Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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050【アンカリングとは?】イチローもやっている、緊張を解き、集中力を高める方法

目次:

ゴルゴ13ギラン・バレー症候群ではなかった!!

② 手の震えが止まらない! 「本態性振戦」とは?

③ 自律神経の働きをコントロールできる人がいるって!?

④ あがり症の私が、人前で話す前に行っていること ~イチローもやっている「アンカリング」とは?~

 

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ゴルゴ13ギラン・バレー症候群ではなかった!!

 

本ブログでは何度か、ゴルゴ13の持病「ギラン・バレー症候群」について触れました。

 

完全無欠の殺人マシーン「ゴルゴ13

そんな彼にも人間的な弱点があり、それが読者のシンパシーをくすぐり、またゴルゴがその弱点の故に窮地に陥ることを、多くの読者が密かに期待するのでした。

そして、読者が本当に期待しているのは、絶体絶命の窮地から一転、ゴルゴがどのようにして起死回生の銃弾を撃ち込むのか?

そこんところに爽快感を感じるのですね〜^_^

いや、ゴルゴは死ぬまでやめられん(笑)

 

ところが先日、「ゴルゴ13シリーズ」の最新刊、Vol.196を買って読んだところ、長年ゴルゴを悩ませていた彼の右手の震えが、実はギラン・バレー症候群によるものではないことが判明したのです。

(ご注意:これから読まれる方。本記事には一部ネタバレがありますので、十二分にご注意下さい)

私もビックリ!

今までの話は一体何だったのか? 読者はみんな騙されていたのか?

 

これまでにいくつもあった、ゴルゴのギラン・バレー症候群に関するエピソード。

その中には、医師による診察シーン、診断内容の説明などについての描写がありましたが、多くの人から「おかしい」ギラン・バレー症候群の症状ではない」との指摘があることは私も知っていました。

まぁ、漫画やねんから、そうムキにならんでも。。。まっ、そんな感じ^_^

 

ゴルゴがギラン・バレー症候群ではないという主な理由は二つ。

まず、ギラン・バレー症候群では四肢のすべて、すなわち両手両足すべてに症状が出るということです。特に足から出ることが多いと。。。しかし、ゴルゴの震えは右腕だけです。

もう一つは、ギラン・バレー症候群は一過性の病気で、たいてい予後は良く、ゴルゴのように数年を経て何度も繰り返し発症することはない、というものです。

 

ギラン・バレーのエピソードでは、医師監修のもとに描かれたものもあったそうですが、さすがに、さいとう・たかを先生も、この病気の原因や症状や診断方法などの詳細について、医学的な側面での調査が不充分なまま描いてしまったようです。

 

さて、今回明かされた彼の右腕の震えの原因は何なのか?

作中では病名は特定されませんでしたが、症状や考えられる原因の説明を読んでいると、この病気じゃあないでしょうか。

動画をご覧ください。

ゴルゴがこの病気だとすると、結構ショッキングですよ。

【福岡みらい病院 オリジナル動画】字が書けない(本態性振戦の動作時振戦) - YouTube

これではスナイプは不可能ですね。

 

② 手の震えが止まらない! 「本態性振戦」とは?

 

これだけ批判が噴出しては、今後はギラン・バレー症候群をネタにしたエピソードは、いかにも描きづらい。どうにか落とし前をつけないといけない。

さいとう先生はそう思われたのでしょう。

「ほんなら、いっそのこと開き直って、始めっからギラン・バレー症候群やなかったことにしたらええんちゃう?」(さいとう先生は私と同郷、大阪府堺市のご出身ですわ)。

「これは名案💡」

 

では、ゴルゴのこの症状に似た病気はないのか?

ありました。症状、そして、特にその原因が、ゴルゴの職業上の理由から見事に説明できる病気です。

 

この病気、本態性振戦(ほんたいせいしんせん)といいます。

(あくまでも作中では病名は特定されていません。。。)

聞き慣れない病名だと思いますが、知らずにこの症状を経験したことのある人は結構多いと思います。

この病気、年齢が高くなるほど患者が多くなり、40歳以上の年齢層では発病率は6.1%、つまり16人に1人が患者であるそうです。

やはり、多いのですね。

症状は手だけで、体全体が震えることはないそうです。

 

原因は、不安や緊張などからくるストレスです。

例えば、人前で字を書くときに手が震えたりとか。。。

あと、人前でしゃべるときに緊張で声が震えたりとか。。。これは手の震えではありませんが、原因は同じです。

ただ、このように特定の状況で、手以外の震えが出るのは「社会不安障害」の可能性が高いですね。

後で話しますが、私がそれです。

 

③ 自律神経の働きをコントロールできる人がいるって!?

 

本態性振戦の原因は、不安や緊張などのストレスからくる自律神経の失調です。

この点では、前回【049】の「過敏性腸症候群」と原因が共通しています。

049【内科では分からない?】心の病気「過敏性腸症候群」 - Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

 

自律神経とは、自律して働いている神経です(そのまんまやんけ!)。

聞きなれた交感神経と副交感神経がそれです。

心拍数や血圧や腸のぜん動運動なんかをつかさどっており、自分の意思ではコントロールできないと言われているものです。

 

しかし、まったくコントロールできないかと言うと、そうでもありません。

緊張で心拍数が上がっても、目を閉じて神経を集中させたり、邪念を払うように努めたりすることで恐怖心を制御できれば、心拍数も自ずと下がってくる、、、なんてことは、私たちも経験するところです。

今回のゴルゴ13のエピソードでも述べられていますが、ヨガなどで解脱の境地に達したマスターなどは、瞑想により、心拍数や血圧を抑えたり、果ては痛みですら制御できるそうです。

まさに、「心頭滅却すれば火もまた涼し」です。

 

しかし、我々常人には、そのようなことはとても無理です。

せめて、日常生活のなかで、不安や緊張を少しでも和らげる方法ってないものでしょうか?

 

④ あがり症の私が、人前で話す前に行っていること ~イチローもやっている「アンカリング」とは?~

 

私は子供のころからあがり症でした。

成人してからそれが顕著になり、学会発表や社内の研究成果発表など、人前でプレゼンすることが避けられない「研究者」と言う職業が苦痛で、何度やめようと思ったかしれません。

 

そう、ずいぶん前、「社会不安障害」と診断されたことで(本ブログ【049】ご参照)、私は社交的な状況、つまり人前で何かをするということに対して、強い恐怖心を持っているのだということがハッキリと分かりました。

 

そんな私が、人前で話す前に行っている、緊張を解き、集中力を高める方法についてお話します。

それは、「アンカリング」と言う、心理学に基づいた手法です。

 

皆さんは、ある曲を聴いたり、ある映画のことなどを思ったりしたら、必ず決まって特定の人のことを思い出したりしませんか?

私は、ボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」(1982年)を聴くと、今でも当時好きだった女の子のことを思い出します。

 

まぁ、私の若い頃のほろ苦い恋の話なんかはどうでもえぇとして、あるものと、別のあるものとが、頭の中で強力に関連付けられた状態。

あたかも、錨(アンカー)が撃ち込まれたように、切り離そうにも離せないくらいに強力につながった状態。

これが「アンカリング」です。

 

イチローがバッターボックスで行う、あまりにも有名なルーティン。あれこそアンカリングです。

(ただのカッコつけじゃないんですよ)

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「靴下は必ず左足から履く」なんていうような、いわゆるジンクスとか、ゲン担ぎとか言われているものも、それに似ていますが、アンカリングははるかに強力なものです。

 

マエケン体操? さあ、どうでしょう?

あれで集中力を高めていないとも限りませんね(笑) 

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要は、ある決まった動作を、自分の調子の良かったころの心理状態とか、成功体験に結び付けるのです。

自分の求めるイメージとまったく何の関係もない動作でも構いません。

人に気付かれたくなければ、目立たない小さな動作でもいいのです。

(プレゼン前にマエケン体操始めたらヤバイ奴ですからね(笑))

とにかく、その動作が、自分の望むイメージと強力に結び付けることさえ出来ればいいのです。

 

具体的なアンカリングのやり方については、以下のサイトを参照して下さい。

実際に私も、このサイトを見てトライしました。

visionary-mind.com

 

私が人前で話す前に行っている、アンカリングの具体的な方法についてお話します。

右手である種のサイン(ピースサインとか、その程度のもの)を作ります。それだけです。

その動作は余りにも目立たないので、聴講者に気取られることはありません。

例えば、講演会で司会者が私のプロフィールを紹介している間(いよいよ私の出番です。緊張は最高潮のはずです)、私は会場の後方に立って、紹介が終わるのを待っているのですが、その時、右手で「メロイック・サイン(コルナ)」を作っているのです。

コルナ - Wikipedia

 

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Ronnie James Dio, The greatest hard rock singer

 

私は、右手でこのサインを作る動作と、自分が過去にとても上手くできたときの体験を自己暗示でつなぎ合わせ、アンカリングしました。

登壇する直前に右手でこのサインを作りながら、目を半眼に開いて、「俺は話がうまい」「俺の話はウケる」と念じ、過去にウケた講演会のことや、人から「良かった」「面白かった」「話が上手い」と言ってもらった言葉などに思いを巡らせ、自己暗示をかけるのです。

これでスイッチONです。

 

それでその日の話もうまくいくと、このサインと成功体験とのつながりが強化されます。

これを繰り返して、さらにさらに、この単純な動作と成功体験とのつながりを強めて行きます。

そうなると、このルーティンによって簡単に集中力を高められ、自信を持てるようになります。この積み重ねです。

イチローのルーティンはまさにこれだと言えます。

 

子供が、親の励ましでチャレンジして成功体験を重ねれば、大きな自信につながるように、自分自身で成功体験を積み重ね、確たる自信を得るのです。

 

アンカリングを成立させることは必ずしも簡単なことではないかもしれません。

まずは、どんな小さな成功でもいいので、成功体験を作らなければなりません。

何もないところからはアンカリングできないのですから。

ホント、小さなところから始めて下さい。

また、本当に強固なつながりを形成するには、それなりの自己暗示の訓練が必要で、それにも時間がかかるかもしれません。

一朝一夕にはいかないかもしれませんが、ひとたびアンカリングが成立すれば、貴方の強力な味方になります。

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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