Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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085【「感じの悪い」笑顔を見るとストレスがたまる】

笑顔の素敵な貴方に(笑)

今回は、会社の人が教えてくれた心理学の論文の内容を紹介します。

 

www.natureasia.com

 

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皆さん、「笑顔」が持つパワーって絶大ですよね。

「私は貴方の味方ですよ」、「貴方は大丈夫です」、「頑張ってね」、「応援しています」といった理解や承認の意を示す笑顔は、相手に安堵感と親密感と自信を与えます。

ところが、心理学では、必ずしも笑顔がいいことばかりでなく、返って相手にストレスを与え、時に相手との人間関係にも大きな影響を及ぼすこともあるというのです。

そう、相手の健康を害するような、悪い影響すら与えると言うのです。

なんで笑顔が???

 

以前から、前向きな言葉がけが相手にいい影響を与えることは知られていました。

たとえば、スピーチのあとで人から、「良かった」、「おもしろかった」、「話がうまい」なんてい言われるとまんざらでもないですよね。

極度のあがり症の私が、人前で話す前にやっている「アンカリング」という手法は、過去に他人から頂いた前向きな言葉がけによって自己暗示をかけることで、自信を強化するテクニックです。

他人からの暖かい応援の言葉は、本当にありがたいものだと思いますよ。

 

takyamamoto.hatenablog.com

アンカリングについては、過去ブログをご参照下さい

 

逆に「良くなかった」と追い討ちをかけるような言葉は、本人が思う以上に相手に精神的ダメージを与えるようです。

たとえ、相手が欠点を修正することで、もっと良くなると思ったとしてもです。

特にその人の立場が、上司や先生や親など、相手よりも立場が強い場合ほど、その影響は顕著だと、この論文では述べられています。

ですから、会社でも学校でも家庭でも、特に子供なんかには、欠点を修正させる教育ではなく、長所を褒めて伸ばすべき、というのが現在の一般的な考え方のようですね。

 

このような「言語」による働きかけは、視床下部-下垂体-副腎軸」という人体で最も重要なストレス応答系に影響を及ぼすそうです。

ストレスによる様々な生理機能の変化、心拍数の増加、血管の収縮と血圧の上昇、呼吸の深度と回数の変化などは、副腎から放出される「コルチゾール」などのストレスホルモンが自律神経に働きかけて起きるものです。

 

さて、耳から入る言葉の影響が良く研究されている一方で、眼から入る「笑顔」が相手にどんな心理的影響を与えるのかと言うと、あまり研究結果は多くなかったのだそうです。

そこが今回の研究の動機のようですね。

この論文では、90名の男子学生を被験者にして、いくつかの種類の「笑顔」が与える心理学的影響について調べられています。

 

「笑顔」なら、何でも相手にいい影響を及ぼすのかと言うと、そうでもないらしく、人間は「誠実な」笑顔と「不誠実な」笑顔を無意識に識別し、精神的な影響を受け、その結果、さらに身体的影響にも及ぶのだそうです。

身体的影響とはどういう意味か?

それはすなわち、ストレスなどの悪影響を与え、病気すらもたらすかもしれないという事のようですね。

 

今回の研究では、笑顔を①行動を強化する「報酬」の笑顔②脅威がなく社会的な絆を促進または維持する「親和」の笑顔③社会的地位に基づいて不承認を示唆する「優越」の笑顔、の3つに分けるとして、それぞれの笑顔に対する被験者の反応を、唾液中のストレスホルモン、コルチゾールの濃度を測定することで評価しています。

唾液にコルチゾールが多いほど、ストレスを強く受けている証拠というわけですね。

 

この3つの種類の笑顔の定義について、あまり具体的な説明はないのですが、①ならば会社の上司が部下に「頑張れよ」て笑顔で激励するような場合でしょうか。「結果を出せば、報われるぞ」という「報酬」の笑顔。

②ならば、同僚や近しい人から「大丈夫だよ。応援してるから」ってな笑顔でしょうか。相手を心から思いやる「親和」の笑顔。

そして問題の③は、笑顔で「ダメ」と言われるような場合ですが、往々にして、会社の上司や先生など、その人の方が相手より地位の高い場合に当てはまる、「優越」の笑顔というわけのようです。

 

この第三の「優越」の笑顔に対して、被験者の唾液中のコルチゾール濃度は有意に増加したという結果です。

つまり、笑顔で「ダメ」ですが、これが相手のことを思っての「ダメ」ならまだしも、その人に「俺の方が上」とか、「決定権は俺にある」なんて「優越」の意識を感じさせる場合に、相手に強いストレスを与えるようです。

「作った笑顔」というのは、相手に不誠実な「感じ悪さ」が伝わるのですね。

 

ストレスは、一時的に身体の生理機能に変化を及ぼすだけでなく、特に長期的なストレスの持続は、脳卒中心筋梗塞など循環器系疾患のリスクだけでなく、うつ病などの精神疾患の発症率も高めます。

感じの悪い上司の下で働かなければならない人たち。

ただひたすら、日々のストレスに耐えるしかない。。。

そうして、2年3年、5年10年。。。

 

うつ病患者の自殺率の高さは、わが国では非常に深刻な社会問題になっています。

そう、「感じの悪い笑顔」が他人を病気にし、極端に言うと死に追いやる可能性もあるということですね。

だから、上司や先生だからって、「上から目線」は禁物なのですね。

いかん、いかん。。。

反省、反省。。。

 

他人に優しい笑顔を心がけたいものです。

しかし、「これがけっこうむずかしい」(クレヨンしんちゃん調)

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今回も最後までお読み下さり、ありがとう御座います。

 

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