真夏にインフルエンザの話とは、「真冬の稲川淳二」より季節外れですが、冬まで待っていたら、それまで、このブログが続いているのやどうやら分かりません。。。(苦笑)
でも、わずか4ヶ月もすれば、もうインフルエンザの季節到来ですからね〜。
目次:
1.トリインフルエンザ
コラム:鳥とトリ、人とヒト、、、どう違うの? 考えると夜も眠れない・・・
2.新型インフルエンザ
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冬になると、新型インフルだとか、トリインフルだとか騒ぎますが、何がそんなに怖いんでしょうかね?
トリインフルエンザと新型インフルエンザって違うんですか?
それから、「高病原性トリインフルエンザ」って言葉も聞きますが、これが怖いのかな??
新型インフルエンザって、何がどう「新型」なんですか?
何がどう違うのか、私が明快にお答えしましょう!
- トリインフルエンザとは・・・トリに感染するインフルエンザウイルス、またはトリインフルエンザウイルスの感染によって引き起こされるトリの病気
- 高病原性トリインフルエンザとは・・・病原性の高いトリインフルエンザウイルス、または高病原性トリインフルエンザウイルスの感染によって引き起こされるトリの病気
- ヒトインフルエンザとは・・・ヒトに感染するインフルエンザウイルス、またはヒトインフルエンザウイルスの感染によって引き起こされるヒトの病気
- 新型インフルエンザとは・・・人類がかつて経験したことの無い性質(ヒト-ヒト感染能力)を有する、新たに発生したヒトインフルエンザウイルス、または新型インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされるヒトの病気
「全部、そのまんまやんけ!」(怒)
だって、そうなんだもん・・・
じゃあ、もう少し具体的にお話しましょう。
あッ、大事なことを言い忘れていましたが、インフルエンザウイルスにはA型とB型とC型があります。
毎年、型の違うウイルスが出回って、ワクチンが効かないだとか、来年はどの型のウイルスが流行るんだろうかとか、何かと関係方面を悩ませるのはA型で、世界的大流行(パンデミック)の可能性があるのもA型です。
今回話題にしているトリインフルエンザも新型インフルエンザもA型の話です。
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1.トリインフルエンザ
トリインフルエンザウイルスというのは、早い話が「トリに感染するインフルエンザウイルス」のことです。
実に、そのまんまです。
多くのウイルスには「種特異性」と言うのがあって、感染できる生物種が限られています。
本ブログ【025】でお話しましたが、ミクソーマウイルスはウサギだけに感染し、ほぼ100%近くを死に至らしめます。
「高病原性」、「強毒性」もいいところで、実に恐るべきウイルスです。
でも、このミクソーマウイルス、他の動植物には一切無害なのです。
不思議じゃないですか?
ウイルスが宿主の細胞に感染するためには、ほとんどの場合、ウイルスの表面にあるタンパク質が、宿主の細胞の表面にある「受容体」に特異的に結合する必要があります。
この受容体の違いによって、ウイルスの種特異性が決まります。
ミクソーマウイルスの場合、ウサギの細胞にだけあるタンパク質を受容体としている訳です。
ですから、どんなに根性出しても、ヒトとか、ミクソーマウイルスの受容体を持たない他の生物に感染することは出来っこないのです。
プログラムされていないことは出来ない。これが生物です。
でも、後で話しますが、ウイルスは、あとから新たなプログラムを得て、新たな能力を獲得することがあります。
これによって、今までできなかったことができるようになるのです。
例えば、これまで感染できなかった生物種に感染できるようになるとか。
これが新型ウイルスと言えます。
もとゑ!
トリインフルエンザの話に戻りましょう。
トリインフルエンザウイルスは、広く自然界に普通に存在している、ありふれたものです。
「トリインフルエンザ」と聞くと、悪者だと決めつけられ、目の敵にされて、本当に気の毒です。😢
トリインフルエンザウイルスは、普段はアヒルやカモなんかの水鳥(水禽類)の腸管にいます。
腸管で増えて、糞といっしょに排泄されたウイルスが別の鳥に感染して広がります。
水鳥では、ほとんど症状は出なくって、せいぜい下痢する程度のもので、水禽類はトリインフルエンザウイルスの「自然宿主」と考えられます。
ところが、なぜか、これがニワトリやウズラなどの家禽類に感染すると、増殖を繰り返すうちに高い病原性を獲得するのです。
ですから、我国では、養鶏農家などでトリインフルエンザ感染が発生した場合、その病原性の高い低いに関わらず、全殺処分が行われます。
農家には大打撃ですが、それ以上、被害を拡散させないためには、致し方のない処置です。
ここで、ひとつの大きな誤解があります。
ニワトリがバッタバッタと死んでいく高病原性トリインフルエンザウイルス。
これが人間に感染して広がるという誤解です。
鶏肉食べると、トリインフルエンザになるんじゃないか、とか。
このような誤解があるからこそ、トリインフルエンザのニュースを聞くと、世間が大騒ぎするのでしょう。
まずは、冷静に考えて下さい。基本的にトリインフルエンザウイルスはヒトには感染しません。
あくまでも「基本的には」ですが。。。
というのも、これまでに、絶対にヒトには感染しないと言い切れない事象が何度か発生しています。
1997年に、香港で非常に病原性の高いトリインフルエンザが流行し、たくさんのニワトリが死にました。
驚いたことには、ニワトリからこのウイルスに感染して死んだと考えられる人が6人出たのです。
この人たちは、鶏肉解体業者とか、ニワトリとの濃厚接触があった人たちだったようです。
つまり、大量のウイルスに曝されることて感染する可能性があるということです。
それに、トリインフルエンザウイルスの感染を許すタイプの受容体をもつ人が稀にいるという専門家の指摘もあり、多くの人がトリインフルエンザウイルスに感染し、世界中に蔓延するという話では決してありません。
基本的にはヒトには感染しないトリインフルエンザウイルスですが、わずか6名とは言え、死者が出たとなると、本当に恐ろしいのはヒトからヒトへ感染するウイルスの出現です。
高病原性のトリインフルエンザウイルスがトリからヒトに感染した後、さらにヒトに感染する能力を備えたウイルスが現れると、これは人類にとって脅威です。
なぜなら、人間はトリインフルエンザウイルスに対する免疫を持っていないからです。
ただ、これまでに、トリからヒトに感染したあと、さらにヒトに感染した「トリ⇒ヒト⇒ヒト」感染は確認されていません。
コラム:「鳥とトリ」、「人とヒト」、、、どう違うの? 考えると夜も眠れない・・・
う~~~~ん、「鳥インフルエンザ」か「トリインフルエンザ」か?
どっちが正しいと思います?
そんなことどっちでもいい?
そうですよね。
でも私は、春日三球師匠のように、考えると夜も眠れないのです。
「鳥」と「トリ」のどっちが正しいのかなんて、そんなこと分かり切ってます。
私が考えると眠れないと言うのは、専門家らしき多くの人達が、「トリインフルエンザ」ではなく、「鳥インフルエンザ」と書いていることです。
生物学において、生物種として人とか、猿とか、豚とか、鳥とかいう場合には、必ずカタカナを使う決まりです。
ですから、「ヒト」、「サル」、「ブタ」、「トリ」と書かなければなりません。
NHKも「そうだ、そうだ」と言ってるぞ!
「あの人はいい人」と言った場合、「あのヒトはいいヒト」とは書きませんよね。
でもね、「人を対象とした臨床試験」ではなく、「ヒトを対象とした臨床試験」が正しいのです。
本ブログ【041】でご紹介したラウス肉腫ウイルスは、「トリRNAウイルス」であって、「鳥RNAウイルス」ではありません。
ヒト(「人」ではない)のAIDSの原因となるウイルスは、「ヒト免疫不全ウイルス」であって、「人免疫不全ウイルス」では決してありません。
スッゴク不愉快なことに、「トリインフルエンザウイルス」でググってみると、「次の検索結果を表示しています:鳥インフルエンザウイルス」だとッ!?
ムカッ!!
あたかも「トリ」が間違っていると言わんばかり!!
たかが検索エンジンプログラムの分際で、チョームカつく!!
そして、検索結果で表示された記事は、「鳥」、「鳥」、「鳥」、「鳥」、「鳥インフルエンザウイルス」ばっか。
果ては、厚生労働省も、農林水産省も、はたまた国立感染症研究所のウイルスの専門家までもが、軒並み「鳥インフルエンザウイルス」と書いているじゃぁあ~~りませんか!?
なんでなの???
なんでみんな、「トリ」って書かない訳???
どなたか訳をご存知の方、是非お教え下さい。
でないと、明日も睡眠不足だよ!
2.新型インフルエンザ
次に「新型インフルエンザ」に行きましょう。
ウィキを見ると、新型インフルエンザについて、法律で定義されているとのこと。知りませんでしたねぇ。
それによると、「新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速な蔓延により、国民の生命及び健康に重大な影響を与える恐れがあると認められるもの」(感染症予防法第6条第7項第1号)だそうです。
新型インフルエンザウイルスの怖いところは、文字通り新しいウイルスのため、人類のほとんどが免疫を持っていないことです。
そのために、世界的大流行(パンデミック)を引き起こす可能性があるのです。
1918年のスペイン風邪は、近代において人類が経験した最大のパンデミックです。
新型のウイルスはどうやって生まれるのでしょうか?
A型インフルエンザウイルスが遺伝子の変異を起こしやすく、毎年違うタイプのウイルスが出現することをご存知の方も多いでしょう。
でも、この毎年起きるタイプの変異と言うのは、すごく小さな変化で、その影響は大したことはないのです。
とても「新型」と言えるほどの大きな変化ではありません。
確かに、去年獲得した免疫が、今年のウイルスには余り役に立たないということはありますが、それでも、今までに経験したインフルエンザと似ているタイプであれば、ある程度の抵抗性はあります。
それに、このような小さな変異では、高い病原性を獲得することは難しいのです。
これまでになく高い病原性と強い感染力を備え持ち、人類が免疫を持たない恐怖の新型インフルエンザウイルスの出現。
そのためには、毎年繰り返し起こしている小さな変異ではなく、ドラスティックな「大変身」が必要です。
この大変身は、一体どうやったら起きるのか?
いつ、どこで起きる可能性があるのか??
次回お話致します。お楽しみに。
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。
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