1996年初版発行のこの本、当時、ウイルスの研究をしていた私が、発がんメカニズムを分子生物学的に理解することに対して興味を抱くキッカケになった本です。
がん遺伝子やがん抑制遺伝子、DNA修復遺伝子の発見の過程には、研究者同士の壮絶な競争と、泥臭い人間物語がありました。
それらを生々しく描写した著者(著名ながん研究者です)の力量に、当時、私は深く感銘を受けました。
本ブログ【041】と【042】の2回にわたってお送りした「がん遺伝子発見物語」は、この本の影響を色濃く受けています。
041【がん遺伝子発見物語(前編)「50年早く行き過ぎた男」】がん(その7) - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】
042【がん遺伝子発見物語(後編)「内なる敵か!? がん原遺伝子の発見!!」】がん(その8) - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】
発刊から20年以上も経ち、この分野の研究も飛躍的な進歩を遂げましたが、それでも、この名著を超えるものは、まだ出てきていないのではないでしょうか?
そのことを確かめるため、もう一度読み返してみようとウチ中を探したのですが、残念ながら、とうとう見つかりませんでした。
読み返すことはできませんでしたが、それでもこれだけは確信を持って言えます。
生命科学系の大学生はもちろん、生命科学に興味のある高校生にも断然お薦めです。
これにより、きっと、科学の面白さ、醍醐味、社会的意義などに思いを寄せられることでしょう。
もしかすると、その人の人生に大きな影響を与えることになるかも知れません。私がそうだったように。。。
そのようなお子さんをお持ちの方、是非教えてあげて下さい。
また、必ずしも生命科学に関心のある方に限らないかもしれません。
がん研究の分野に関わらず、全てのサイエンスにおいて、共通の命題や使命があるはずですから。
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。