちると、がぜん暴れ出すのです。

宿主の体調の良し悪しを見計らって暴れ出すので、このようなウイルスの再活性化による感染を日和見(ひよりみ)感染」と言います。

 

一部のヘルペスウイルスには良い薬があり、暴れるウイルスの勢いを止めて、症状を沈静化することはできますが、残念ながら体から完全に追い出すことはできません。

勢いを削いで、元通り大人しく「潜伏感染状態」にお戻り頂くだけです。

つまりは、一生ヘルペスウイルスとうまく付き合って、共存して生きていくしかありません。

 

3.最近まで発見されなかった8番目のヘルペスウイルス

 

1980年代初頭に突如現れた20世紀の黒死病「AIDS」!

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

AIDS患者に非常に珍しい種類の皮膚ガンが頻発することが分かりました。

それまでも、悪性腫瘍などで免疫が落ちている患者に稀にみられた「カポジ肉腫」

非常に珍しいガンであったため、研究がそれほど進んでおらず、長らく原因は不明でした。

ところが、AIDS患者で頻発することから注目され、盛んに研究されるようになった結果、新種のウイルスが関連していると分かったのです。

 

当初、この新しく発見された謎のウイルスは、便宜的に「カポジ肉腫関連ウイルス」と呼ばれましたが、その後、遺伝子配列が解明された結果、ヘルペスウイルスの一種であることが分かったのでした。

そこで晴れて、8番目のヒトヘルペスウイルスということで「ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)」という立派なお名前を襲名したのでした。

HHV-8は、有史以前からの永きにわたって、滅多に悪さをすることなく、ひっそりと人間の体内に潜んで来たため、AIDSという病気が流行するまで人間様に見つからずにいたのでした。

 

普段は大人しい(潜伏感染)。でも、免疫が極端に落ちると暴れ出す(再活性化、日和見感染)。

この「潜伏感染」と「日和見感染」がヘルペスウイルスに共通した最大の特徴です。

 

4.水ぼうそうワクチンを開発したのは私の先生

 

繰り返しますが、水ぼうそうワクチン(水痘ワクチン)は効果が高く、その上、重篤な副作用が非常に少ないワクチンの優等生です。

子供の水ぼうそうの予防確率は、なんと、ほぼ100%!

ゆえに、このワクチンはWHOが認めた世界中で使われている唯一の水痘ワクチンなのです!

 

ウイルスのワクチンには、生きているけれども病原性を弱めたものや、弱めただけでは不安とばかりに、完全に殺して感染力をなくしたもの、あるいは、ウイルスの成分の一部を使って作ったものだったりと、様々なタイプがあります。

水痘ワクチンは、生きてはいますが、病原性を弱めた「弱毒化ワクチン」ですね。

この弱毒化ワクチンって、どうやって作ったのでしょう?

 

同じウイルスでも、様々な人に感染しているウイルスは、病原性や感染力など、それぞれ微妙に性質が違うものです。

つまり、水痘やインフルエンザが流行っても、一人ひとりに感染したウイルスの性質は、遺伝子配列のレベルで微妙な差があるものなのです。

このように、同じウイルスでも由来が違うがために、微妙に性質や遺伝情報の異なるウイルスの系統のことを「株(かぶ)」と言います。

 

病原性は低いけれども、免疫をつける力は強い!

こんなウイルス株が弱毒化ワクチンには理想的ですよね。

この、世界で唯一の水痘ワクチンに使われている水痘帯状疱疹ウイルスの株は、まさにそんな理想的なウイルス株なのです。

 

この水痘ワクチンに使われているウイルス株を樹立したのは、元大阪大学名誉教授の故・高橋理明(みちあき)先生。

高橋先生は、あっちで水ぼうそうにかかった子供が出たと聞けば駆けつけ、水ぶくれの内容物を採って研究室に持ち帰っては、それをシャーレ(実験皿)の細胞にふりかけて培養しました。

 

宿主である患者が違えばウイルスの性質も微妙に違う!

つまり、ウイルスの「株」が違うわけです。

高橋先生は、たくさんの水ぼうそう患者の子供から、たくさんのウイルス株を集めてきて、その中からワクチン製造に適した株を捜し求めたのです。

特別な条件でウイルスの培養を繰り返し、そうすることでさらにウイルス株の性質が変化し、そのなかから、病原性が弱まって免疫をつける力の強い理想的な新たなウイルス株が現れる、、、かもしれない。

 

そんなウイルス株が必ず得られる確証などありません。

確率はと言うと、宝くじを当てる様なもので、成果が出るかどうかも分からない、根気のいる気の滅入る仕事です。

そうして高橋先生が見つけたウイルス株が「岡株(おかかぶ)」と呼ばれる、世界で唯一の水痘ウイルスワクチン株なのです。

 

なんで「岡株」と呼ばれるのか?

たぶん、岡さんという方の子供さんから取ったウイルス株だったのでしょう。

病原ウイルスの株の名称は、ウイルスが採られた患者さんの姓がつけられることが多いものです。

おたふくかぜのワクチンに使われた「ウラベ株」

当時、大阪の豊中市の団地に住んでいらした占部(うらべ)さんちのお子さんの耳の下の腫れ物から採られたウイルス株だそうです。

占部株を樹立された私の恩師(山西弘一大阪大学名誉教授)から直接お聞きした話ですので、間違いありません。

 

さて、実はこの高橋先生。私が阪大にいたときの研究室の教授だったのです。

つまり私は、高橋研究室の出身です。

 

高橋先生は、なんか昭和天皇みたいな感じの方で、口数が少なく、私たち研究生や大学院生なんかと屈託なく話をするでもなく、高橋先生と二人っきりなんかになると、さっぱり会話が弾まないので、先生の前でどう振舞えばいいのか?なんて戸惑っていたことなどが思い出されます。(笑)

そんなに偉い先生だと知ったのは、研究室に入って何ヶ月も経ってからだったと思います。

だって、誰も高橋先生の業績の話なんて、してくんなかったんだものなー。

 

現在では、多くのワクチンが世界中に普及し、昔に比べると感染症の脅威が格段に減りました。

特に高橋先生の水痘ワクチンは、その効果と安全性の点から高い評価を受け、世界中で使われています。

このことを記念して2006年、日本ワクチン学会は「高橋賞」を設立し、毎年、感染症予防の分野で優れた業績をあげた人たちに授与されています。

 

5.水ぼうそうには二度とかからないのに、どうして帯状疱疹になるのか?

 

水ぼうそうにかかると、水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫ができて、普通は二度と水ぼうそうにはかかりません。(二度かかることもあります)

二度とはかからないと言っても、免疫によってウイルスを完全に撃退したわけではなく、水痘帯状疱疹ウイルスは一生に渡って、私たちの体の中に潜んでいるのです。

 

子供のとき、はじめて水痘帯状疱疹ウイルスに感染すると、全身でウイルスが増えて、そのせいで体中に水ぶくれができます。

この水ぶくれの中はウイルスでいっぱいです。

やがて、症状が治まるとウイルスも消えていきますが、一部は神経節を隠れ蓑にして潜伏感染するのです。

私たちが元気で、免疫力が強い間はそこ(神経節)で大人しくしています。

しかし、ストレスや病気や加齢で免疫力が落ちると、知覚神経の走りに沿ってウイルスが増殖し始めます。(強い日光に当たるのも要注意!)

なので、神経に沿うように皮膚が帯状に腫れ上がり、直接、知覚神経を刺激するので、ひどく痛むのです。

 

6.帯状疱疹の予防に水痘ワクチン

 

まずは、子供のときに水痘ワクチンを打つべきでしょう。

水ぼうそうをほぼ100%防いでくれ、当然、帯状疱疹になることも、まずありません。

 

中年以降の大人も、帯状疱疹を予防するために水痘ワクチンを打つとよいでしょう。

たとえ、子供のときに水ぼうそうにかかったことがあって、免疫ができているとしてもです。

否、水ぼうそうにかかったことがあるからこそ、帯状疱疹になる可能性があります。

2016年3月、厚生労働省帯状疱疹の予防を目的に、50歳以上の成人に水痘ワクチンを打つよう勧告を出しています。

 

帯状疱疹予防で打つワクチンは、水痘予防を目的に子供に打つワクチンと、まったく同じものです。

子供の水痘予防では普通、二度ワクチンを打ちますが、大人の帯状疱疹予防では一度で十分です。

一度ウイルスに感染しているのですから、元々免疫ができており、加齢と共に落ちてきた免疫を再度増強してやるのが大人の水痘ワクチン接種の目的です。

元からある免疫を増強するのが目的なら、一度の接種で十分なのです。

これで高い確率で帯状疱疹を予防できますし、もし、かかったとしても軽症で済みます。

 

普通、帯状疱疹にかかると、二度かかることは稀です。

これは、免疫が落ちたところでウイルスが暴れ出し(再活性化)、帯状疱疹を発症するわけですが、これによって水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫が再度増強されるからです。

稀に二度かかる人もいますが、たいていの場合、二度目は一度目より軽症で済むことが多いようです。

でも、できれば一度だってかかりたくありませんよね。だって、超イタイそうですからね!

それに、一部の患者さんでは帯状疱疹が治まっても、知覚神経がひどくダメージを受けたせいで、神経痛の重い後遺症に苦しむことになる人もいます。

 

是非、ワクチン接種を考えてみてください。

 

7.帯状疱疹にかかっても薬がある

 

帯状疱疹には比較的良く効く薬があります。

代表的なのが「アシクロビル」という薬で、静脈注射や飲み薬や塗り薬があります。

これは、水痘帯状疱疹ウイルスが増えるのになくてはならない遺伝子(チミジンキナーゼ遺伝子)の働きをジャマします。

一方、私たち人間が生きていくのに、この遺伝子は必要ありません。

なので、薬でこのウイルスの遺伝子をシャットアウトしても人間には影響がなく、ウイルスの増殖だけを阻止することができる優れモノなのです。

こういうタイプの抗ウイルス薬の仕組みについては、過去ブログでお話しています。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

ただ、どんな薬でもそうですが、万人に効くものではありません。

なかには効きにくい人、あるいは効きにくいタイプのウイルス株もいますので、やはり予防に努めるのに越したことはないですね。

 

どんな人でも潜伏感染しているヘルペスウイルス。

そして、ヘルペスは宿主である貴方の免疫力が落ちるときがチャンスと、虎視眈々と狙っており、そのときが訪れるまで、何十年も我慢強く息を潜めているのです。

 

ですから、ヘルペス日和見感染予防に限りませんが、健康維持のために何よりも重要なのが日頃からの免疫力の維持です。

過去ブログも参考に、日頃から免疫力の維持向上に努めてくださいね。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せください。

大変励みになります。