Dr.やまけんの【いつまでも健康に過ごすために大切なこと】

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022【慢性炎症】「ほとんどすべての病気に共通した本当の原因とは?」

  1. 「慢性炎症」とは?

  2. 慢性炎症の原因

  3. 次回:腸内細菌と心 乱れた細菌叢から慢性炎症へ

 

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4月27日に私の師匠が朝日放送の「ビーバップ!ハイヒール」に出演されますが、きっと、ほとんどの病気の原因として「慢性炎症」というのがある、という話をされると思います。

そこで今回は、その予習として、慢性炎症と病気との関わり合いについてお話します。(師匠の受け売りです(笑))

 

1.「慢性炎症」とは?

 

糖尿病や心臓疾患、関節リウマチなんて、かつては腸内フローラや歯周病なんかと全然関係のない事象だと思われていました。

ましてや心の病気が、腸や口の中が密接に関係しているなんて、誰が想像したでしょう?

 

最近では、症状も病態も全然違う病気が、実は共通の原因をもっており、その共通の原因にフォーカスした治療が重要だという考えが出てきました。

 

その共通の原因とは「慢性炎症」です。

体の病気だけでなく、心の病気でさえ、体の慢性炎症から精神に不調をもたらしていることが分かってきました。

 

「炎症」というと、皆さんはどんな印象を持つでしょうか?

 

風邪をひいて熱がでます。熱が出るのは炎症反応のためです。

で、お医者さんに行くと、解熱剤(抗炎症剤)を出してくれます。

ということは、熱は下げるべきもの(炎症は良くないもの)なのでしょうかね?

 

感染症なんかで引き起こされる炎症は「急性炎症」です。

体温を上げることによってウイルスの活動を弱め、同時に免疫力を高めます。

なので、やたらと解熱剤を飲んで熱を下げるのは、好ましいことではありません。

 

ケガをすると、患部が熱をもって赤く腫れたりします。

これも急性炎症です。

ケガの修復では、血液凝固による止血の後、免疫細胞が患部に集まり、たくさんの炎症性物質(サイトカインや成長因子というタンパク質)を出して、細胞の増殖と組織の再生が始まります。

 

今では、ケガをしても(感染症のリスクが高い場合を除いて)基本的に消毒はしません。

消毒液によって様々な細胞にダメージを負わせ、その結果、初期の正しい炎症反応の成立に失敗してしまうと、傷の治りが悪くなることが知られているからです。

つまり、急性炎症というのは病気やケガからの回復になくてはならないものなのですね。

 

そして、ケガや病気が快方に向かい始めたら、速やかに炎症は静まらなければなりません。

治りかけているのに、いつまでも炎症反応が続くのは病的な状態です。

 

例えば、炎症など必要ないのに、くすぶるような小さな炎症反応が続いている状態

これが「慢性炎症」であり、多くの病気の引き金になります。

 

で、慢性炎症の大きな原因はというと、「腸内フローラの乱れ」と「免疫系の不調」です。

(最近では、「口腔内フローラ」も重要であることが分かってきました)

さらに、腸内フローラの乱れと免疫系の不調をもたらすのは、過食や偏食などの不適切な食事や、運動不足、不十分な休息などの好ましくない生活習慣です。

 

肥満の人は、多くの場合で過食か運動不足のどちらか、あるいはその両方です。

肥満では、ほぼ確実に慢性炎症が起きており、多くの病気の原因となるため、最近では「肥満自体が病気である」という考え方が出てきており、「肥満症」という言葉もあります。

「太ってはいるけど、別にどこも悪くないから病気じゃない」と言うかもしれませんが、それは違います。

「血糖値は高いけど、別にどこも悪くない」というのと同じです。

糖尿病は糖尿病、肥満は肥満であり、将来、深刻な事態になるリスクが高い状態ですので、あなどってはいけません。

 

2. 慢性炎症の原因

 

慢性炎症の原因は、腸内フローラの乱れと免疫系の不調だと言いました。

繰り返しになりますが、この2つの原因は何かというと、様々ありますが、過食など不適切な食事、運動不足、休息不足などの不適切な生活習慣です。

 

本ブログ003と話が重なりますが、重要なことですので、もう一度確認しておきましょう。

 

過食などで中性脂肪コレステロールが高い状態が続くと、脂肪細胞がこれを取り込み、肥大化します。

肥満の人の内臓脂肪には、この肥大化脂肪細胞がいっぱい詰まっています。

 

この状態になると、脂肪細胞をはじめ、様々な免疫細胞が分泌する物質の内容が変わってきます。

脂肪細胞では、良い物質のアディポネクチンとレプチンが出にくくなり、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなり、血糖値が下がりにくくなること)や血圧上昇、血栓形成を引き起こす、TNF-α、遊離脂肪酸、アンジオテンシノーゲン、PAI-1などの悪い物質が出るようになります。

 

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免疫細胞でも、IL-1β、TNF-αなどの炎症性物質の産生が優位になり、体のあちこちで慢性炎症の状態です。

 

様々な組織は、長い間炎症性物質にさらされ続けると、その機能や構造に好ましくない変化が起こります。

その変化は、長期的には様々な生活習慣病につながるので、放置は非常に危険です。

 

以前は、「肥満」は単なる栄養過多の状態と思われていましたが、現在では、慢性炎症を伴った「病気の状態」と言えます。

 

しかし幸い、内臓脂肪は付きやすいが、取れやすい。

努力の成果が体重や腹囲の減少という形で目に見えて分かるので、それを励みに頑張ってみましょう。

 

食事・運動・生活習慣の改善です。

 

3. 次回:腸内細菌と心 乱れた細菌叢から慢性炎症へ

 

次回は、腸内フローラがどのような心の状態に影響を及ぼすのか?

それから、細菌叢の乱れた腸や口の中の状態がどういう風になっていて、どんなことが起こって慢性炎症が引き起こされるのかを見ていきましょう。

 

今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。

 

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