③ 肉食を控える(前回のつづき)
今回の結論
アメリカン・ジャンクなフードは、あらゆる病気の元凶だぜっ‼️
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
肉食、特に四つ足の動物の肉食について、調べれば調べるほど、いいことは何もないことを確信するばかりです。
2015年、「ネイチャー・コミュニケーションズ」から次のような論文が発表されました。
アフリカ系アメリカ人(つまり、アメリカに住む黒人の人たちですね)と、今もアフリカの原野で質素な生活をするアフリカの原住民とで、お互いの食事を2週間だけ入れ替えてみようという試みです。
なんでこんな実験をしたかというと、アメリカに住む黒人の人たちが大腸がんになる確率というのが、今もアフリカの原野に住む原住民が大腸がんになる確率に対して、なんと13倍も高いそうです。
「13倍」というのは尋常な数字ではありません。
たばこの箱には「喫煙はあなたが肺がんになる確立を3~4倍高めます」と書いています。
この3~4倍というのも小さくない数字ですが、それからすると、「13倍」というのがいかに大きいかが分るでしょう。
では、どうしてこんなにも両者でがんになるリスクが違うのか?
アメリカに住む黒人も、元々のルーツはアフリカ原住民であり、したがって、両者の間で、遺伝的要因はそんなに変わらないはずです。
では、何が一番大きく違うのか? 「食事じゃないか?」
ということで、たった2週間、2週間で何かが変わると思ったのか、とにかく2週間だけ互いの食事を入れ替えたというわけです。
いわゆるアメリカン・ジャンク・フード(高動物性タンパク、高動物性脂肪、低食物繊維な食事)を食べているアメリカ人には、アフリカ原住民のような質素な自然食(低動物性タンパク、低動物性脂肪、高食物繊維な食事)を2週間、そして、アフリカ原住民の人たちには、アメリカン・ジャンクを2週間摂らせたわけです。
対象者は、アメリカ人およびアフリカ原住民とも20人ずつ、年齢は50歳から64歳という、大腸がんにかかり易い年代です。
結果を以下の表にまとめました。
簡単に説明しますと、まず、「大腸がんリスク要因」として、大腸内の「酪酸」と「二次胆汁酸」の増減を見ています。
酪酸というのは、良い腸内細菌が作る良い物質です。
一方、二次胆汁酸というのは、悪い腸内細菌が作る悪い物質です。
この、良い物質が、良い食事に変えた黒人のアメリカ人で増え、悪い物質が減りました。たった2週間でです。
一方、アメリカン・ジャンクを2週間食べたアフリカ原住民では、良い物質が減り、悪い物質が増えました。
アメリカン・ジャンクを食べていると、たった2週間で良い物質が減り、悪い物質が増えるという最悪の変化を見せました。
この悪い方向への変化によって、大腸がんになるリスクが高まると考えられます。
次に、良い物質である酪酸を造る遺伝子の数を大腸で調べたところ、アメリカ人で増え、アフリカ原住民で減っていました。
酪酸を造る遺伝子が増えているということは、酪酸を造る良い細菌の数が増えているということ、反対に遺伝子が減っているということは、酪酸を造る良い細菌が減っているということです。
つまり、たった2週間食事を変えるだけで、腸内細菌の状態が良い方向にも、悪い方向にも変化するということを示しています。
最後に、「大腸内炎症マーカ細胞」とありますが、大腸にこれらの細胞が多いと、大腸に炎症が起きていることを示します。
つまり、大腸に炎症を起こしていたであろうアメリカ人では、たった2週間、質素な食事に変えることで、これらの細胞が減り(つまり大腸の炎症が改善し)、炎症などなかってであろう原住民の人たちは、たった2週間、アメリカン・ジャンクを食べたことによって、大腸に炎症を起こしたのでした。
何度も繰り返しますが、たった2週間、食事を変えるだけで、腸と腸内細菌の状態は、良い方向にも、悪い方向にも変わるのです。
たった2週間でこれですから、食事の内容について、5年も10年も気を付けている人と、そうでない人との間には、大腸がんになるリスクにおいて、相当の差ができてしまっているのではないでしょうか?
また、食事を改善すれば、たった2週間で良くもなるのですから、今まで食事に気をつかってこなかった人も、今からでも始めて、決して遅くはないということではないでしょうか?
アメリカン・ジャンク・フードが悪いというのは、なにも肉が多いからだけではありません。
食物繊維の摂取量が少ないことも重要な原因と思われます。
食物繊維の重要性についても、いずれお話致します。
前回と今回の2回で、いかに食事の内容が我々の健康に大きな影響を与えているのかが、お分かりいただけたと思います。
次回以降、「良い油、悪い油」のお話を致します。
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。
是非、ご意見・ご感想、お叱りなど、コメントをお寄せください。
大変な励みになります。