Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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号外【苦悩する藤浪に見せた、広島カープ・大瀬良の男の優しさ】

目次:

1.晋太郎と大瀬良。二人の若者。「人間、捨てたものじゃない」!

2.YouTubeで晋太郎くんの投球を分析してみた!

 

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1.晋太郎と大瀬良。二人の若者。「人間、捨てたものじゃない」!

 

前回【076】のブログで、「イップス」のお話をしました。

 

練習やブルペンではいい球を投げられるのに、いざ試合に登板すると、投球が制御不能になり、自分でもどうしようもなくなるトッププロのピッチャー。

我が国で、この言葉が広く知られるようになったのは、やはり、阪神タイガースの若きエース、藤浪晋太郎くんのことがあってのことでしょう。

いや、彼が本当にイップスなのかどうか、誰も、どの専門家も、まだ明言もしていません。

ですから、私も彼をイップスだとは言いません。

 

イップス」だのと、面白おかしくはやし立てたり、一部の心ないタイガースファンの容赦ない批判に、彼はどれだけ苦しんでいることか!

 

でも今回は、「人間、捨てたもんじゃない」と思わせる、広島カープ・大瀬良投手の「神対応」の動画を是非見て頂きたいのです。

心がホッコリすること、120%保障ですよ(#^.^#)

 

www.youtube.com

 

晋太郎くんと大瀬良くんは、実は大の仲良しなのだそうです。

言われなくても、この動画を見ていると、二人には固い絆があるのだと容易に理解できますよね。

大瀬良くんは、晋太郎くんの苦しみの深さを良く知っていたのでしょうね。

なんて気持ちのいい

なんてすがすがしい

この二人の若者の姿に、「人間、捨てたもんじゃない」と思うのです。

 

2.YouTubeで晋太郎くんの投球を分析してみた!

 

前回【076】のブログで、「藤浪デッドボール集」なる動画があって、「辛くて、とても観られない」と言いましたが、彼の症状がどんなものかを分析するために、思い切って観てみました。

ほとんどが右打者に対するデッドボールか、当たらないにしても、右打者への危ない球ですね。

ほとんどが打者の肩口から顔付近の高めに行きます。

つまり、指がしっかりボールにかからない「抜けた」ボールです。

 

ど素人の私とトッププロの晋太郎くんとを比べられるはずもないのですが、前回のブログで書いた通り、私が試合になると投げられなくなった主たる原因が、「指にボールがかからない」、「どうやってボールをリリースしていたのかが思い出せない」と言うものです。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

私が球審していた試合で最初に投げた悪送球も、指がボールにかからず、抜けてピッチャーのはるか右上方に飛んでったものです。

つまり、晋太郎くんの抜けたボールが、右打者の頭方向に行くのと同じように思えるのです。

 

もちろん、少年野球の練習に行って、子供とキャッチボールをすれば感覚が戻って、普通に投げられるようになるのですよ。

でも、いざ試合で球審をすれば、心も体もバラバラになるのです。

「デッドボール集」を見ていると、晋太郎くんの症状は、基本的には私と同じだと思えるのです。

もちろん、トッププロの晋太郎くんとど素人の私とで、同レベルで論じられるわけもないことは承知しています。

でも、私が素人とは言え、やはりこの感覚と心理は、罹った人にしか理解してもらえないのかもしれません。

 

皆さま。特にタイガースファンの皆さま。

晋太郎を本当に大切なタイガースの宝だと思うのなら、彼の苦しみをご理解頂いて、本当に暖かく見守って下さり、精神的に支えてやって頂きたいと切に願うのです。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

076【実は私、イップスなのです】試合になるとボールが投げられないピッチャー

 目次

1.藤浪晋太郎くんの深い苦悩

2.元々は世界的名ゴルファーから

閑話休題:神戸市民の心を支えたオリックス・ブルーウェーブ

3.イップスは病気なのか?

4.私の実体験 ~イップスに罹った者の心理~

5.この手の病気に「頑張る」は厳禁!

 

タイトルから誤解されないように言っておきますが、私はもう長いこと野球をプレーしていませんし、ましてや、ピッチャーの経験などありません。
でも、昨年の秋くらいから、試合でボールが投げられないイップスになってしまったのです。
そして、まだ克服できないでいます。(涙)

 

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1.藤浪晋太郎くんの深い苦悩

 

Yipsとは、日本語で「ひゃっ!」というような意味のようです。

野球ファンの間で「イップス(Yips)」という言葉が知られるようになったのは、2016年3月15日に報道ステーションで放送された、イチローのインタビューがキッカケではなかったでしょうか?

イチロー、高校時代のイップスを告白「テレビでは言ったことない」 - ライブドアニュース

 

「どうやって克服したの?」という、現侍ジャパン監督の稲葉さんの質問に、「センスですよ、センス」という、人をオチョクッたイチローらしい答えには思わず失笑。

彼の独特のユーモアセンスは相変わらずです。(やっぱり失笑)

でも当時、私はこの放送を見ておらず、まだイップスのことを知らないのでした。

 

最近では、野球ファンの間では、かなりこの言葉が浸透しました。

というのも阪神タイガースの若きエース、藤浪晋太郎くんがそれなんじゃないかと、大いに話題になったからでしょう。

 

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確かに昨シーズン、突然とんでもない、プロのピッチャーとしては考えられないような、なんでそこに行くかな?みたいな死球を与え、そこから制球を大きく乱して四球の連発。ランナーを溜めたところで甘く入って決定打を打たれるという悲惨なシーンを、私も何度もテレビで観ました。

それでも私は、「今年の晋太郎は一体どないしたんや!?」くらいに思う程度で、イップスのことは、やはりまだ知らないでいたのです。

 

例えば、広島カープ・黒田への2球連続での考えられないコースへの投球。

幸い2球とも当たりはしませんでしたが、あの紳士黒田が怒ってましたね。

やはり、同じピッチャーとして、2球連続と言うのは考えられなかったのでしょう。

バッテリー(ピッチャーとキャッチャー)としては、送りバントをさせたくないという思いもあったのかもしれませんが、同点とは言え、回も浅く、相手はピッチャー、それもカープの至宝!

カープ黒田博樹ブチギレ!阪神藤波の危険球によけるもマウンドに歩み寄り乱闘寸前に - YouTube

 

自分では制球がどうにもならず、コーチに優しくなだめられて、悔し涙でマウンドを降りる姿も。。。(これは身に詰まされる。。。)

2017.8.16 阪神タイガース 藤浪晋太郎 涙を流しながらマウンドを降りる(イップス?) - YouTube

 

YouTubeを見ていると、「藤浪デッドボール集」とか言う動画もあり、これは辛くってとても見る気になりません。

と言いながら、私もリンクを張っている訳ですが、ただ彼の深い苦悩について知って頂きたく、今回はイップスについてお話させて頂きます。

 

2.元々は世界的名ゴルファー

 

野球選手のイップスは、なにもピッチャーに限りません。

 

オリックス二軍監督の田口壮さん。

1991年のドラフト会議で複数球団からの指名を受け、オリックスに1位入団。

(因みに、イチローはこの年に高卒4位指名でオリックス入団ですね)

即戦力の大型遊撃手(ショート)として大いに期待されました。

なんと、プロ一年目の開幕戦で先発デビュー。

ウィキによると、既にこの試合において、一塁への送球に不安があったとか。

ある日の試合で、田口の悪送球がひとつの原因でチームが敗退した時に、当時の監督から「それでもプロかっ!!」とひどく叱責されたようです。

そして、送球への恐怖心は他のプレーにも波及し、捕球も乱れ、バッティングも不調に陥ったようです。

 

ちょっと横道

私、ネット上で人様の批判をしたくはないのですが。。。 仕分けで「2位じゃダメなんでしょうか?」ってなマヌケな質問をしたアホな政治家に次いで2人目、言わせて頂きます!

この監督さん、ウェスタンリーグ(2軍)でブッチギリ首位打者イチローを、二軍監督の強い推挙があったにも関わらず、あの「振り子打法」がどうのこうの言うて頑なに認めず、一軍に上げようとしなかったよな! 指導者たる者が若い者の芽を摘んでなんとするッ!(喝!)

田口にイチローまで!! 喝だよ喝!

まぁ、それはええとして。

 

1994年、あの名将、仰木彬(おおぎ あきら)さんが監督に就任。

この年に田口は外野手に転向。

阪神淡路大震災のあった翌1995年にオリックスはリーグ優勝!

私はそのころ、震災の爪痕も生々しい神戸に住んでいましたが、イチローオリックスは市民の大きな心の支えでしたね(^-^)

当時の田口、谷佳知(よしとも)、イチローの外野陣は12球団随一の鉄壁さでした。

 

閑話休題

 

1995年1月17日早朝。

私は結婚1年目の新婚で、兵庫県で一番大阪よりの尼崎市に住んでいました。

これまでの人生で経験したことのない大きく強い揺れ。

「あぁ、これで天井が落ちてきたら確実に死ぬな」

揺れている間、それだけを思っていました。

 

会社は神戸市の西区。

当時のオリックス・ブルーウェーブの本拠地グリーンスタジアム神戸(現在は「ほっともっとなんとか」?よう分らん)のすぐ近くで、仕事帰りによくイチローを見に足を運んだものです。

 

震災後、尼崎から会社までどうやって通うのか?

神戸市を東西に結ぶ阪神、阪急、JRはすべて寸断。

阪神高速は倒壊、動脈である国道2号線と43号線は早朝から深夜まで交通規制。

 

こんな壊滅的な街の状況で、オリックスは神戸を本拠地にしてシーズンを戦えるのか??

当時のオーナーは、「市民が大変な時にチームが神戸から逃げ出してどうする!! スケジュール通り、グリーンスタジアムをホームグランドとする」と明言!

そして、そのシーズン、野田浩司さんが一試合19脱三振の日本記録、佐藤義則さんが当時の最年長ノーヒットノーラン記録を樹立するなど、私たち神戸市民に勇気と元気と希望を与えてくれたのです!!!!

 

さて、田口壮さんの話に戻りましょう。

 

田口さんの場合、コンバート(守備位置変更)でイップスを克服したばかりか、仰木監督の下で元々持っていた才能が開花。

後にメージャーリーガーとなり、ワールドチャンピオンにも輝いたことは、野球ファンなら誰でもご存知でしょう。

 

しかし、田口さんのような例がある一方で、一旦イップスになってしまうと克服できず、引退に追い込まれる選手も非常に多いのだそうです。

 

世間で晋太郎君のイップスが疑われ始めてからも、私はイップスのことを知りませんでした。

はじめてその言葉を耳にしたのは少年野球でした。

練習ではいいボールを投げるのに、試合になるとさっぱりダメな子がいました。

監督さんに「あの子はどうしたの? 練習の時はすごくいいのに」。

監督さんは言いました。「まるでイップスみたいだ」と。

イップス? 何それ?」

 

イップスという言葉が使われるようになったのは、1960年代からのようですが、最初にイップスだったのだろうと認識されているのは、1890年代から1910年代に活躍し、全英オープン6度、全米オープン1度優勝のハリー・ヴァードンという世界トップクラスのゴルファーだったそうです。

 

ヴァードンは1912年に、自身のイップス症状について書き残しています。

「私はいまだかつてトーナメントに参加して緊張することはなかった。それなのに、その短いパットをしようとしたときに襲ってきた不安感は、緊張どころではなかった。アドレスに入ると、右手が震えているのに気付いた。およそ2秒ほどだったろうか。ボールが見えていなかった。視線は右手に釘付けになった。自分に何が起きているのか、ただ知りたかった。震えが始まると感じ、突拍子もない動きが出ないうちにと必死の思いでパットした。心と身体はバラバラになり、ボールはラインを外れて転がった。3ヤードかそれ以上の距離のパットは気楽にプレーできた。奇妙なことにカップから4フィート以内の短い時だけ、難しいという感覚にとらわれるのだ」(参考文献から多少改変)

 

イップスに似た症状は、様々なスポーツ競技で認知されていたようです。

特に日本では、弓道において古くから知られていたそうです。

弓道では、弓を引いて、構えて、神経を集中させて、狙いを定めて、矢を放つのに4、5秒は要するそうです。

ところが中には、1、2秒も弓も矢も保持できず、狙いも定められず、手から矢が離れていく。

これは、弓道の世界では「早手」と言われて、随分以前から知られていた症状のようです。

 

現在では、あらゆるスポーツにおいて、イップス症状が認められています。

 

3.イップスは病気なのか?

 

医学的には、「職業性クランプ」という症候群が古くから知られていたそうです。

単に「クランプ」とも言われますが、日本語では「職業痙攣(けいれん)」とか呼ばれるそうです。

字を書く仕事の人が、手が震えて書けなくなるとか、タイピストやミュージシャンなど、様々な職業の人に見られるそうです。

 

では、イップスはクランプなのでしょうか? つまり、「病気」なのでしょうか?

この問題には、医学的にはまだ議論の余地があり、私が調べた限りでは、専門に治療をしている医療機関も少なく、有効な治療法も確立されていないようですね。

 

イップスは、プロのアスリートにとっては死活問題です。

私など日常生活には何の問題もありませんが、イップスになったからこそ、イップスに悩むアスリートたちの気持ちが理解できるようになりました。

イップスになった人の心理がどんな感じなのか? 人によって違いはあると思いますが、私の体験をお話しします。

 

4.私の実体験 ~イップスに罹った者の心理~

 

実は私は、アマチュア野球の公認審判員なのです。

 

去年の秋ごろだったでしょうか。

中学校の大会で球審をやらせて頂きました。

公式戦であり、真剣勝負ですので、両校の生徒やご父兄はもちろん、教員の人たちなんかも応援に来ており、メッチャ盛り上がっていましたよ。

観衆が多くっても緊張なんかしません。冷静だったし、むしろその雰囲気と野球少年たちの頑張る姿を楽しんでいました。

 

野球を観られる方なら普通にご存知だと思うのですが、バッターがファウルを打ったら、球審がボールケース(ズボンのベルトから下げている、ニューボールを入れてる袋のこと)からボールを取り出して、ピッチャーに投げ渡します。

私、プロ野球を半世紀近く観てきましたが、球審がピッチャーに対して悪送球したシーンをただの一度も見たことがないのですよ!

つまり、球審は、ピッチャーへのボール送球で悪送球をしてはいけないのです。

少なくとも私の中で、その意識はあったと思います。

資格審判員として、悪送球はとても恥ずかしいことだと。

 

ところが、その中学校の試合で私が投げた球は、ピッチャーのはるか右上方、二塁手の定位置近くにまで飛んでったのでした。

その時の私の心境? 「恥ずかしっ!(汗)」と言う程度でした。

まぁ、たまにはこんなこともあるよなぁ、猿も木からなんとやら、と言う程度です。

ところが次の時、「さっきはオーバーしたんだから、今度は加減しよう」という意識が強かったのでしょうね。

投げたボールは、ピッチャーの手前でバウンドして、セカンドベースの方向に転がっていったのでした。。。(涙)

 

中学校の試合とは言え、多くの観戦者が観ている公式戦での、いずれもピッチャーがボールに触れられもしないような悪送球を連続。。。

観衆衆目のなか。。。

これ以来、私は球審の立ち位置からピッチャーまでのわずか20メートル足らずの距離を投げられなくなったのです。

ボール投げなんて、自転車とおんなじで、一生体が覚えているものだと思ってました。

ところが、今の私は、ボールの投げ方がさっぱり分からなくなってしまったのです。

 

何が分からないかって具体的に言いますと、肩と肘と手首の使い方から体重移動まで、全ての動きがバラバラで、頭と体で全てが分からない!

特に分からないのが、ボールのリリースの仕方。

どうにもボールに指がかからないのですが、今までどうやってリリースしていたのかが、頭と体の両方で思い出せないのです!

 

それで、少年野球の練習に行って、子供相手にキャッチボールをします。

最初は忘れていたボールの投げ方も、練習しているうちに思い出してきます。

そうすると、なんてことはない。なんで投げられなかったのかが不思議なくらいに思えるのです。

 

そして、次の試合での球審。前回ちゃんと投げられなかったことなど忘れていました。

ところが、やはり何気なく投げた球が、とんでもないところに行ったりするのです。

制御不能です。

 

意識すればするほど分からなくなり、投げることへの恐怖心が強まっていくのです。

恐怖心はあっても、緊張はしていません。

緊張のせいではないのです。

ここが、私もかつて罹った「社会不安障害」(今は克服しました)など、特定の状況で極度に緊張と不安を感じる病気とは違うところなのですね。

私は、両方罹ったので、違いが理解できます。

 

今どうしてるかって言うと、事前にキャッチャーに、「肩が痛いから、貴方に渡すからね」と言っておいて、ボールを手渡しています。

でも、それって、やっぱり、わたし的には沽券(こけん)に関わるのですね。

やっぱり、ビシッとボールを投げたい!

 

5.この手の病気に「頑張る」は厳禁!

 

イップスには、精神安定剤としてよく使われるベンゾジアゼピンが効果ありとの情報がありました。

ベンゾジアゼピンは、社会不安障害にかかっていた時、私も大変にお世話になりましたよ。

この薬は緊張や不安には確かに効きますね。

でも、この薬の効果は対症療法的で、一時的です。

残念ながら、私もお世話になった、うつや不安障害に有効で、原因の根元を捉えた「選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)」などがイップスに有効だという情報はないようです。

 

いまだ、確かな治療法のないイップス

この手の病気は決して無理をせず、そして、可能なら環境を変えることでしょう。

 

田口壮さんはコンバート、私は会社を辞めることで克服出来ました。

takyamamoto.hatenablog.com

 

でもそれができない人も多くいます。

晋太郎君の苦悩の深さを知って頂き、温かく見守って頂きたいです。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

参考文献:

イップスの心理学、その病態と心理療法」八木孝彦

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

075【殺人ウイルスもののエンディングは殆どが嘘っぱち!】ホントはみんなお陀仏!

目次

1.血清でウイルス感染症が治るという大きな誤解!

2.抗体にできることと、できないこと

3.「抗体依存性細胞障害活性(ADCC)」って??

4.ADCCを利用した抗体医薬品の実例

 

今回も専門用語がいくつか出てきますが、そんなの読んだ次の瞬間に忘れて下さい。(笑)

でも、この記事を読み終わるまで忘れて欲しくないのがADCCと言う言葉です。(読み終わったら忘れて下さって結構です)

 

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AC/DCじゃありませんよ。ADCCです(笑)

 

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1.血清でウイルス感染症が治るという大きな誤解!

 

過去ブログ【025】で、ゴルゴ13エボラウイルスに感染したエピソードについて少しだけ触れました。さすがのゴルゴ13もこれまでか!?

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

ゴルゴが絶対死なないことはみな承知。では、どうやって助かったのか!? 気になりますよねぇ~。

えっ? 気にならないって?

気にしてくださいよ(笑)

あらすじをお話しします。

 

密猟されたエボラウイルスに感染したサルたちが客船の荷物室の檻から逃げ出し、乗り合わせていたゴルゴが唾を吐きかけられました。

乗客の中にはすでに発症した者も。

医療設備が限られた船内では、船医にも手の施しようがありません。

治療を受けさせようにも、陸地はまだ遠い。

そしてゴルゴにも発症の兆候が!

陸に近づいたとき、ゴルゴは注射器や試験管など、わずかな医療器具を奪って船を脱出して上陸。

捕まえた感染サルから血液を採り、車の車輪を遠心機代わりにして血清を分離し、自身に注射して一命を取りとめたのです。

ゴルゴはそのサルを檻に閉じ込めたまま姿を消しました。

このゴルゴが残したサルの血清のおかげで、他の感染者も助かったという美談です。

 

一方、米国の映画「アウトブレイク」。

毒性はエボラ以上、感染力はA型インフルエンザ以上と言う最恐ウイルス!

原因はやはり密猟で米国内に持ち込まれた感染サル。

感染した住民を救うには、この抗体を持っている宿主のサルを捕まえるしか方法がない!

ついに、このサルの捕獲に成功!

この時、主人公(たぶんレネ・ルッソだったと思う)は言いました、「これで血清が合成できる!」

 

ちょい待ち! 血清は合成できんやろ! このセリフを正確に言い直すなら、「これで抗体が作製できる!」だな。

でも、本当はこのセリフも間違っているのです。

 

特定のウイルスに対する抗体を新たに作るには、実は何ヶ月もかかるのです。

医薬品レベルの品質をとなると、何年もかかりますね。

その間に皆お陀仏ですよ。

 

2.抗体にできることと、できないこと

 

大体この手の話は、最後に血清をゲットして事態収拾ってのが多いです。

この血清で、いや正確には血清中に含まれる「抗体」でウイルス感染症が治るという大きな誤解!

抗体はウイルス感染症の予防には有効ですが、既に細胞に感染した場合には抗体は基本的には無力なのですよ、実は!!

 

過去ブログ【055】で、HIVがどうやって細胞に感染するのかについてお話ししました。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

HIVの表面には糖タンパク質と言うのがあり、これがヘルパーT細胞の表面のCD4というタンパク質に結合するのが感染の第一歩だということでした。

もし、この糖タンパク質に結合する抗体ができたら、結合することにっよってウイルスの糖タンパク質とCD4との結合を邪魔することができます。

これによってウイルス感染を防ぐことができるのです。

(ハイッ、もうCD4は忘れて下さい)(笑)

 

このような、ウイルスの感染力を失わせる作用を「中和」と言います。

そして、中和作用を持つ抗体を「中和抗体」と言います。

ワクチン打ちますよね。

ワクチン接種によって中和抗体ができると、ウイルス感染を予防することができるという訳です。

それから、毒蛇に噛まれたりしたら、ウマの血清を打ったりしますよね。

あれは、蛇毒に対する中和抗体(毒性をなくす抗体)を作らせたウマの血清なのです。

(ハイッ、もう「中和」のことは忘れましょう)

 

抗体と言うのは細胞の中には入っていけません

ですから、既に細胞の中に侵入したウイルスに対しては全くの無力なのです。

そのようなウイルス感染細胞に、免疫系はどう対処するのか?

主にはキラーT細胞の働きによります。

 

ウイルス感染細胞の表面には、ウイルスの抗原が出現しています。

キラーT細胞がこの抗原を見つけると、直接、この感染細胞に結合して、活性酸素やタンパク分解酵素を相手の細胞内に注入して殺します。(だからキラーT細胞と言います)

 

ところが、ところがです。

それでは、抗体がウイルス感染細胞に対してまったく役に立たないかと言うと、必ずしもそうではありません。

 

3.「抗体依存性細胞障害活性(ADCC)」って??

 

難しい言葉ですが、しばらくADCCと言う言葉を覚えておいて下さい。

 

ウイルス感染細胞をやっつけるのは、主にはキラーT細胞ですが、なかにはキラーT細胞が対処できない感染細胞もあります。

そこで、そんなキラーT細胞が苦手とする感染細胞に対処する、別の方法が用意されているのです。

それがADCC(抗体依存性細胞障害活性)です。

 

どんな細胞であれ、ウイルスに感染していたら、多かれ少なかれ、細胞の表面にウイルスの抗原が出ています。

この抗原に対する抗体ができたら、当然、この抗体は感染細胞表面のウイルス抗原に結合します。

この感染細胞のウイルス抗原に結合した抗体を目印にして、別の免疫細胞が攻撃をかける仕組み。

これが「ADCC(抗体依存性細胞障害活性)」です。

 

下の図が分かりやすいと思います。

 

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図ではがん細胞になっていますが、ウイルス感染細胞でも理屈は同じです。

感染細胞の表面にはウイルスの抗原が出ています。

抗体が、この抗原に結合します。

さらに、この抗原に結合した抗体目がけて、ナチュラルキラー(NK)細胞などが攻撃を仕掛ける仕組みです。

 

ゴルゴ13」でも「アウトブレイク」でも、ウイルスに感染したサルの血清を打てば治るとの前提のお話しですね。

サルの血清をウイルス感染患者に打つとどうなるか?

たぶん、サルの血清中の抗体が、患者の感染細胞表面のウイルス抗原に結合するでしょう。

そして、その感染細胞に結合した抗体をNK細胞が認識して感染細胞を破壊する・・・。

ゴルゴも助かり、他の患者も助かり、メデタシ、メデタシ。。。

 

ところがどっこい、そうはならないのですねぇ。

 

4.ADCCを利用した抗体医薬品の実例

 

実は、サルの抗体が感染細胞のウイルス抗原に結合しても、ヒトのNK細胞は、このサルの抗体を認識できません。

ADCCという仕組みにおける抗体とNK細胞の間には「種特異性」があり、違う動物種の抗体では役に立たないのです。

つまり、ADCCでは、感染細胞に結合した抗体は、ヒトの抗体でなければならないのです。

ですから当然、サルの血清を打っても、ADCCが働かないので、ゴルゴも誰も助からない! みんなお陀仏なのです。

まあ、中にはエリート・コントローラーがいて、生き残る人もいるかもしれませんが。。。

(エリート・コントローラーについては、やはり過去ブログ【025】をお読みください)

 

実際に、このADCCを利用した抗体医薬品があります。

例えば、乳がんの抗体医薬品ハーセプチン

ある種の乳がんでは、HER2(「ハーツー」と読みます)というタンパク質を発現しています。

このHER2タンパク質に対する抗体がハーセプチンです。

この薬を使うには、まず、その患者の乳がんが、HER2をたくさん発現しているタイプかどうかを検査します。

HER2のない乳がんには効かないことが分かっているからです。

乳がん細胞表面のHER2タンパク質に、抗HER2抗体であるハーセプチンが結合します。もちろん、ハーセプチンはヒト型の抗体です。

そして、これを患者のNK細胞などが認識して結合し、ADCCの仕組みによってがん細胞を破壊するというものです。

 

漫画ぐらいならいいですが、本格的な映画や小説では、もう少しリアリティを持たせて頂きたいものですな。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

074【やはり制御性T細胞が流産を防いでいるのか?】

目次

1.ヒトのTrge研究は難しい!

2.不妊の原因のひとつはTregの機能異常なのか?

3.ついに見つけた! 妊婦ではTregが増えているという論文!!

4.Treg研究は、21世紀の医療のメインストリームとなるだろう!

 

前回の【073】に続き、制御性T細胞のお話です。

 

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1.ヒトのTrge研究は難しい!

 

以前、制御性T細胞(Treg)の不調が、ある種の不妊の原因になっているのかもしれないというお話をしました。

045【原因不明の不妊はTregの不調が原因か?】驚異のグルカンベイビー! - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

 

DNAの半分が他人の男性のものである受精卵や胎児は、母体にとっては異物です。

受精した瞬間(正確には、「受精後、様々な遺伝子が動き始めた瞬間」)から、免疫系が受精卵を異物として認識して、排除に動き出しても、ちっともおかしくありません。

その結果、不妊につながり得るのです。

 

「受精卵 画像」の画像検索結果

受精卵 こいつは異物だわ!

 

マウスなどの妊娠動物では、制御性T細胞(Treg)が子宮に多く集まっていることが確かめられていました。

近年、動物の命を犠牲にする動物実験への批判が強まりを見せていますが、それはともかくとして、マウスなどでは、と殺して臓器を取り出し、遺伝子やタンパク質や細胞などをいろいろと調べたりできます。

ところが人間ではそうはいきません。

ヒトで調べられるものと言えば、血液とか尿、唾液、痰、髪の毛とかせいぜいそのくらいですね。

髄液(脳脊髄液)とかを使うこともありますが、危険だし、麻酔してても痛いらしいし、それ相応の目的がないと、おいそれと採取できるものではありません。

 

以前、そう5~6年くらい前までは、ヒトの血液中のTregの測定には様々な問題があり、正しく分析することができませんでした。

つまり、免疫反応を抑制する機能を保持したTregのみを正しく測れているのかどうかが、いまいちよく分からなかったのです。

ここ数年、ようやくヒトのTregをかなり精度よく測定する方法が確立され、ヒトの血液中のTregについての研究結果が多く発表されるようになってきています。

 

2.不妊の原因のひとつはTregの機能異常なのか?

 

過去ブログ【045】で、長年不妊に悩んだ女性が、βグルカンを飲み始めてまもなく妊娠したという話をしました。

それも、一人だけではありませんでした。

βグルカンに効果があるとすれば、考えられる不妊のメカニズムは、Tregの不調です。

Tregが何らかの原因でうまく働かないため、免疫系が受精卵または胎児を攻撃するのを抑えられず、その結果、本人も知らないうちに流産していたということです。

いくら検査しても、精子にも卵子にも異常が認められない。なのになぜ妊娠できないのか?

いや、このようなケースでは受精はしていたと考えられるのです。

そして、βグルカンの免疫調整能力がTregの機能を正常化して受精卵/胎児への攻撃を抑えている、と考えられないでもないのです。(あくまでも仮説です)

しかし、妊婦(もちろん人間)でTregが増えているとかという研究報告は、これまでほとんどありませんでした。

ましてや、βグルカンが不妊に効くなんて証拠は皆無です!

 

3.ついに見つけた! 妊婦ではTregが増えているという論文!!

 

最近、Tregに関する情報収集を怠っていたのですが、久しぶりに別の目的のために論文検索をしました。

そして、偶然、妊婦の血液中のTregの動きを調べた論文を、ついに発見したのです!

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

この論文の研究では、43人の健康な妊婦と、35人の妊娠していない健康な女性について調べています。

妊婦の方は、妊娠後期(妊娠10か月目)と出産した日、出産後に採血して、Tregの数を調べています。

結論を簡潔に述べると、妊娠後期では、非妊娠女性に比べて確かに血中のTregは増えており、出産日(おそらく出産直後だと思います)には、既にTregの数は減り、出産数日後には通常レベルに戻るということです。

これまでにも、妊婦では甲状腺炎などの自己免疫疾患の症状が良くなることが知られていました。

これは、妊娠して増えたTregが、一時的に自己反応性免疫細胞を抑えているからだと推測されました。が、いかんせん、直接的な証拠はなかった。

この論文の著者らは、「我々の研究結果は、妊娠が自己免疫疾患の症状に及ぼす影響について、ひとつの説明を提案するものだ」と結論付けています。

 

4.Treg研究は、21世紀の医療のメインストリームとなるだろう!

 

自己免疫疾患やアレルギー性疾患は言うに及ばず、移植臓器の拒絶反応の抑制方法などの研究が盛んにおこなわれています。

また、逆にTregを抑制することで、がんやウイルスに対する防御反応を増強することも可能です。

本庶佑先生が生み出した免疫チェックポイント阻害剤などは、まさにその代表ですね。

takyamamoto.hatenablog.com

 

Tregが医療の進歩にもたらし得る大きな可能性を考えると、坂口志文先生と本庶佑先生のノーベル賞受賞も時間の問題と思えてならないのです。

(やっぱりそこに落ち着くのか?)(笑)

takyamamoto.hatenablog.com

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

大変励みになります。

 

 

073【自己反応性の免疫細胞ができることは織り込み済みだって!?】

目次

  • 復習:なぜ、私たちの体には自己に反応する免疫細胞が存在するのか?

  • 告白します! 過去ブログの図は間違っています!

  • 自己反応性免疫細胞ができることは織り込み済み!

  • 獲得免疫は抗原特異的

 

残念ながら、今年の日本人のノーベル生理学・医学賞受賞はなりませんでしたね。

やはり、期間を置かないと、同じ分野からの受賞は難しいようです。

takyamamoto.hatenablog.com

 

そりゃそうです。多くの分野で輝かし業績を出している人が沢山いるのですから。

 

「体内時計」ですか!

こりゃまた渋いところを突きましたな。

流石カロリンスカ研究所! 素晴らしい選考だと思いますよ。

www.nikkei-science.com

 

しかし、「断言」しよう。

来年こそ、制御性T細胞の坂口志文先生と免疫チェックポイント阻害剤の本庶佑先生のダブル受賞間違いなしです!!

 

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1.復習:なぜ、私たちの体には自己に反応する免疫細胞が存在するのか?

 

さて、超久しぶりに制御性T細胞(Treg;ティーレグ)のお話を致しましょう。

それも、Tregを深~~~く、掘り下げたお話です。

まずは、これまでのお話の復習を致します。

 

1995年に志文先生がTregを発見する以前は、なぜ我々の体に自己反応性の免疫細胞が存在し、自己免疫疾患に罹るのかが大きな謎でした。

takyamamoto.hatenablog.com

takyamamoto.hatenablog.com

 

なぜなら、例えばT細胞の場合、全てのT細胞に胸腺で自己と非自己とを見分ける教育を受けさせて、自己に反応する不良細胞を排除する「負の選択」の仕組みが備わっていることが知られていたからです。

自己免疫疾患を引き起こす不良細胞は、この負の選択を逃れて胸腺から出てきたに違いありません。

つまり、自己免疫疾患になる人は、この負の選択のシステムに何らかの不具合があり、その結果、不良たちを始末しきれないに違いないという考え方がありました。

では、そのシステム不良の原因は何か?

それを突き止めようとした研究者もいたようです。

ところが、今だからこそ分るのですが、彼らは見当違いを探していたという訳です。

 

志文先生によってTregが見つけられてみると、健康な人にでも誰にでも、自己反応性の免疫細胞があるのが当たり前だということが分かったのです。

そのTregが、自己反応性の免疫細胞が悪さをするのを抑えてくれるので、ほとんどの人が自己免疫疾患にならずに済んでいるのですね。

そう考えると、自己免疫疾患の人は、Tregの機能に異常があるということになります。

現在、機能異常のTregを正常化させることによって、自己免疫疾患やアレルギー性疾患、さらには、臓器移植における拒絶反応をも抑える方法が盛んに研究されています。

 

2. 告白します! 過去ブログの図は間違っています!

 

過去ブログ【038】で掲載した図を、もう一度お見せします。

実はこの図、正確ではありません。

話を複雑にしないために、あえて若干ですが、事実とは異なる図にしたのです。

問題なのは、下の図の④と⑤ですね。

 

f:id:takyamamoto:20171007194033p:plain

 

この図では、MHCに載った自己抗原に強く反応する細胞は、害をもたらすため抹殺されます。

これが「負の選択」です。

そして、MHCと自己抗原にほどほどに反応するわずか2%の細胞がスーパーエリートとして生き残って、その後、ヘルパーTやキラーT、Tregに変化(分化)していくのです。

そして、生き残った「スーパーエリートからTregが生まれる」というところが、白状すると、事実とは違うのです。

 

3.自己反応性免疫細胞ができることは織り込み済み!

 

より正確な図を下に示します。

 

f:id:takyamamoto:20171007194554p:plain

 

実はTregは、自己抗原に強く反応した不良細胞から生まれるのです! ええッ!?

図の米印※の部分です。

 

自己抗原に強く反応する前駆T細胞は、ほとんどがアポトーシス(細胞の自殺)を起こして死滅します。

ところが、ごく一部の不良細胞は生き残るのです。

どうしてか?

知りません!

胸腺学校の「負の選択」のシステムが元々不完全なのか、あえてごく一部が生き残るようになっているのか、私には解りません。

しかし、私たちの免疫系にすれば、一部の自己反応性免疫細胞が生き残ることは「先刻承知」、つまり「織り込み済み」なのです。

 

負の選択をすり抜けた不良細胞。

これは私たちの体に害をなす危険な存在です。

しかし、そのような不良細胞を完全には除き切れないのが、実は私たちの体というものです。

では、どうすれば、この不良たちから私たちの体を守ることができるのか!?

理にかなった効率的なシステムがなければ、私たちは誰も健康に生きることは出来ません!!

この問いに対する答えが、「負の選択」をすり抜けた不良細胞の中からTregを生み出すという仕組みなのです。

 

「自己反応性免疫細胞が存在するのは異常」から、「自己反応性免疫細胞が存在するのは当たり前」へ。

真理は実は真逆だったのです。

 

4.獲得免疫は抗原特異的

 

T細胞や抗体を作るB細胞などが活躍する獲得免疫は「抗原特異的」です。

これまで何度もお話してきた「抗原特異性」ですが、もう一度説明しておきますね。(初めての方にも解るように)

 

B細胞が作る抗体にせよ、がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃するキラーT細胞にせよ、ひとつの獲得免疫細胞は、ある特定の抗原にしか反応できません。

はしかのウイルスに反応する獲得免疫細胞は、おたふく風邪のウイルスには全くの無力なのです。

また、逆も然りで、おたふく風邪ウイルスを攻撃する獲得免疫細胞は、はしかにも、水疱瘡にも、HIVにも全くの無力です。

特定の抗原にしか反応しない。これが「抗原特異的」と言うことです。

 

Tregも獲得免疫細胞ですから、基本的に「抗原特異的」に働きます。(例外もありますが、ここでは触れません)

例えば、1型糖尿病の患者さん。

すい臓のランゲルハンス島β細胞を攻撃するキラーT細胞が存在しています。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

恐らく、多くの人が普通にβ細胞を攻撃するT細胞を持っているのだと思います。

それでも1型糖尿病にならないのは、β細胞に反応するT細胞を抑えるTregが存在するからなのです。

基本的にβ細胞に反応するT細胞を抑えるTregは、他の抗原に反応するT細胞を抑えることは出来ません。(例外はありますが、ここでは触れません)

つまり「抗原特異的」です。

このβ細胞に特異的なTregがどこから生まれるのかというと、もともと胸腺で「負の選択」から逃れた、β細胞を攻撃する前駆T細胞なのです。

元が自己のβ細胞に反応する前駆T細胞から生まれたのですから、そのTregが抗原特異的にβ細胞を攻撃するT細胞を抑えられるのも当然と言えば当然なのです。

 

スッゴク合理的なシステムじゃありませんか?

つまり、私たちの体は、最初から自己反応性の免疫細胞ができることを承知していて、それを抑えるTregができる仕組みを備えているのです。

なんて賢い! 人間なんかよりはるかに賢い!

生物の進化には無駄もあるが、極めて合理的で賢い!

しかし、それを解明した人類もなかなか賢いぞッ!

 

来年こそ、志文先生(笑)

結局、そこに落とし込むのかよ(笑)

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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号外【あのくちばしの長い鳥みたいなマスクは一体何なの??】中世ヨーロッパのペスト医師の謎

わたくし、元々ウイルス学が専門で御座いまして、細菌のことは、とんと分からないのです。

「えっ、細菌もウイルスもおんなじようなもんでしょう!?」

違うッ! 全然ちげェしッ!!

「じゃあ、似て非なるもの?」

違うッ! 全然似てねェしッ!!

つうかお前! オレの過去ブログを読めッつうの(笑)

takyamamoto.hatenablog.com

 

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トム・ハンクス主演の映画「インフェルノ」にチラッと出てくる「ペスト医師」のあの装束。

あれは一体、な、な、なんですかな??

あのマスクに、ど、どんな意味があんのですかいな??

 

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「ローマの嘴の医者」パウル・フュルスト(1656年作)

 

へんちくりんな嘴(くちばし)マスクに厚手のローブ、帽子、手袋、杖という装束が定番の中世ヨーロッパのペスト医師。

すっごい不気味なんすけど!

ペストより、あんたらの方が十分怖い!(笑)

調べてみました。気になると調べるのが私の性癖です。

 

中世ヨーロッパにおいて、ペスト患者を専門に診た「ペスト医師」。

感染率と致死率の高いこの病気の患者を好んで診る医者なんて少ないに決まっています。

でも、ペストの流行は、何らかの手を打たなければ、国の存亡にも関わる重大事です。

当時のヨーロッパでは、公金(国かな?地方自治体かな?ちょっと分かりませんが)から高い報酬を得て、ペスト患者を専門に診るペスト医師がいました。

しかし、非常に危険な仕事ゆえ、この職に就いた多くの医師が、ヤブや経験の浅い人、経済的に苦しいなどの訳ありの人、中には医師でもない人までいたということです。

 

この装束は、つまりは素肌を曝(さら)さないようにするためのもので、患者に直接触れずに診察したり、処置をしたりするために杖を持っている訳です。

 

そして、あの不気味な嘴(くちばし)マスク。

実は、あの長い嘴の部分には、毒気を含んだ空気を清浄するために、藁(わら)や香りの強い香辛料、ハーブなどが入れられていたとのことです。(重そう)

つまり、あのマスクは、外気を直接吸うことを防ぐためのフィルターを備えているという訳で、言ってみれば、現在の防毒マスクのようなものなのですねぇ。

 

菌もウイルスも知らず、悪霊のようなものによって病気になると信じられていた暗黒時代。

患者と接触することで病気が移る、いや、毒気を含んだ空気によっても移ることを理解していたようで、あの防毒マスクが実際に効果があったかどうかは別として(いや、間違いなく効果なかったでしょう)、コンセプトとしては、適切な感染防止策ですねぇ。

ちょっと感じ入りました。

 

ペストは黒死病(英語でBlack Death)とも呼ばれますが、敗血症を起こし、ペスト菌が全身に廻ると内出血を起こして皮膚が黒くなって死んでいくことから、そう呼んで恐れたそうです。

 

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ペストで死屍累々のマルセイユの街

 

あっ、それから、相変わらずウンチクにまみれたダン・ブラウンの小説ですが、映画「インフェルノ」でも、英語で「検疫」を意味するクアランティーン(quarantine)の語源について、トム・ハンクスの口から語られていましたね。

14世紀にヨーロッパでペストが大流行した時、ベネツィアでは東方から来た船(元々ペスト菌は、パレスチナ・中東方面に遠征した十字軍が、帰還時に感染したネズミと共にヨーロッパに持ち帰ったと言われています)を入港させる際、沖合に40日間停泊させるという法律が制定されました。

40日間何も起きなければ、船員や荷物を陸に上げても安全だと判断したのです。

 

Quarantineは、イタリア語のベネツィア方言で「40日」を意味するquarantenaが語源になっているそうです。

英語でもquarter(4分の1)やquartet(4重奏)とか言いますね。

Quar-で始まる単語は「4」を表すのですね。

 

ちなみに、今の日本語で「検疫」というと、病原体を持っていないかを調べる「検査」の意味合いが強い印象があると思いますが、英語のquarantineは「検査」と「隔離」の両方の意味があります。

元々は、船を沖合で40日間「隔離」したことに由来する言葉なのですから、もっともですね。

でも、日本語でも英語でも、本来「検疫(Quarantine)」という言葉は、「検査」と「隔離」の両方を含意するようです。

その両方を含めて、本当の「検疫(Quarantine)」だということです。

今回調べてみて、はじめて知りました。

 

いやぁ、勉強になります。

映画でも、アニメでも。

インフェルノ」でも「SKET DANCE」でも、そこに見え隠れしているものを見逃さない感性さえあれば勉強できます。

感性次第で知識が増えます。

takyamamoto.hatenablog.com

 

と言うわけで、調べてみて全く腑に落ちました。

これでぐっすり眠れるなぁ(笑)

 

皆さん、また明日。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

参考文献:加藤茂孝「人類と感染症との闘い―『得体の知れないものへの怯え』から『知れて安心』へ―第4回『ペスト』―中世ヨーロッパを揺るがせた大災禍」モダンメディア 2010; 56 (2); 36-48.

 

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号外【危機的状況「生物学人気なし!!」】

たった今、NHKの「ニュースウォッチ9」で見ました。

理系学生に生物学が不人気で、生物学者たちは非常に強い危機感を抱いているんだとか!

その原因は受験にあり!

 

理系受験者にとって、暗記が明暗を分ける生物より、理論さえ理解できれば点を取りやすい物理・化学の方が断然有利なそうな。

 

「ニュースウォッチ9」では、東大の分子細胞生物学のある研究室を取材していました。

その研究室の8名の学生さんに聞きました。

「受験科目に生物を選んだ人?」

はァ? たった一人??

どういうこと?

「今、最先端の生物学を学んでいるんですよね??」

取材した女性キャスターにしては当然の疑問です。

 

受験の生物で覚えるべき専門用語の数は、なんと2000!

覚えるのに、どうしたって時間がかかります。

当然、暗記に自信のない子は、確実に敬遠しますね。

なので、暗記は苦手でも、基本的な理論を理解することができる子は、物理・化学の方が断然有利と言う訳です。

 

かく言う私も、共通一次試験(古ッ!)の受験科目は物理・化学でした。

生物は、高校1年の1学期の終わりに、早くも「生物I」についていけなくなったのでした。

クレブス回路(クエン酸回路とも)やて? こんなもん覚えて何になるねんッ!?てなもんでしたよ。

役に立たんし、つまらんし、退屈やし、小難しいし、先生は気に入らへんし、オモロイことなんもあらへん(笑)

完全なる生物嫌いの高校男子、一丁上がり!ってなことでしたな。

 

かといって、私が物理と化学が出来たのかと言うと、それが全然!!

特に物理なんか、学年共通の実力試験で5点取ったことがあるからね!

何点満点かって? 100点満点に決まってんだろ! 悪かったな!!(笑)

 

生物・物理・化学云々以前の話として、3年進級前の担任との進路相談で、「お前は物理ダメ、数学ダメで、現国と英語はまあまあ。で、なんで理系なんや??」

ほっといてくれ!!(笑)

 

1987年に、利根川進先生が日本人として初めてのノーベル生理学・医学賞を受賞されました。

以来、我が国の生物学・医学研究は、世界のレベルに追いついたのです。

近年では、山中先生、大村先生、大隅先生と、ノーベル生理学・医学賞を立て続けに受賞されています。

そして、制御性T細胞発見の坂口志文先生や免疫チェックポイント阻害剤の本庶佑先生が、毎年のようにノーベル生理学・医学賞の候補に挙げられており、私たちのワクワクを刺激してくれているのです。

21世紀に入ってからは、特に免疫学の分野では、日本が世界をリードしていると言っても過言ではありません。

takyamamoto.hatenablog.com

 

生物学の先生方曰く。

生き物が大好きな子どもたち。

でも、人生をも左右する受験に直面して、若者たちは子供のころのワクワクを忘れるのだそうです。

それは日本の将来にいいはずありません。

高校の生物教育と受験のあり方について、議論すべき時なのです。

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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号外【坂口志文先生の受賞なるか?】2017年ノーベル生理学・医学賞受賞者 10月2日発表!

前回、路線変更第1弾をお送りしましたが、結構アクセス頂いています。

読者の皆様の温かい思いやり、ご厚情に感謝申し上げまするゥ(感涙!)

 

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さて、医学と免疫の話に戻りましょう。

毎年秋のノーベル賞受賞者の発表は、春のプロ野球の開幕と並んで、私が1年で最も心待ちにしているイベントのひとつです。

今年の生理学・医学賞の発表は10月2日です。もう間もなくですねぇ~。

 

そこでの私の最大の関心事は、私が敬愛する制御性T細胞の発見者、大阪大学坂口志文先生の受賞はなるか、という一点です(笑)

 

「ノーベル賞 画像」の画像検索結果

生理学・医学賞のメダル 膝の上に開いた本をのせ、病気の少女の喉の渇きを癒すために、岩から水を汲む医者

 

ノーベル賞って、すごい業績残したからって、早く受賞できる訳でないことは、以前お話ししましたね。

takyamamoto.hatenablog.com

 

「なぜあの人ではなくて、この人なのか?」とか、「なんであの人は、まだ受賞できないでいるんだ?」とか、選考プロセスの詳細については、よく分からないところもあるのですが、数年しか経っていないうちに同様の分野の研究成果に授与することは、避けられる傾向にあるようです。

 

直近の免疫学分野での受賞は2011年で、自然免疫の重要性に関する業績に対して、ジュール・ホフマン博士、ブルース・ボイトラー博士、そして、故人でありながらラルフ・スタインマン博士の3人に授与されました。

これまでの免疫学分野での生理学・医学賞を見てみましょう。

 

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 免疫学分野でのノーベル生理学・医学賞受賞年表

 

最後の免疫学分野の受賞から6年が経ちました。

これが「6年しか経っていない」のか、「6年も経った」と考えるのか、難しいところです。

 

表を見れば分かる通り、1970年代後半から免疫学が飛躍的に進歩したため、80年代の受賞が多くなっています。

しかし、他の年代では各々1回だけ、つまり10年に1回くらいが平均的なペースなのです。

いや、2000年代はゼロですから、免疫学分野の受賞は、10年に1回以下と言えるでしょう。

このペースで、今年の受賞はあり得るのか?

 

志文先生のマウスの制御性T細胞発見の論文は1995年。一方で、ボイトラーのマウスのトール様受容体の論文は1998年でした。

制御性T細胞より後で発見されたトール様受容体に、先にノーベル賞を持って行かれた形です。

 

トール様受容体の場合、その重要性は瞬く間に世界中の研究者によって確認されました。

トール様受容体の「最初の発見者」という栄誉は逃した審良(あきら)静雄先生ですが、あの方がマウスのほとんどのトール様受容体の謎を解明したことが、トール様受容体の重要性を強化したと言えます。

にもかかわらず、審良先生が受賞できなかったことは、全くもって「皮肉」としか言いようがありません。

takyamamoto.hatenablog.com

 

話を制御性T細胞に戻しましょう。

志文先生が制御性T細胞発見の論文を発表した後でも、「免疫を抑える細胞の存在」に対する当時の免疫学者たちの「嫌悪」と「偏見」は凄まじかったらしく、ヒトの制御性T細胞に至っては、その存在を認めさせることができたのは、世紀が変わった2001年のことでした。

takyamamoto.hatenablog.com

 

こんな紆余曲折があった訳ですから、トール様受容体に先にノーベル賞を持って行かれたのも致し方がないでしょうね。

 

半世紀近くもの長い間、全く黙殺されたラウスの「ウイルス発がん説」が、当時の常人の理解を超えていたように、志文先生の制御性T細胞の発見も、他の研究者には成し得なかった偉業であることは疑いようもありません。

takyamamoto.hatenablog.com

 

それだけに今年か、遅くとも来年には、志文先生の受賞が充分にあり得ると確信するのです。

 

いやあ、実に楽しみです。

カロリンスカ研究所(選考委員会)よ。俺を落胆させないでくれよ!」(笑)

 

 

今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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路線変更第1弾【信じる? 信じない? なんとか占い!?】「バーナム効果」とは??

目次:

1.「バーナム効果」って言葉、聞き慣れないですよね

2.SKET DANCE 第54話「占い師をやっつけろ」あらすじ

3.「バーナム効果」とは? 多くの占い師が使う心理学的テクニック!

4.「ブラッドタイプ・ハラスメント」? なっじゃそりゃ!?

5.占いの類も遊びなら罪はない。しかし、よく考えてほしい

 

いやあ、前回の「悪魔祓いされていた病気」の話から随分と日が経ってしまいました。

完全なるネタ切れ状態です!

このブログを始めるように勧めてくれた友人に相談したところ、「路線変更したら?」、「病気と健康の話じゃなくてもいいじゃん」って。

「そうやなぁ。やってみて、まず読者の反応を見てみよか」

 

まずは、日頃思うところをツラツラと。。。

 

てな訳で、久しぶりに帰ってきましたので、皆さま、温かく迎えて頂ければ幸いです(笑)

 

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1.「バーナム効果」って言葉、聞き慣れないですよね

 

まあ、仮にも生命科学を修めた者として、ABO式血液型の違いは遺伝子の違いに基づくものであることを知っているし、その遺伝子の働きも知っている訳で、その遺伝子の違いが人の性格の違いなんかに影響するなんてことを信じているかというと、つまり、血液型診断とか、血液型占いとかなんとかの類いを信じているかというと、、、、、文章長ッ!!

 

バーナム効果」という言葉をご存知でしょうか?

以前は私も聞いたことすらありませんでしたが、この言葉を知ったのは、子供向けアニメ番組「SKET DANCEスケット・ダンス)」でした。

SKET DANCE - Wikipedia

息子たちが好んで見ていたのですが、これが結構、いや相当面白い!

 

「スケット団」という部活を通して、あらゆる事件・お悩み・困りごとを解決して、世のため・人のため・学園のために狂騒する高校生3人組の物語。

 

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2.SKET DANCE 第54話「占い師をやっつけろ」あらすじ

 

う~~ん、あらすじいうても実はよう覚えてへんなァ。

あっ、そうや! YouTubeで観られるかも!

アッ、ありました! あったやおまへんか!!

(便利な時代になったもんです)

 

テレビでも大人気、全国に多くの信者がいるカリスマおばはん占い師がおったとさ。(あの容貌、あの毒舌。モデルは完全に細●数●さんだよな。ウケるし)(笑)

おばはんに心酔したひとりのマニアックな女子生徒が、おばはんから占いの極意について教えを請い、学園内で生徒に占いをして、「凄く当たる」と評判になり、災難除けの御守りと称して、おばはん自ら念を込めたと称する安物のブレスレットを暴利で売りつけるという悪徳霊感商法に加担させられているのでした。

おばはんに入れ込んだ女子生徒の目を覚まし、インチキ占いを暴くべく、スケット団が立ち上がった~~~!

 

www.youtube.com

 

3.「バーナム効果」とは? 多くの占い師が使う心理学的テクニック!

 

説明しよう。(タイム・ボカンの富山敬調)(笑)

バーナム効果とは、1948年、アメリカの心理学者バートラム・フォアラの実験によって提唱された心理効果である。

それゆえ、「フォアラ効果」とも呼ばれるが、「バーナム効果」の方が一般的である。

 

フォアラは被験者である学生にいくつもの質問に回答させ、その回答を分析した結果だと称して、全員に全く同じ分析結果を返しました。

以下がその文章です。

 

  • あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。
  • また、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。
  • あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。
  • 外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向があります。
  • 正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。
  • あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。
  • そのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れることはありません。
  • しかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことにも気付いています。
  • あなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。
  • あなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。

 

その上でフォアラは、被験者たちに、その分析結果が自分に当たっているかどうかを5段階で評価させました。

なんと平均スコアは実に4.26という高値だったのです。(ウィキペディアより)

 

様々な個性を持った被験者たち。

その彼らの多くが、全く根拠のない「虚偽」の分析結果を見せられて、「よく当たっている」と答えたのです。

どうしてこんなことが起きるのでしょう?

 

私はA型なのですが、「几帳面」、「潔癖」、「神経質」、「慎重」、「内向的」とか言われてきましたねぇ。

なんかネガティブな事ばっかりやし、メッチャうぜぇし!(笑)

私の自己分析では、私は「慎重にして大胆」、「繊細にして大雑把」です(爆笑だろう、これは!)

私が言わんとすること、お分かり頂けますか?

誰にでも多面性があるし、誰にでも当てはまる表現が出来るということです。

 

「⚫️型なので自分はこういうタイプだ」と自分で決めつけている人ほど、バーナム効果は顕著に表れやすいのです。

そこが占い師の付け目です。

 

占い師が語ったことのうち、自分が思っていることと合致すれば、「ああ、やっぱりそうなんだ」と安堵感や納得感を感じるのです。

一方で、当たっていないことを言われたとしても、自分が認めたくないこと、関心のないことには無意識に無視する傾向が現れます。

自分に都合のいい事だけを受け入れ、それ以外は無視しているのに、そのことに自分では気が付いておらず、その結果「この占い師は凄い!」と信じ、心酔していく訳ですねぇ。

長けた占い師は、このテクニックの使い方がまた絶妙なんだそうです。

 

また、相手の権威を信じている場合ほど、バーナム効果が強く現れるとSKET DANCEでも語られています。

大学教授のフォアラだからこそ被験者も信じたのであって、これが学生の卒論のための実験だったら誰もまともにしなかったでしょう。

怪しい健康食品でも、教授とか博士とか、権威のある人の推奨文があると無条件に信じてしまうのも同じ効果です。

 

さらにSKET DANCEでは、相手に語らせ、うまく情報を引き出して、さも自分が言い当てたかのように相手に信じ込ませる占い師の会話の常套テクニックコールド・リーディングや、相手の事前調査を行っておき、さもその場で言い当てたかのように演出するホット・リーディングについても触れられています。

いやあ、ホンマ勉強になるわ。

 

「カリスマ占い師」の評判を聞いて、何ヶ月も前から予約して、高い金払って、念願かなってやっと占ってもらって舞い上がってしまった貴方!

ネギがカモしょって、いや、カモがネギしょって行ったようなもんですよ。(笑)

いや、笑い事ではありませんてば。

喰い物にされているのですから。。。

 

4.「ブラッドタイプ・ハラスメント」? なっじゃそりゃ!?

 

最近、「ブラッドタイプ・ハラスメント」という言葉があるそうです。略して「ブラハラ」。

職場で「お前は⚫️型だから、〇〇なんだ」と言えば、ブラハラになる可能性があるということのようです。

 

「千里眼」などで知られる松岡圭祐さんの小説「ブラッドタイプ」。

骨髄移植が必要な少女にHLAが適合するドナーが見つかりました。

ところが彼女、骨髄移植をすることで血液型がB型に変わってしまうことを知らされ、骨髄移植を断固拒否するという、非常にブラックなお話だそうです。(私はこの小説を読んでいません)

 

血液型診断とかがお遊びレベルなら罪はないのです。

でも、これが一部では偏見を生み出している事実が伺えるのです。

特に無垢な子供が根拠のないことを信じてしまい、そのまま大きくなってしまうことが怖い!

 

もっと正しい知識を持って頂きたい。

主婦もJKも。。。真面目にそう思うのです。

 

5.占いの類も遊びなら罪はない。しかし、よく考えてほしい

 

私は初詣に行けば、必ずおみくじを引きます。

100円か200円? どっちにしても特段の罪なんかありません。

いい事が書いてあれば気分を良くしますし、良くなければ「へッ!」てなもんです。

気にも留めません。

 

血液型、星座、風水とか、その他、俺にはよう分らん諸々の占いの類も、お遊びとか、話のネタとか、コミュニケーションの潤滑剤として使うとか、そんなの全然かまいません。

しかし、それをもって同じタイプの人に共感を感じたり、もっと宜しくないのは、しょせん貴方と私はタイプが違うので理解し合えないとかという考えに至ることです。

 

そういう人は、自分をタイプ分けして、同じタイプの人がいることを確認することで安心するのでしょうな。

 

自分に軸があれば占いに頼ることはないし、軸がないから占いに頼むのでしょうね。

 

私はむしろ、タイプとか、そんな基準で自分を枠に当てはめるのはやめろと言いたい!!

当てはめたときから、貴方の人間的成長は止まると私は断言出来る‼️

(出た‼️ 超久々の「今回の断言」‼️)

 

貴方の運命とかタイプは、決して決まってなんかいません。

貴方はまったく真っサラです‼️

自分の未来を切り開くのは、自分自身でしかないのです‼️

 

SKET DANCE 第54話の終わりの方で、スイッチ君は言いました。

「俺が占いを信じない最大の理由は、占い師が外れた責任を取らないからだ」

素晴らしい!

これはサイエンスに通じる真理なのです。

 

たかが漫画、たかがアニメ番組。

しかし、この作者の見識の深さに、私は非常に深く深く心服するのでした。

再度、YouTubeをリンクしますよ(笑)

是非ご覧下さい。

たかが20数分。それで得るものがあればもっけもんです。

www.youtube.com

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡

 

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072【「エクソシスト」のリーガンは悪魔憑きではなかった!?】「抗NMDAグルタミン酸受容体抗体脳炎」とは?

目次:

1.アメリカで本当にあった「憑依(ひょうい)事件」?

2.メリーランドの憑依少年は病気だった!

3.「抗NMDA受容体抗体脳炎」の実態

4.悪魔憑きも、実は「免疫」が関わっていた!

 

最近は古い東映の時代劇とか観ますが、若い時は無類の洋画好きでした。

で、これまで観た何千本もの映画の中で、「お前のベストは何か?」と問われれば、何度考えてみても、エクソシスト(1973年)と答えるしかないです。

 

ゲテモノのオカルト映画と思われる節も多いかと思いますが、原作者であるウィリアム・ピーター・ブラッティ自らによる脚本はアカデミー脚色賞を受賞。

刑事映画の金字塔「フレンチ・コネクション」でアカデミー監督賞を受賞した奇才、ウィリアム・フリードキンによる映像(光と影)のこの上ない美しさ。 そして、BGMを極力抑え、音を際立たせた手法はアカデミー音響賞を受賞しました。

そしてなによりも、憑依(ひょうい)された少女を演じた、当時12歳(14歳だったかな?)の愛くるしい女の子、リンダ・ブレアの「鬼気迫る」という表現を超越した演技に世界が驚きました。

 

関連画像

リンダ・ブレア

 

その他、緊迫感に溢れたフリードキンの演出、視覚効果、特殊メイク、編集の妙など、すべてが最高水準の、極めてクオリティの高い芸術的な映画でした。

この記事を書くにあたって昨晩、久しぶりにディレクターズカット版を観てしまいました。(間違いなく100回は観てるよなぁ)

 

さてと、映画評はこのくらいにしておきましょう。

 

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1.アメリカで本当にあった「憑依(ひょうい)事件」?

 

ブラッティは学生の時、1949年にアメリカのメリーランド州で実際に10代の少年に起きたという憑依事件のことを知りました。

このことが、後の「エクソシスト」の創作につながっていったわけですが、「エクソシスト」はもちろん完全な作り話です。

このメリーランドの憑依事件については、ネットを見ればいろいろな記述がありますし、このブログの本来の目的とはかけ離れていますので、ここで詳細に書くことは避けます。

しかし、人々は「悪魔憑き」と信じて、実際に神父を呼んで、悪魔払いを執り行ったそうです。

 

大昔なら、迷信を信じて呪術師に頼るのも分かりますが、1949年と言えば「戦後」ですよ。本当に悪魔払いの儀式をしたとは驚きです。

信心深いキリスト教徒の多いアメリカということもあるのでしょうか?

 

でも、近年になって、はっきりと分かったことがあります。

それは、「悪魔憑きは神父には治せない」ということです(笑)

 

2.メリーランドの憑依少年は病気だった!

 

まずは、下のサイトの映像を是非ご覧ください。結構ショッキングです。

https://mainichi.jp/articles/20161207/k00/00e/040/223000d

 

「抗NMDA受容体抗体脳炎という自己免疫疾患です。

そして、メリーランドの憑依少年は、臨床的にはこの病気の症状に非常によく合致すると言います。

 

この病気は、ごく最近、2007年になって新しい疾患としての概念が提唱されました。

すなわち、それ以前は、このような症状(奇行、痙攣、幻覚、興奮、妄想など)を示す患者が出ても、医師にも原因が分からないため、患者の家族に説明できず、対症療法的な投薬治療を行っても効果なく、その結果、絶望の淵に落とされた家族が神様の力にすがろうと思ったのも無理からぬことかもしれません。

 

私は神経生理学には詳しくないので、調べたところをさらりとしか書けませんが、NMDA受容体とは脳の神経と神経のつなぎ目で信号を伝達している部分(シナプス)にある、グルタミン酸を受け取る受容体だそうです。

これに対して自己抗体ができて攻撃するのですから、当然、神経の信号伝達に障害が出ることは容易に想像できます。

 

3.「抗NMDA受容体抗体脳炎」の実態

 

日本で、この病気の第一人者と言えるのが、日本大学医学部教授の亀井聡先生です。

以下、この病気に関する亀井先生のインタビュー記事です。

https://mainichi.jp/articles/20161222/k00/00e/040/204000d

 

比較的新しい疾患概念のため、十分な知識を持った医師もまだ少なく、ほとんどの病院で治療実績がなく、一般にも病気としての認識が浅いため、適切に診断・治療されない問題や、やはり病気とは思えないほどの異常な症状から、「悪魔憑き」などと考え、家族も不適切な対応をしてしまうケースが多いようです。

患者の家族の会は、この病気の理解を広めることの重要性を訴えています。

 

でもこの病気、実は奇病でもなんでもなくって、結構、患者は多いようなのです。

そして、幸いなことにある種の薬が良く効き、高い確率で治るそうです。

 

2008年のLancet Neurologyの報告によると、調査対象の100名の患者のうち91名が女性で、患者の平均年齢は23歳と比較的若く、半数以上に何らかの腫瘍が見つかり、女性の場合、多くに卵巣奇形腫があったそうです。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

腫瘍は、自己抗体反応を高める原因となる可能性が高いため、まず切除を行います。

それから、リツキシマブという抗がん剤(抗体医薬品)が良く効くそうです。

リツキシマブは、抗がん作用の他にも、関節リウマチや全身性エリトマトーデスなどの自己免疫疾患にも良く効き、この効果が抗NMDA抗体の産生抑制に働くと思われます。

 

死亡率ですが、2013年の別のLancet Neurologyの報告では、調査した577人の患者のうち、死亡したのは30人(6%)だそうです。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

577人とかって大人数を対象に調査ができるのですから、本当に珍しい病気でもなんでもないのですね。

日本では、若い女性を中心に年間1000人程度が発症しているのではと推定されているようです。

https://mainichi.jp/articles/20170501/k00/00e/040/162000c

 

このような症状を見た場合、まずは神経内科を受診しましょう。

 

 4.悪魔憑きも、実は「免疫」が関わっていた!

 

驚くべきことに近代、実に20世紀中ごろまで「悪魔憑き」とされてきたものも、今世紀に入って、ようやく疾患としての概念が確立し、原因の理解も進み、有効な薬も用意されています。

 

なんとこの病気も自己免疫疾患と言うことで、「免疫」が関わっているのですね。

ここでも大事になってくるのが、制御性T細胞と言うことです。

takyamamoto.hatenablog.com

 

本ブログの熱心な読者の方はもうご存知。

制御性T細胞を正常に機能させるには、適切な食事内容と適度な運動によって腸内環境を整えること。そして、口腔ケアも大事です。

 

そして、子供には過度に清潔にしてはいけません。

キレイにしてると、制御性T細胞が育たないので、悪魔に憑りつかれちゃうぞ(笑)

takyamamoto.hatenablog.com

 

 

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071【驚異!!骨まで達する大火傷が手術もしないで治った!?(後編)】驚くべき人間の自然治癒力!

前回の続きです。

前編を読まれていない方は、是非、前回の【070】からお読み下さい。

 

火傷の写真はかなりショッキングです。ご注意下さい。

 

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Aさんが決断できた本当の理由とは!?

 

なぜ、脚を失うリスクをものともせず、黒酵母培養液一本で行く決心が出来たのか???

Aさんに尋ねました。

 

f:id:takyamamoto:20170828084529p:plain

 

図1のCはポケットが最も深かった頃ですが、Dの写真はその翌日です。

わずか一日で組織の再生がかなり進んでいるのが分かるでしょうか?

皮膚組織の再生なら分かりますが、それよりはるかに深いところ、骨まで達するほどの損傷を受けた筋組織が再生しているのです。

Aさんはこれを見て、βグルカンの組織再生促進効果に確信を持ったと言います。

論文にもそう書きました。

ところが、本当はもっと早くに確信を持っていたそうです。そう、火傷をした直後からです。

どういうことか?

 

Aさんは以前から、この黒酵母培養液を火傷に塗って効いたという体験をされた方が多くいることを知っていました。

火傷と言っても、もちろん、これ程の大火傷を負った人はいないと思いますが。。。

 

火傷に気付いたときには、あまりのひどさに茫然自失、1時間以上もただただ傷を眺めていただけで、成す術も忘れていたそうです。

そのひどさと言ったら、実際に損傷を受けた傷の倍以上の範囲、右足の半分ほどにわたって水ぶくれが出来ていたそうですが、やがて、黒酵母培養液を塗ることを思いつき、やってみたところ、溜まっていた水が見る間に引いていき、元の皮膚のようにキレイになって行ったというのです。

まさに、この最初の時点で、Aさんは黒酵母培養液のパワーに「確信を持った」そうです。

 

残念ながら、この時の写真はありません。写真を撮る余裕などなかったというか、思いつきもしませんでした。当然のことです。

この時のビフォー/アフターの写真があれば論文にも載せられましたし、記述もできました。

しかし、証拠がないのでは、単なる「体験談」と同じであり、論文に記載するのは適切ではないでしょう。

写真がないのでは、説得力がありません。

 

火傷でできる水ぶくれ。皆さんも経験があると思います。

損傷した組織周辺の血管の透過性が高まり、血液の水分(血漿)が染み出てきて表皮の下に溜まります。

これは、時間が経てば自然に再吸収されてなくなります。

通常、数日はかかりますが、なんとそれが数時間で起きたというのです。普通ではあり得ないことです。

果たして、これが黒酵母培養液に含まれるβグルカンの効果であるとして、どんな作用でこんなことが起きるのか!? 私には全く説明不能です。

やはり、写真無しでは論文に書けるはずもありません。

 

ここで、非常に重要なことを書きます。

Aさんが手術も薬も断って、βグルカン一本でいくという決断を続けられたのには、もうひとつ重要なポイントがあると言います。

このことは論文にも書いているのですが、Aさんは毎日、黒酵母培養液を塗る処置をする際に、必ず患部を「強酸性電解水(強酸性水)」で洗浄していたことです。

処置する前に、手指も強酸性水で念入りに消毒しました。

 

私は強酸性水についてはよく知らなかったので、調べてみました。

酸性水は、強力な抗菌作用を持つ一方で、細胞への障害性(毒性)が非常に低いのです。

その安全性の高さのため、強酸性水は、ずいぶん前から(1996年以降)厚生労働省により、医療現場(医師や看護師、介護者の手指の消毒、内視鏡などの医療機器・器具の消毒等)での使用や、さらには食品への使用も認められています。

Aさんは、この強酸性水生成装置をご自宅に持っていたのでした。

 

現在の創傷治療では、創傷患部は水で洗うだけで、消毒薬で消毒しないことが当たり前です。

本ブログ【011】で書いた通り、従来、医療現場で使われてきたヒビテン(薄いピンク色の液体ですが、病院で見たことあります?)などの典型的な消毒薬は、殺菌作用は強力ですが、損傷を受けて瀕死の細胞に追い打ちをかけることはもちろん、組織再生に働く元気な細胞にまで深刻なダメージを与え、返って怪我の治りを悪くすることが分かってきたからです。

消毒薬は、傷口に塗りつける塩のようなものなのです。

 

takyamamoto.hatenablog.com

 

Aさんは、主治医から言われるまでもなく、細菌感染には細心の注意を払っていました。

菌感染すると生命にかかわることも、当然承知していました。

酸性水についての正しい知識と、βグルカンに対する高い信頼があったからこそ、一見「無茶無謀」とも思えることを、信念をもって続けられたのです。

(それでも絶対にマネしないでください!!)

 

さらに、足に感覚がなかったことも、返って幸いしたのかもしれないと言います。

と言うのも、感覚がないからこそ、これほどひどい火傷を負ったわけですが、痛みの変化で怪我の様子を実感できないからこそ、患部の様子を冷静かつ注意深く観察できたようです。

手軽に写真が撮れるガラケーが既にあったことも、患部の状態を確認する上で幸いだったと言います。

しかし、私だったら、露出した骨を見て、冷静に写真を撮るなんてできませんよ(笑)

大した気丈夫だと敬服します。

 

ところで、最初の水ぶくれで劇的な変化を目の当たりにして、黒酵母培養液のパワーに確信を持ったのにも関わらず、Aさんは最初の病院に通院していた1ヶ月間は黒酵母培養液を使っていませんでした。

というのも、毎日、病院でガーゼ交換をされていたので、黒酵母培養液を使うにはお医者様に説明をしなければなりませんが、到底、理解してもらえないと思ったからだそうです。

 

さて、手術はしないと決心してからの経過は図2の通りです。

 

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4月4日(図1D)から4月26日(図2A)のたった3週間ほどで、劇的に良くなっているのがお分かり頂けるでしょうか?

それに比べると、その2週間後の5月10日(図2B)では、そんなに治癒が進んでいるようには見えませんね。

実はAさん、それまでは1日に10回程度も黒酵母培養液を交換する処置を続けてきましたが、5月以降は仕事が忙しくなり、以前のように頻繁に処置が出来なくなったのだそうです(1日3回程度)。

そのため、これまでは創面(損傷面)が常に培養液に触れている状態を保ってきたのですが、5月以降は、しばしば乾くことがあったそうです。

図2の写真を見ても明らかだと思うのですが、Aさん自身も、5月以降、処置回数が減ってからは「治癒速度が鈍化した」と実感したそうです。

ちゃんと処置出来ていれば、「もう1、2ヶ月早く治っていたはず」と言います。

いや、最初の最初から使っていれば、手術するよりも早く治っていたに違いないとの印象すらお持ちのようです。

 

それでも、黒酵母培養液を塗り始めてからわずか5ヶ月後。創面は完全に上皮化(皮膚で覆われること)しました。

組織移植手術をしないと治らないと言われ、下手をすると脚の切断もあり得ると言われた大火傷。

手術も薬も拒否した結果。

これは完全に人間が本来持つ自然治癒力によるものです。

 

「免疫」というと、病原体と戦うシステムだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本ブログ【061】でもお話しした通り、体の「恒常性の維持」に重要な働きを担っている、なんというか、体の状態を正常に保つための、もっと統括的なシステムなのです。

そう、単なる「生体防御システム」ではありません。

takyamamoto.hatenablog.com

 

免疫のひとつの重要な役割として、組織の「破壊と再生」があります。

私たちの体は約37兆個(少し前までは60兆個と言われていました)の細胞から成り、毎日、数百億個(一説には数千億個とも)もの細胞が死に、新しく入れ替わっています。

例えば、酸素を体の隅々まで運ぶ役割を持つ赤血球の寿命は約120日です。

赤血球は骨髄で生まれますが、その産生にはマクロファージが働いています。

老いて寿命が来た赤血球を処分するのもマクロファージです。

そして、怪我を治すのも免疫の力であり、損傷組織の破壊(除去)と再生に重要な働きをしているのがマクロファージと好中球です。

 

創傷の治癒にはまず、損傷した組織の除去が必要で、その後に組織再生を行わねばなりません。

損傷組織の除去に働くのは主に好中球、その好中球を活性化し、さらに損傷組織の再生を促進するのがマクロファージ、そして、βグルカンは、このマクロファージを強力に活性化します。

図1のBよりも、1ヶ月後のCの方がはるかにポケットが深く、一見、悪化しているようにも見えます。

これは恐らくは、βグルカンの働きによって活性化されたマクロファージと好中球により、損傷組織の除去が促進されたためではないかと考えられます。

怪我の治癒には、この損傷組織の除去が上手くいくかどうかが非常に重要なポイントなのです。

 

ちなみに、主治医の先生の反応はどうだったのか、Aさんに伺いました。

なんか拍子抜けしてたというか、白けてたというか。。。「エッ、治ったの? アッ、そっ」みたいな(笑)

若い先生だったそうですが、症例経験も少なく、あまり勉強もされていないでしょうから、無理もないかも知れません。(失礼)

私が主治医だったら、Aさんをとことん問い詰めて何をしでかしたのか尋問し、怪しげなる(笑)黒酵母培養液とやらについて調べに調べ上げ、自分で症例報告すること間違いなしですよ。

 

実は、βグルカンが創傷の治癒促進に効果があるという科学的エビデンスは皆無ではありませんが、そのメカニズムに至ってはほとんど分かっていません。

ただ、黒酵母βグルカンの愛用者の中には、火傷や怪我が早く治ったという経験を持つ人は確かにゴマンといます。

つまり体験談ベースでは確実ではあるのですが、科学的には殆ど証拠がありません。

 

それにしても、Aさんのようなケースは極めて稀だと思われます。

ですので、決して真似しないで下さい。

誰でもこういくとは限りません。

本ブログ【025】でお話した通り、人間の免疫力は皆それぞれに違うのです。

takyamamoto.hatenablog.com

 

Aさんは、たぐい稀なる自然治癒力の持ち主なのかもしれません。

それがβグルカンにより、最大限引き出されたのかもしれません。

本当に誰でもこういくとは限らないのです。

いや、ほとんどの場合、こうはいかないのではないかと、私自身まだ懐疑的です。

 

ただ、ひとつ言えることは、私たち人間の自然治癒力は、人それぞれ違いはあれども、私たちが思っている以上に強力だということです。

世の中に様々な種類の薬がありますが、症状の改善効果だけに着目しているものが余りにも多い(対症療法)。

本来の原因を叩く、そして、より好ましくは人間本来の自然治癒力を引き出す。

そのような薬が理想的なように思います。

 

本ブログ【021】でお話した通り、その人本来の免疫力を引き出す薬、「免疫チェックポイント阻害剤」に注目が集まっています。

なんと、この薬は、従来のがんの3大療法に見放されて、ただ死にゆく運命だった人の何割かを延命できるのです。

これが、人間が生来持つ免疫の実力だということが分かってきました。

takyamamoto.hatenablog.com

 

本来の免疫力を引き出すことが如何に重要か。

Aさんの症例で、改めてそのことを強く考えさせられました。

これからの医療の発展は、益々「免疫」を避けてはあり得ないと、私は思うのです。

 

この論文がひとりでも多くの医療関係者の目に留まることによって、免疫について再考して頂く一助になれば、論文の著者としてこれほど嬉しいことはありません。

また、Aさんご自身も、そのことを強く願っておられます。

 

21世紀の医療のキーワードは「免疫」です。

この記事を投稿したのは、そのことをお伝えしたかったからです。

ですから、絶対に真似しないで下さい!

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

※本記事は、Aさんご本人に文章の確認をして頂き、お許しを得た上で掲載しています。

※また、Aさんの症例に巡り合えた幸運に感謝し、この場をお借りしてAさんに深く御礼申し上げます。

 

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070【驚異!!骨まで達する大火傷が手術もしないで治った!?(前編)】βグルカンの驚異のパワーを目の当たりにした!

これは衝撃的!!だと思いますよ。

論文投稿した驚くべき症例です!

 

目次:

1.論文掲載までの経緯

2.火傷してから。。。

3.Aさんの決心!

 

※火傷の写真はかなりショッキングですので、ご注意を(PG-12)

 

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1.論文掲載までの経緯

 

怪我の当時、40歳代だった女性のAさんは、稀にみる驚くべき経験をされた方です。

自分で毎日撮った足の火傷の写真をポケットアルバムに入れて、どのような経過で治ったのかを、知人・友人に写真を見せては話をしてきました。

多くの人が驚きをもって聞いてくれますが、人によっては、いまひとつうまく伝えきれていない印象を持つこともあったようです。

それに、この稀有な体験を、もっともっと多くの人に伝えたいとおっしゃいます。

 

几帳面な方で、自分で毎日撮った患部の写真に加え、医師からもらったカルテ情報や診断書の写しも保管されていました。

これだけ事実関係を証明する記録が残されているのなら、「論文にしましょう」と私がもちかけました。

Aさんも大いに乗り気でした。

 

論文投稿すると、「査読」といって、その論文が雑誌に掲載されるべき価値があるかどうかを専門家が審査をするシステムがあります。

原稿を読んだレビューワー(審査する先生)から、いろいろと指摘や質問、修正の指示なんかが来て、それにひとつずつ応えてレビューワーを納得させなければなりません。

最終的に査読に通って雑誌に掲載された論文は、もはや「個人の体験談」ではありません。

 

Aさんに何度もインタビューをし、正確な日付、写真とカルテの記録との整合性を確認する作業を行いました。

そして、ついに「β-グルカン含有黒酵母培養液の外用により約5ヵ月で治癒したIII度の深達性低温熱傷の症例」が5月29日に発行された「医学と薬学」2017年6月号に掲載されました。

www.shizenkagaku.com

 

2.火傷してから。。。

 

2010年2月5日、Aさんは電気アンカを使用して就寝しました。

翌日の早朝、右足の外側を見てビックリ仰天。

あまりの火傷のひどさに茫然自失、水で冷やすことすら忘れていました。

 

実はAさん、子供のころの病気が原因で、足に感覚がないため、これほどひどくなるまで気が付かなかったのです。

特に右の足先には感覚がほとんどなく、靴擦れ程度の傷でも、他の箇所の傷と比べると、とても治りが悪かったそうです。

ですので、あまりにひどい火傷の様子を見て、「これは治らないのではないか」と、このとき既に足の切断すら頭をよぎったそうです。

 

こうして1時間以上も我を忘れていたのでしょうか? ご本人は、「何時間も経っていたかもしれない。よく覚えていない」と言います。

で、我に返ったAさん、何を思ったのか、健康食品として売られているβグルカン(正確には、βグルカンを主要成分とする「黒酵母培養液」)を火傷の患部に塗ることを思い付いたのです。(マジかッ!!)

火傷の表面部分に培養液をたっぷりと塗り付け、ガーゼの上から家庭用ラップで覆いました。

 

翌日、近くの救急外来に行きましたが、「こんなの対応できない」と断られ、さらに翌日、ある病院の外科を受診します。

「保存的加療」といって、積極的に直そうという治療じゃなくって、消毒したり、薬塗ったりというのを続けて約1ヶ月、全然よくならないことに業を煮やしたAさんは、3月3日に別の病院を受診します。

因みに、この1ヶ月間は「黒酵母培養液」は使っていませんでした。

本当は使いたかったのですが、先生に話しても、到底、理解してもらえないと思ったからだそうです。

 

次の病院で医師から言われたのが、非常に損傷の深い重度の熱傷(本記事では「火傷」(やけど)と言うことにします)であり、「手術適用」です。(図1のAとB)

具体的な治療計画としては、まずは薬で損傷組織の除去と組織再生を促してから、1ヶ月後に太ももからの組織移植手術を行い、術後は1ヶ月の入院が必要、というものでした。

 

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※「デブリードマン」とは:壊死した組織を取り除いて、清浄にすること

 

手術まで1ヶ月あります。

なんとAさんは、この1ヶ月の間に「黒酵母培養液」を試そうと考えたのです。(やっぱそう来るか!!)

毎日、患部にたっぷりの培養液を満たし、ガーゼとラップで覆うという処置を1日に10回ほども行って、損傷部が常に培養液に触れているように努めました。

 

最初のうちは、お医者様から処方された薬と黒酵母培養液を併用していましたが、なんだか患部が黒くなっていくので、じゃあ「処方薬をやめたらどうなる?」と考えて、勝手に薬を使うのをやめてみたのです!!(そんなことして、ええんかいな!?)

そうして何日かすると、少しずつ患部が白くなっていき、損傷した組織が壊死していく様子が伺えたというのです。

そこでAさん、処方薬はいらないと判断し、なんと酵母培養液一本で行く事に決めたのです!

なんたる無謀!! なんたる命知らず!!

 

実は、火傷などの怪我の治癒を早めるには、まず、損傷した組織を取り除くことが非常に重要です。

これが上手くいくかどうかで、その後の治り具合がかなり違ってきます。

そして、その損傷組織の除去を行うのは、自然免疫の貪食細胞「好中球」です。

さらに、この好中球を活性化し、他の様々な細胞を呼び覚まして組織を再生させるのに重要な役割を担っているのが「マクロファージ」です。

ですから、何らかの方法で、これらの自然免疫の細胞をパワーアップしてやることは非常に有効なのであります。

確証はないのですが、Aさんのこの時の判断が、結果的には良かったのかもしれません。あくまでも「結果的には」ですが。。。

なので、絶対にマネしないでください!!

 

3.Aさんの決心!

 

酵母培養液を使い始めてから1ヶ月後(4月3日)、なんと怪我の様子は前より悪くなっているように見えます。

図1のBより1ヶ月後のCの方が患部の凹み(「ポケット」と言います)が、むしろ深くなっているのがお解りでしょうか? 相当深いです!!

普通だったら、いや私だったら、ここでビビってしまい、お医者さんの薬に戻すところです。

 

Aさんは、これから12日後の4月15日に受診します。

このとき、ななな、なんとなんと、ポケットの底に骨が露出していたのです。。。

ひえぇ~~~~~!!(あまりにあんまりなので、写真はお見せしませ~~~~ん)

私なら失神確実ですよ!

お医者さんに「早くなんとかして下さい~~!」って泣きついているに違いありません(涙)

(自分でここまでやっといて、「なんとかしろ」って、メッチャ身勝手ではありますが。。。)

 

主治医は改めて手術計画について説明しました。

ところがAさん、スッパリ・キッパリ手術を断ったのです。

そして、手術も受けず、処方薬も使わず、黒酵母培養液一本で行く!と宣言したのです!!(正気かッ!?!?)

医者も引き下がらず、「骨に細菌感染したら最後、右脚切断ですよっ!!(分かってんのか?あんた!!)」と脅します。

しかし、Aさん、そんなもんにはビクとも動じません。

 

主治医は、あくまでもAさんの「自己判断」で手術を取りやめ、今後も「自己責任」で「黒酵母培養液」を塗っていくことにシブシブ同意したのでした。

「どないなことになっても、ワシャもう知りまへんで~」

 

体の一部を失うリスク、いや、主治医はそこまで言わなかったかもしれませんが、万が一、敗血症でも起こそうものなら、右脚一本どころか、生命にかかわります。

Aさんは、どうしてそこまで「黒酵母培養液」を信じ切ることができたのか?

直接ご本人に尋ねました。

 

その疑問に対するAさんの驚くべき回答とは??

そして、このお話の顛末は???

次回をお楽しみに!

ごきげんよう、さようならッ!!

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

※本記事は、Aさんご本人に文章の確認をして頂き、お許しを得た上で掲載しています。

 

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是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。

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