目次:
1.ワクチンでガンが治るって?
2.がん免疫療法の祖、丸山博士は皮膚科医
3.結核ワクチンが、なぜハンセン病にも効くのか!?
4.腫瘍免疫学を半世紀以上先取りしていた偉人
5.口コミで広がった丸山ワクチン
6.承認治療薬を目指して
7.不当な「不承認」
8.製薬行政の「大人の事情」って?
9.条件を満たせば、丸山ワクチンの治療は誰でも受けられる
「丸山ワクチン」ってご存知ですか?
聞いたことくらいはあります?
どんな印象を持ちます?
ワクチンでガンが治るなんて、それも末期がん患者が治るなんてうさん臭い?
まあ、そんなところかなと思います。
「丸山ワクチン」は世界初のがんワクチンです。
その考え方は斬新でした。
斬新すぎて、返って受け入れられにくかったのかもしれません。
免疫力でガンを治す!
免疫チェックポイント阻害剤に先立つこと60年!
丸山先生がご存命なら、ノーベル賞を受賞しても全然おかしくない!!
丸山先生のコンセプトが正しかったことは、21世紀の医学研究が証明しています。
※ 本ブログ記事は、丸山ワクチンの抗腫瘍効果を保証するものではありません。臨床試験にて「効果なし」との報告も多くあり、その効果は科学的には未だ証明されていません。
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1.ワクチンでガンが治るって?
ワクチンというのは、感染症の予防で使用される予防接種ですよね。
細菌やウイルスに対する免疫力をつけさせてやることで、感染症を予防するものです。
「がんワクチン」
がんは感染症ではありませんよね。
なのにワクチンでガンが治る?
本ブログの熱心な読者の方はよくご存知のことと思いますが、本来、我々の体は、自身の免疫力でガンをやっつけられるだけの強力な治癒力を備えているものなのです。
その人間が本来持つ免疫力を引き出すのが、ひとつは「免疫チェックポイント阻害剤」であり、あるいは私がよく話題にしてきた自然免疫を強力に誘導する「βグルカン」なのですが、この両者がなぜガンによく効くのかが理解されるようになったのは、やっと今世紀に入ってからです。
しかし、戦後間もなく、既にこのことに気がついた、誠に先見の明をもった医学者がいたのです。
丸山千里(ちさと、私の娘と同じ名前です)博士その人です。
丸山 千里(1901年~1992年)
2.がん免疫療法の祖、丸山博士は皮膚科医
丸山先生は皮膚科医でした。
太平洋戦争も激しさを増す1944年、丸山先生は結核のワクチンを作ろうとしていました。
当時、結核のワクチンとしては、細菌学の祖、ロベルト・コッホが1890年に開発したツベルクリンがありましたが、あまりにも副作用が強く、ワクチンとしては決して有効とは言えませんでした。
当時の日本人の死因第一位は圧倒的に結核!
なんとかこの疾病を防ぐすべはないものか!?
コッホが開発した結核ワクチンは、結核菌の抽出物からできたものでした。
免疫というのは、病原体の物質に対して免疫を作るのですから、病原体の抽出物を注射して免疫を惹起する。この考え方はワクチンの基本です。
ではなぜ、これほどまでに副作用が強いのか?
丸山先生は、コッホのワクチンには結核菌由来の毒性の強い物質が含まれていると考え、その有害物質を特定し、取り除く研究を日夜続けていました。
しかし、その研究は困難を極めました。
寝ても覚めてもそのことばかり。家庭も顧みず研究に没頭する日々。
それもこれも、ひとりでも多くの命を救いたいがためでした。
3.結核ワクチンが、なぜハンセン病にも効くのか!?
試行錯誤すること3年。
研究に没頭するうちに戦争は終わっていました。
そして、ついに研究は成功。
動物実験で副作用の出ない結核ワクチンの開発に成功したのです!
結核の患者によく効き、ツベルクリンよりも断然副作用が少ないのでした。
ワクチンというと「予防」とお思いかもしれません。
しかしワクチンは、発症したあとからでも免疫力を増強することで、病気を回復させるものもあります。
皮膚科医の丸山先生はハンセン病患者も診ていました。
な、なんと、結核ワクチンである丸山ワクチンは、なぜかハンセン病患者にもよく効いたのです。
ハンセン病はらい菌によります。
結核菌に対する免疫は結核菌のみに有効で、他の菌に効果があるはずありません。
これは当時の免疫に関する経験則では常識でした。
はしかに対する免疫が水疱瘡に無力なのと同じです。
理由は分かりませんが、とにかく丸山先生はハンセン病患者も注意深く観察しました。
4.腫瘍免疫学を半世紀以上先取りしていた偉人
当時、東京・東村山のハンセン病患者専門の療養施設には1300人もの患者がいましたが、ある日、丸山先生は、施設にこれだけのハンセン病患者がいながら、ほとんどガン患者がいないことに気がついたのです。
なぜ???
そこで、丸山先生はご自身が診ている結核患者についても調べてみました。
やはり、ほとんどガン患者はいなかったのです。
なぜ? なぜ?? Why??? ホワ~イ????
丸山先生は考えました。
「ハンセン病患者に結核ワクチンが効くはずがない。結核にせよ、ハンセン病にせよ、病原菌に感染している状態であることが、ガンにはならない原因なのではないか? 理由は解らないが。。。」
ここが丸山先生の凄いところ。誠に先見の明です。
ほんの数十年前まで、いや、21世紀に入ってからも、「アレルギー疾患の人は免疫が過剰なので、ガンや感染症にかかりにくい」とか、逆に「感染症の人は免疫が落ちているから、ガンにかかりやすい」なんてことを平気で言う人がいました。
そんなことはありません。いや、むしろ大間違いです。
感染症にかかりながらも、ガンにもならない人は少なくないのです!
このことについては、以下の過去ブログで詳しくお話しています。
過去ブログでお話したとおり、免疫は「強いか弱いか」という、シーソーのような二元的なバランスで成り立つものではないのです。
当時の免疫の常識に囚われることなく、早くもそのことに気づいた丸山先生は、まさしく偉大だったと思います。
まことに半世紀以上、時代を先取りしていた人です。
5.口コミで広がった丸山ワクチン
結核菌であれ、らい菌であれ、何らかの病原菌に感染していると、ガンになりにくい。
自分のワクチンは結核菌から抽出したもの。
これを接種すれば、結核菌やらい菌に感染したのと同じ効果を与えて、ガンを抑制するのではないか!
丸山先生は、自身の思いつきを確かめたくって仕方ありませんでした。
でも、ひとりでできることは限られています。
そこで、全国の病院・医院を回り、自分の発見と自身の考えを説いて、協力者を募りました。
丸山先生の話に強い関心を示したひとりの医師がいました。
彼は急性リンパ性白血病の少年を診ていました。
それも、大きな大学病院で抗がん剤治療を受けたものの、もはや打つ手なしと見放された子です。
その医師も半信半疑だったことは言うまでもありません。
でも、他に何ら手立てはないのです。
失うものは何もありません。
その患者に丸山ワクチンを各日で打ちました。
なんと、少年は1年で退院出来るまでに回復したのです。
こうして少年は、丸山ワクチンで末期ガンから生還した「症例第1号」になったのです。
でも丸山先生は、この1例だけで浮かれることはありませんでした。
その後、丸山先生は、多くのお医者様の協力を得て、丸山ワクチンの評価を続けました。
喜びの患者の声は、患者から患者へ! 驚きの医師の声は、医師から医師へ!
全国から、丸山ワクチンに最後の望みを託した患者さんたちが、丸山先生を頼んでやって来るようになったのです。
6.承認治療薬を目指して
1966年7月になってようやく、丸山先生は、「結核菌体抽出物による悪性腫瘍の治療について」という臨床報告をしました。
イタリアのフィレンツェで行われた国際癌学会でも発表し、大きく注目されました。
そして日常に戻れば、結核菌を培養して抽出液を調製する作業と、全国からやって来るがん患者に向き合う日々をひたすら続けるのでした。
丸山先生は70歳を超える年齢になっていました。
丸山先生の息子さんたちは、もし父親に万が一のことがあれば、丸山ワクチンが永遠に失われることを危惧していました。
製薬メーカーにノウハウを譲れば、丸山ワクチンは生き続けることができます。
しかし、人の命を盾にとって利益を得るような製薬メーカーの手に渡れば、いい金儲けの道具にされるだけではないか?
丸山先生は迷っていました。
しかし、息子さんたちは、僅かな希望をこの薬にかける多くの患者さんのため、幻の薬に終わらせないようにと丸山先生を説得しました。
丸山先生が選んだのは、中堅の新興製薬メーカーでした。
「ゼリア新薬工業」
丸山先生が、なぜこの会社を選んだのか? いろいろ調べましたが分かりませんでした。
利益第一主義の大手製薬メーカーに不信の念があったのでしょうか?
ゼリア新薬が丸山ワクチンの権利を得たことを受けて、報道が過熱しました。
日本国内はもとより、海外からも丸山ワクチンを求めて患者が殺到したのです。
丸山先生に協力する医師や医療機関からも、続々と臨床データが発表されました。
様々なガン種において、手の施しようのない末期がん患者で5割を越える5年生存率を示す結果が続々と報告されたのです。
これは驚くべき数字です。
単純に数字を比較できるものではないのですが、もしかすると「免疫チェックポイント阻害剤」よりもすごいかも知れない!
しかも、副作用はほとんどなし!
7.不当な「不承認」
1976年。丸山先生は、数々の驚くべき臨床データを含めた著書を発表しました。
その著書の中で、丸山先生は、「丸山ワクチンは、放射線療法や化学療法との併用よりはむしろ、単独で使用してこそ効果がある」と言ってのけたのです。
これは、医学会や製薬業界に非常に強い不快感を与えたようです。
丸山先生のこの本は、一般の人の興味を惹きましたが、一方で丸山ワクチンの「悲劇の始まり」ともなったようなのです。
なぜなら、これ以降、一日も早く治療薬として国の承認が欲しいと願い、丸山先生がガン関連の学会で最新の成果を発表すると、学会の重鎮から「こんなうさん臭い薬で人心を惑わすことはやめるべきだ」というようなことまで言われる始末なのでした。
同年11月。ゼリア新薬は当時の厚生省に「抗悪性腫瘍剤」として承認申請をしましたが、国はなかなか丸山ワクチンの効果を認めようとはしません。
「提出されたデータでは効果は確認できない」として、何度も何度も追加のデータの提出を求めては、ダラダラと承認を引き伸ばしました。
1981年8月。ついに厚生省は「不承認」を決定したのです。
ところが、ここが役所のよく分からんところです。
「引き続き有効性を検証するため」として、「有償治験薬」としたのです。
「有償治験薬」って何じゃ?
ホンマに「何?」ですね。
普通、治験(実際に患者さんに薬を投与して効果や安全性を検証する、端的に言えば「人体実験」)と言えば、患者が費用を負担することは一切ありません。
ほとんどすべての費用は申請する製薬メーカーが負担するものです。
これは極めて異例な扱いです。
なぜ患者が治験の費用の一部を負担しないといけないのか?
確かに、たとえ有償でも「丸山ワクチン」を投与して欲しいと望む患者さんは後を立たなかったのは事実です。
国が、そういう人たちに配慮したのでしょうか?
「却下」した薬でも、望む人には与えられるようにと。
いや、うがったところでは、どうしても丸山ワクチンを治療薬として認められない大人の事情があったのかもしれません。
しかし、それでは丸山ワクチンを必要としている多くのガン患者さんからの謗り(そしり)は免れない。
それなら、「有償治験薬」という名目で、「完全に却下した訳ではない」とアピールしたかったのではないのでしょうか?
8.製薬行政の「大人の事情」って?
以下は、ネットに書き込まれた多くの人の見解をまとめた上での推論に過ぎません。そのことを事前にお断りした上で書かせていただきます。
丸山ワクチンの承認申請以前には、いや、その後でも、副作用が強く、効果もそれほど顕著でない抗がん剤が多く承認されてきました。
そこに驚くべき効果と副作用の少ない丸山ワクチンの承認申請があったわけです。
抗ガン作用のメカニズムはほとんど不明。でも効き目は凄い!
もし、こんな怪しいものでほとんどのガンが治ってしまったら、これまでの抗がん剤はいったい何だったのか?
承認した国も、使用を推奨した医学会もメンツ丸潰れです。
いや、潰れるのはメンツだけでは収まりません。
抗がん剤を主力製品にしている大手製薬メーカーまでも潰れかねません。
経済界・産業界が打撃を被ります。
のらりくらりと承認を避けながらも、必要とする患者からは決して取り上げはしなかった。
ネットで世論の論調を読んでいると、おおかた上のような事情の様に読み取れます。
9.条件を満たせば、丸山ワクチンの治療は誰でも受けられる
ゼリア新薬の申請から42年が経過した現在。丸山ワクチンはいまだ承認されていません。
しかし、現在でも、「有償治験」に参加する意思がある患者は誰でも(治験対象患者の条件を満たせば)、丸山ワクチンの投与を受けられるのです。
でも、気になりますよね。
先進医療みたいな特別な治療法って、全国でも一部の医療機関でしか受けられないですよね。
丸山ワクチンの投与を受けられる医療機関って、全国でどれくらいあるんですか?
実は、がん治療を行っている医療機関であれば、全国のほとんどすべての医療機関で投与を受けられるそうです。
そして、気になる費用は1ヶ月分1万円弱!
なんと、1年でも10万円程度です。
治療薬として厚労省から未だに承認されておらず、もちろん保険適用もされていないわけです。
でも、それが一月1万円ってどういうことですか???
これで末期ガンから生還できるかもしれないとの希望が持てるの?
それだったら、厚労省の承認なんて必要ないですよね?
でも、承認薬でないことのデメリットもあります。
ひとつには、丸山ワクチンの正しい情報が、それを必要としている人に伝わりにくいということです。
打つ手のなくなった患者に、諸手を挙げて丸山ワクチンを薦める医師も、そう多くはないでしょうし。
丸山ワクチンのオフィシャルサイトがあります。
また、医療機関によっては、ホームページで丸山ワクチンの情報を取り上げているところも少なくありませんので、検索してみて下さい。
この記事が、情報を必要としている方々のお役に立てれば幸いです。
今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。
是非ともご意見・ご感想、ご批判・お叱りのコメントをお願い致します。
大変励みになります。