目次:
1.おさらい:今や市民権を得たPCR、、、今更聞けないPCRってなに?
2.「PCR検査」で結局、なんでそんなに格安なのぉ~?
3.「PCR検査」を謳っていながら、PCRじゃない業者もある!?
4.で結局、格安検査、大丈夫なのぉ~?
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1.おさらい:今や市民権を得たPCR、、、今更聞けないPCRってなに?
いやあ今や、あちこちで一般の人が「PCR検査」という言葉を口にしているのを耳にしますね。
「PCRの伝道師」を自任する私としては嬉しい限り、、、というよりは、一般の方々のPCR検査に対する理解が大丈夫なのか、と心配でならないのであります。
というのも、マスコミやPCR検査業者とかが正しい情報を十分には発信していないと思えてならないからなんです。
PCRというのは、私に言わせれば、20世紀の生物科学史上最大の大、大、大発明なのです。
PCRが世に出る前の「プレPCR時代」と、その後の「ポストPCR時代」とでは、少なくとも生物学や基礎医学研究はそれこそ飛躍的な発展を見せました。
それは1980年代前半から半ばにかけてのことでした。
なにしろポストPCR時代では、生物学や基礎医学の研究現場で、数週間かかっていた作業が数時間!で終わってしまうのですから、研究分野におけるインパクトと言ったらありぁしません!
PCRは単にウイルスの検査法としてノーベル賞を受賞したのではありませんのよ。
遺伝子を扱うあらゆる研究分野、すなわち医学、分子生物学、考古学、法医学、農学等々、とにもかくにも遺伝子(DNA/RNA)を扱う研究分野すべてにおいてエポックメイキングな革新をもたらしたのでしたのよ、、、ふむふむ。。。
PCRは単に科学分野のみならず、「ジュラシック・パーク」など、フィクションの世界にも、そのプロットのきっかけを与えることになったのです。
そのインパクトたるや、いかばかりか計り知れないのですよ!
そんなに凄いPCR法も、もとをただせばたった一人の名もない企業研究者の思い付きから始まったのでした。
彼は、そのアイデアを、彼女とのドライブの最中に思い付いたと言います。
そのアイデアは素晴らしくシンプルで美しく、それが実現しないとは思われないようでした。
しかし彼は、その自身のアイデアを実験で実証することができず、ただいたずらに月日が過ぎていくのでした、、、
果たして、ノーベル化学賞を受賞することになる世紀の大発明「PCR法」は、どのようにして確立されていくのでしょうか?
この物語のつづきは過去ブログをお読みください。
PCR誕生にまつわる人間模様が面白くお読み頂けます。
2.「PCR検査」なのに結局、なんでそんなに格安なのぉ~?
「PCR検査」って言葉、すっかり一般の方々の間でも市民権を得ましたよね。
PCRって、ほんの1年前までは、一部の研究者や技術者や検査技師の間で通用する専門用語だったのです。
それが、テレビをつければ、PCRの言葉を耳にしない日はないくらい、、、
いや、いいんですよ。PCRへの認識が世に広まることはいいことですから。
「優れた技術は人類の幸福に資するためにある」
これは私の座右の銘の一つです。
新型コロナウイルス感染の検査に関してはPCRだけが頼みの綱。
だとすれば、PCRについて一般の人の理解を広めることは、非常に重要な課題ですよね。
そのような状況の中で、専門家の理解を超えるような商業サービスが出てまいりました!
はい!
私は特定の企業の営業妨害をするつもりは毛頭御座いませんが、上のサイトの文言を良くお読み下さい。
「東京駅八重洲南口から徒歩4分の場所に、新型コロナウイルスの検査を行う『SmartAmp Station“駅前検査”』をオープンします。
『SmartAmp Station“駅前検査”』では、神奈川県衛生研究所などの共同研究グループが共同で開発した新型コロナウイルス次世代PCR検査法、PCR/SmartAmp法(スマートアンプ法)を使用し、安く、早く、安全に検査できる環境を提供します。」
普通、数万円かかる新型コロナウイルスのPCR検査を、な、ななんと1,980円でやると述べてますよねぇ。
皆さんは、これ読んでどう思われますか?
受けてみたいと思われます???
実際、予約で長蛇の列らしいですがね、、、
「こんなに安いのなら、是非検査受けたい」と思うのか(予約いっぱいだそうですよー)、「安いのには何か訳があるのでは?」と慎重に考えるのか?
「なんか怪しい」と思ったりとか、、、
はい、安いのにはやっぱ訳があります。
それを、本サービスのウェブサイトから読み取りましょう!
3.「PCR検査」を謳っていながら、PCRじゃない業者もある!?
世界初の携帯コンパクトカセットテーププレーヤーはソニーさんの「ウォークマン」でした。
そして、世界初の遺伝子増幅技術は「PCR法」でした。
何が言いたいかというと、私が幼少から若いころには、カップラーメンであれば、それが日清のものであろうあとなかろうと「カップヌードル」と呼んでいました。
携帯カセットテーププレーヤーは、ソニーのウォークマンでなくても、AIWA製でもPANASONIC製でも、「ウォークマン」と呼んでいました。
「カップヌードル」も「ウォークマン」も、それぞれ日清とソニーの登録商標です。
つまり、日清以外のカップ麺を「カップヌードル」と呼ぶことは出来ないし、ソニー製以外のカセットプレーヤーを「ウォークマン」と呼ぶことは出来ないのです。
それにもかかわらず、これらをそう呼んでしまうのは、やはり、その分野で最初にカップ麺なり、携帯カセットプレーヤーなりを世に送り出したブランドの力と言うものでしょう。
ほんで、話をPCRに戻します。
「PCR法」というのは(期限切れしていますが)特許もあり、論文もある、世界初の遺伝子増幅技術のことです。
この技術は、その原理の単純明快さと汎用性の広さとから、発明後瞬く間に世界中に広がり、世の研究者経つによってPCRの応用技術が開発されたりして、その有用性は数年で世に知らしめられました。
PCR法の普及によって、以前は不可能だったことの多くが可能となりました。
もちろん特許はあります。
特許権者は、いろいろと巡りめぐって、最終的にはスイスのメガファーマ・ロシュ社が保有するに至りました。
この特許はがんじがらめです。
PCRは遺伝子診断などの有用な技術として各国で認可されましたが、すべてはロシュ社のものです。
ロシュの許しなしには、誰もPCRに手出しできません。
そこで技術者や研究者が考えるのは「特許抜け」です。
PCRのアイデアを拝借しながら、PCR特許の盲点を突き、類似の技術の特許成立を狙うものです。
別に特許抜け自体は違法でもないし、私も批判するつもりもありません。
事実、PCR法の特許を「抜く」ための類似の遺伝子増幅技術の開発が盛んに行われ特許申請がなされました。
でも、言わせてもらえれば、言葉は悪いですが、PCRの「バッタもん」なのです。
バッタもんを開発すること自体は、悪いとは言いません。
でも、許せないのは、PCR法でもないのに、「PCR法」という言葉を宣伝に使うことなのです。
エースコックのを「カップヌードル」と呼ぼうが、AIWA製を「ウォークマン」と呼ぼうがかまやしません。
しかぁ~し!
PCR法でないバッタもんを「PCR」と呼称して宣伝に使うことは許しがたい!!(怒)
そして、このようなPCRのバッタもん技術開発の動きは、特に我国において顕著だったのです。
4.で結局、格安検査、大丈夫なのぉ~?
改めて以下のサイトの文言をお読みください。
「新型コロナウイルス次世代PCR法、PCR/SmartAmp法を、、、云々、、、」とありますね。
はい、ここで知らない単語「SmartAmp」というのが出てきました。
なんすか?そのスマートアンプって?
これこそが、我が日本の著名な公的研究機関とあるベンチャー企業が開発した独自の「遺伝子増幅技術」なのです!
でもね、、、、、、その原理の根本は核酸合成酵素を用いた遺伝子複製であって、言葉悪いですけど、言わせてもらえば、PCRの「パチモン」なんですよねー。
そのパチモンを、上記の広告では、「PCR」と言っている訳ですな。
しかも「次世代PCR」と呼称している!
これは許しがたい!!
PCRよりも優れていると言わんばかりじゃないかッ!パチモンがッ!!
携帯カセットプレーヤーならなんでも「ウォークマン」
遺伝子増幅法ならなんでも「PCR法」
いやいや違うでしょ!
PCRとSmartAmpは似てまったく非なるもの!!
ちゃんと区別せねば!!!
これはマスコミも悪い!!!
SmartAmpの格安検査センターオープンをニュースで取り上げておきながら、「PCR検査センター」と報道していた!
「そんなこと、どうでもいいんじゃない?」ってか?
いやいや
医療機関で医師の判断のもと行われる新型コロナウイルスのPCR検査は厚生労働省の承認を受けて実施されているものですが、民間業者が行うSmartAmpの新型コロナウイルス検査サービスは未承認なのですよーーーーーっと。
これを安いからと言ってサービスを受けるのは、受ける人の自由勝手ではありますが、その有効性、つまり感度や特異度と言った検査精度については科学的な根拠が示されていないと言っていいのです。
まあ、皆さん多くの方が初詣にもうられたら100円とかでおみくじ引くこともあるでしょ。
でもね、おみくじがハズレたからって、神社が責任取ってくれないように、このスマートなんとかの検査結果がハズレても、だーれも責任取ってくれへんし、な~んの補償もあらしまへんのやで~。
まあ、おみくじと同じように科学的根拠のない、PCRでもないのに「次世代PCR」と謳っている、ハッタリにしても度の過ぎた検査を気休めにイチキュッパで受けられるのなら、お受けになればいいんじゃないですか。
はい
私はこのような科学を装った無責任な量販型遺伝子検査業者に批判的なのです。
ご反論があれば、なんぼでもお受けしますよーーーーー
炎上大歓迎!!
今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。
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