医学の進歩は、ノーベル生理学・医学賞を受賞したような偉大な業績を抜きにはあり得ません。
私にとって、秋の同賞の発表は、毎年恒例の楽しみなイベントです。
ところで、どんなに偉大な業績を残したとしても、早く死んでしまってはノーベル賞が授与されないことをご存知の方も多いでしょう。
しかし、近年において、故人にノーベル賞が贈られるという珍事が起きたのです。
2011年のことです。
2011年10月3日、同年のノーベル生理学・医学賞は、現代免疫学に飛躍的な進歩をもたらした3人に贈られることが発表されました。
現代免疫学の三大本流と言われる「樹状細胞」、「トール様受容体」、「制御性T細胞」ですが、トール様受容体を発見した米国のブルース・ボイトラー博士、ボイトラーのトール様受容体発見に道筋をつけたフランスのジュール・ホフマン博士、そして樹状細胞を発見したカナダのラルフ・スタインマン博士の3人です。
Dr. Ralph M. Steinman, The Nobel Prize winner, 2011.
ところが、この発表のすぐ後、スタインマンの家族が、彼が既に亡くなっていることを公表したのです。
なんとノーベル生理学・医学賞受賞者発表のわずか3日前、9月30日のことです。
そりゃあ、ご家族も、悲しみも癒えない中でビックリ仰天したでしょうね。
悲しみの中での喜び? 喜んでいいのやらどうなのやら?
ここでまた仰天して慌てたのがノーベル財団と同賞の選考委員会であるカロリンスカ研究所です。
「ええ〜〜っ!?」ってなもんです。
なにしろ前例のない事態なのですから。
協議の結果、発表前の死亡ではあるが、受賞決定後のことであったとして、授与を撤回することはなく、スタインマンはめでたく受賞となったのです。
スタインマンの死因はすい臓がんです。
すい臓がんは、発見されたときにはかなり進行していることが多く、予後は概して良くありません。
スタインマンのすい臓がんは、2007年に診断されました。
自身発見の樹状細胞を活性化する「免疫療法」を施しながらの闘病だったそうですが、すい臓がんで4年も生き永らえたとは驚きです。
やはりこれも、我われが持つ本来の免疫力のなせる業なのでしょうか?
ノーベル賞を狙っている若い方。
業績は若いうちにあげておく方がいいですよ。
がんウイルスを発見したラウスみたいに、研究成果の発表から55年もかかった例もありますから。。。
もし、歳とってからの業績であれば、本ブログを参考にして、健康にはくれぐれも留意して下さいね(笑)
近年で受賞が早かったと言えば、ヒトのiPS細胞の樹立からわずか5年で生理学・医学賞を受賞した山中伸弥先生の例があります。
一方で、開発成功の当初から「ノーベル賞確実」とか、「日本で最もノーベル賞に近い男」などとの下馬評が高かったのにも関わらず、受賞に20年以上もかかった例があります。
1980年代に、「今世紀(20世紀)中の実用化は不可能」とまで言われた青色発光ダイオードでしたが、1986年か87年頃だったでしょうか? 確信はないのですが、とにかくその頃に、何の予備知識もないゼロの状態から開発に着手し、1990年代初頭には早くも実用化を果たした中村修二さんなんかは、2014年にやっとこさ物理学賞を受賞されました。
前年の2013年には、本人も「もう無理かもしれない」と漏らしていたそうです。
まぁ、あの方の場合は、世界中の注目を集めた元の会社との訴訟とか、色々お騒がせがありましたから、そんなことも影響したのかもしれません。
という訳で皆さん、「健康寿命」を延ばして、いつまでもお元気で。
そしたら、いいこともありますよ(笑)
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆彡
是非、お読みになったご意見やご感想、お叱りをコメントでお寄せ下さい。
大変励みになります。