Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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号外補足【なぜ白血病は「がん」扱いされないのか?】考えると夜も眠れない(笑)

目次:

1.辞典で用語の定義を調べてみたら・・・

2.白血病をガン扱いしない理由とは!?

3.断言:白血病もリンパ腫もガンだよ~ 当たり前だろ~?

 

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若い方はご存じない? 春日三球・照代師匠。

あなた、地下鉄はどこから入れるか分かります?

考えてごらん。夜も眠れないから(笑)

 

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前回の【号外】で、白血病もリンパ腫もガンなのに、あまり「がん」とは呼ばれないようだと言いました。

そして私は、

「癌」+「肉腫」+(血液のがん)=がん(ガン)=悪性腫瘍

と説明しました。

 

いやぁ、「血液のがん」を括弧つきにしておいて正解でしたね。

 

いろいろ調べても、「ガンには癌腫と肉腫の2つに分類される」と書かれていることが多いです(それもお医者さんとかが書いてるんですよ!)。

私は「えッ? 血液ガンはどうしたの!?」って思うのですがねぇ。

なんでシカトすんのか分からん!

 

どう考えても、白血病もリンパ腫も、病理学的にも発症メカニズムの点からも、立派に「がん」です。

中には、白血病・リンパ腫を「液性ガン」という分類にして、ガンとして扱っている人もいますが、「液性ガン」という言葉はあまり一般的ではありませんね。

 

医学会には、昔からの習慣というか、伝統というのか、適切ではないと分かっていながら、皆使い続けてる、みたいなことがよくあります。

白血病も立派なガンでありながら、あまり「がん」という言葉が使われないのは、その辺の習慣的なものによるのではないかと思うのです。

そこで、、、

 

1.辞典で用語の定義を調べてみたら・・・

 

なぜ「がん」は「癌腫」と「肉腫」の二つであって、血液がんはシカトされるのか?

前回の号外の記事を書いた後、ず~っと考えてました。(夜も眠れないほどじゃないですよ)

 

「がん」はすべての悪性腫瘍の総称であって、そのうち、上皮組織にできるものが「癌(腫)」です。

実は昔は、今で言う「がん」、つまり悪性腫瘍全体のことを「癌」と言っていました。

だから、「日本癌学会」なのです。(歴史と伝統ある学会なので、学会名を変えることはないでしょう)

「がん(ガン)」と「癌」の定義が現在のように変わったのは、ごく近年のことです。

このように病気の定義や分類や用語も、必要に応じて見直され、学会などでの議論を経て変更されることがあります。

 

白血病がガンと呼ばれないのには、医学会の歴史的な事情があるように思います。

そこで、埃をかぶった古い医学事典を引っ張り出してきて、調べてみました。

昔の定義はどうだったのかと。。。(ゲホッ、ゲホッ。スゲー埃)

 

南山堂「医学大辞典」(第16版、1978年初発行)によると、「腫瘍」(tumor)とは、「身体の細胞あるいは組織が自律的に過剰増殖したものと定義される」とあります。

「見ろッ! 白血病も細胞の自律的な過剰増殖じゃないかッ! 立派なガンだろッ!」

 

同じく同辞典から、「白血病」とは、「造血組織の原発腫瘍性疾患で、流血中に病的な幼弱血球(白血病細胞)が出現し・・・(後略)」とある。

「見ろ、見ろ!! 『腫瘍性疾患』って書いてあるし!!」

 

このように、昔の定義では白血病腫瘍であり、それが悪性であれば、まぎれもなく「がん」です。

 

じゃぁ、今の定義ではどうなのか? ズバリ最新版だと思われるウェブの「デジタル大辞林」で調べてみました。

「腫瘍」とは、「身体の一部の組織や細胞が、病的に増殖したもの。ほとんどの場合、増殖した細胞が腫れものをつくるが、白血病のように塊をつくらないものもある。筋腫脂肪腫などの良性腫瘍と、癌腫 肉腫などの悪性腫瘍とがある」です。

 

なんと、これによれば、今でも白血病腫瘍であると、明記されているじゃぁあ~りませんか。

 

でも、この短い文章をよく読むと、いろいろと血液がんがガンとは認められない理由がいくつか書き散りばめられていることに気が付きます。

 

まず、「癌腫 肉腫などの悪性腫瘍とがある」とあります。

血液がんは癌腫でも肉腫でもありません。

そのどちらでもない血液がんは、やはりガンではないと示唆するものです。

 

また、腫瘍の重要な特徴として、「ほとんどの場合」と断りながらも、「腫れもの」という言葉があります。

血液がんでは腫れものはできないことが多いですからねぇ。

(リンパ腫では、リンパ節が腫れることがあります)

 

ただし、「癌腫 (がんしゅ) 肉腫など」の「など」を付けているところがミソですねぇ。

癌腫と肉腫以外にも「血液のガンもありますよ」なんて、暗に言ってるつもりかもしれません。

 

つまり、この辞典の文章は、血液がんはガンであるとも捉えられるし、ガンではないようにも、どちらにでも解釈できるような、ダブル・ミーニングな説明です。

 

「こんな曖昧な定義しか示せなくって、『辞典』だとか言ってんじゃねぇ!!」(怒)

 

つまり、どこを見ても、何を調べても、血液のガンは腫瘍と言えるような、言えないような、そんな歯切れの悪い記述しかないのですよねぇ。

なんでこうなの?

 

2.白血病をガン扱いしない理由とは!?

 

その他、ネットで色々と調べました。

その結果、まとめると以下のような背景があって、それがあまり白血病をガン扱いしない事情ではないかとの結論に至ったのです。

 

Tumorは日本語の「腫瘍」に当たる言葉ですが、元々は、ラテン語「腫れたもの」という意味だそうです。

つまり、腫脹した塊ですね。

 

がん遺伝子は英語でoncogene。

Oncoは「がん」。Geneは「遺伝子」。

このonco、ギリシャ語で「塊」を意味するそうです。

 

また、日本では、江戸時代にはガンのことを「いわ」と言いました。

やはり硬いしこりを岩に例えたのでしょう。

 

つまり、昔からガンについては、硬い「塊」を作ることが大きな特徴でした。

このガンに対する「塊」のイメージが、今でも大きな影響を残しているようです。

 

白血病など、血液のガンの多くでは塊を造りません。

この固まらないところに、「がん」と呼ぶのをためらわせるものがあるのではないか?

そういう風に思うに至ったのです。

 

ちなみに、がん細胞が塊を造るかどうかの違いは、「細胞接着因子」という、細胞同士がくっつくために必要なたんぱく質の違いにあります。

固形ガンと血液ガンの最大の違いのひとつはそこです。

 

3.断言:白血病もリンパ腫もガンだよ~ 当たり前だろ~?

 

「がん」にまつわる用語について、いろいろと調べてきましたが、結局のところ、実際かなりテキトーで、ころころ変わりもするものなのですねぇ~。

反対に、医学的におかしいことが分かっていながら、修正せず、昔の定義を踏襲し続けることも多いのですね~。

 

結局、白血病もリンパ腫もガン。断言できます!

 

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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また、今回の記事は、医師でもない私が素朴に思った疑問について独自に調べた結果です。

お医者様や医療関係者、その他専門家の皆様、もし記述に間違いがありましたら、ご指摘をお願い致します。

また、是非正しい答えをお教え頂きたいと思います。