前回の続きです。
前編を読まれていない方は、是非、前回の【070】からお読み下さい。
※ 火傷の写真はかなりショッキングです。ご注意下さい。
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Aさんが決断できた本当の理由とは!?
なぜ、脚を失うリスクをものともせず、黒酵母培養液一本で行く決心が出来たのか???
Aさんに尋ねました。
図1のCはポケットが最も深かった頃ですが、Dの写真はその翌日です。
わずか一日で組織の再生がかなり進んでいるのが分かるでしょうか?
皮膚組織の再生なら分かりますが、それよりはるかに深いところ、骨まで達するほどの損傷を受けた筋組織が再生しているのです。
Aさんはこれを見て、βグルカンの組織再生促進効果に確信を持ったと言います。
論文にもそう書きました。
ところが、本当はもっと早くに確信を持っていたそうです。そう、火傷をした直後からです。
どういうことか?
Aさんは以前から、この黒酵母培養液を火傷に塗って効いたという体験をされた方が多くいることを知っていました。
火傷と言っても、もちろん、これ程の大火傷を負った人はいないと思いますが。。。
火傷に気付いたときには、あまりのひどさに茫然自失、1時間以上もただただ傷を眺めていただけで、成す術も忘れていたそうです。
そのひどさと言ったら、実際に損傷を受けた傷の倍以上の範囲、右足の半分ほどにわたって水ぶくれが出来ていたそうですが、やがて、黒酵母培養液を塗ることを思いつき、やってみたところ、溜まっていた水が見る間に引いていき、元の皮膚のようにキレイになって行ったというのです。
まさに、この最初の時点で、Aさんは黒酵母培養液のパワーに「確信を持った」そうです。
残念ながら、この時の写真はありません。写真を撮る余裕などなかったというか、思いつきもしませんでした。当然のことです。
この時のビフォー/アフターの写真があれば論文にも載せられましたし、記述もできました。
しかし、証拠がないのでは、単なる「体験談」と同じであり、論文に記載するのは適切ではないでしょう。
写真がないのでは、説得力がありません。
火傷でできる水ぶくれ。皆さんも経験があると思います。
損傷した組織周辺の血管の透過性が高まり、血液の水分(血漿)が染み出てきて表皮の下に溜まります。
これは、時間が経てば自然に再吸収されてなくなります。
通常、数日はかかりますが、なんとそれが数時間で起きたというのです。普通ではあり得ないことです。
果たして、これが黒酵母培養液に含まれるβグルカンの効果であるとして、どんな作用でこんなことが起きるのか!? 私には全く説明不能です。
やはり、写真無しでは論文に書けるはずもありません。
ここで、非常に重要なことを書きます。
Aさんが手術も薬も断って、βグルカン一本でいくという決断を続けられたのには、もうひとつ重要なポイントがあると言います。
このことは論文にも書いているのですが、Aさんは毎日、黒酵母培養液を塗る処置をする際に、必ず患部を「強酸性電解水(強酸性水)」で洗浄していたことです。
処置する前に、手指も強酸性水で念入りに消毒しました。
私は強酸性水についてはよく知らなかったので、調べてみました。
強酸性水は、強力な抗菌作用を持つ一方で、細胞への障害性(毒性)が非常に低いのです。
その安全性の高さのため、強酸性水は、ずいぶん前から(1996年以降)厚生労働省により、医療現場(医師や看護師、介護者の手指の消毒、内視鏡などの医療機器・器具の消毒等)での使用や、さらには食品への使用も認められています。
Aさんは、この強酸性水生成装置をご自宅に持っていたのでした。
現在の創傷治療では、創傷患部は水で洗うだけで、消毒薬で消毒しないことが当たり前です。
本ブログ【011】で書いた通り、従来、医療現場で使われてきたヒビテン(薄いピンク色の液体ですが、病院で見たことあります?)などの典型的な消毒薬は、殺菌作用は強力ですが、損傷を受けて瀕死の細胞に追い打ちをかけることはもちろん、組織再生に働く元気な細胞にまで深刻なダメージを与え、返って怪我の治りを悪くすることが分かってきたからです。
消毒薬は、傷口に塗りつける塩のようなものなのです。
takyamamoto.hatenablog.com
Aさんは、主治医から言われるまでもなく、細菌感染には細心の注意を払っていました。
菌感染すると生命にかかわることも、当然承知していました。
強酸性水についての正しい知識と、βグルカンに対する高い信頼があったからこそ、一見「無茶無謀」とも思えることを、信念をもって続けられたのです。
(それでも絶対にマネしないでください!!)
さらに、足に感覚がなかったことも、返って幸いしたのかもしれないと言います。
と言うのも、感覚がないからこそ、これほどひどい火傷を負ったわけですが、痛みの変化で怪我の様子を実感できないからこそ、患部の様子を冷静かつ注意深く観察できたようです。
手軽に写真が撮れるガラケーが既にあったことも、患部の状態を確認する上で幸いだったと言います。
しかし、私だったら、露出した骨を見て、冷静に写真を撮るなんてできませんよ(笑)
大した気丈夫だと敬服します。
ところで、最初の水ぶくれで劇的な変化を目の当たりにして、黒酵母培養液のパワーに確信を持ったのにも関わらず、Aさんは最初の病院に通院していた1ヶ月間は黒酵母培養液を使っていませんでした。
というのも、毎日、病院でガーゼ交換をされていたので、黒酵母培養液を使うにはお医者様に説明をしなければなりませんが、到底、理解してもらえないと思ったからだそうです。
さて、手術はしないと決心してからの経過は図2の通りです。
4月4日(図1D)から4月26日(図2A)のたった3週間ほどで、劇的に良くなっているのがお分かり頂けるでしょうか?
それに比べると、その2週間後の5月10日(図2B)では、そんなに治癒が進んでいるようには見えませんね。
実はAさん、それまでは1日に10回程度も黒酵母培養液を交換する処置を続けてきましたが、5月以降は仕事が忙しくなり、以前のように頻繁に処置が出来なくなったのだそうです(1日3回程度)。
そのため、これまでは創面(損傷面)が常に培養液に触れている状態を保ってきたのですが、5月以降は、しばしば乾くことがあったそうです。
図2の写真を見ても明らかだと思うのですが、Aさん自身も、5月以降、処置回数が減ってからは「治癒速度が鈍化した」と実感したそうです。
ちゃんと処置出来ていれば、「もう1、2ヶ月早く治っていたはず」と言います。
いや、最初の最初から使っていれば、手術するよりも早く治っていたに違いないとの印象すらお持ちのようです。
それでも、黒酵母培養液を塗り始めてからわずか5ヶ月後。創面は完全に上皮化(皮膚で覆われること)しました。
組織移植手術をしないと治らないと言われ、下手をすると脚の切断もあり得ると言われた大火傷。
手術も薬も拒否した結果。
これは完全に人間が本来持つ「自然治癒力」によるものです。
「免疫」というと、病原体と戦うシステムだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本ブログ【061】でもお話しした通り、体の「恒常性の維持」に重要な働きを担っている、なんというか、体の状態を正常に保つための、もっと統括的なシステムなのです。
そう、単なる「生体防御システム」ではありません。
takyamamoto.hatenablog.com
免疫のひとつの重要な役割として、組織の「破壊と再生」があります。
私たちの体は約37兆個(少し前までは60兆個と言われていました)の細胞から成り、毎日、数百億個(一説には数千億個とも)もの細胞が死に、新しく入れ替わっています。
例えば、酸素を体の隅々まで運ぶ役割を持つ赤血球の寿命は約120日です。
赤血球は骨髄で生まれますが、その産生にはマクロファージが働いています。
老いて寿命が来た赤血球を処分するのもマクロファージです。
そして、怪我を治すのも免疫の力であり、損傷組織の破壊(除去)と再生に重要な働きをしているのがマクロファージと好中球です。
創傷の治癒にはまず、損傷した組織の除去が必要で、その後に組織再生を行わねばなりません。
損傷組織の除去に働くのは主に好中球、その好中球を活性化し、さらに損傷組織の再生を促進するのがマクロファージ、そして、βグルカンは、このマクロファージを強力に活性化します。
図1のBよりも、1ヶ月後のCの方がはるかにポケットが深く、一見、悪化しているようにも見えます。
これは恐らくは、βグルカンの働きによって活性化されたマクロファージと好中球により、損傷組織の除去が促進されたためではないかと考えられます。
怪我の治癒には、この損傷組織の除去が上手くいくかどうかが非常に重要なポイントなのです。
ちなみに、主治医の先生の反応はどうだったのか、Aさんに伺いました。
なんか拍子抜けしてたというか、白けてたというか。。。「エッ、治ったの? アッ、そっ」みたいな(笑)
若い先生だったそうですが、症例経験も少なく、あまり勉強もされていないでしょうから、無理もないかも知れません。(失礼)
私が主治医だったら、Aさんをとことん問い詰めて何をしでかしたのか尋問し、怪しげなる(笑)黒酵母培養液とやらについて調べに調べ上げ、自分で症例報告すること間違いなしですよ。
実は、βグルカンが創傷の治癒促進に効果があるという科学的エビデンスは皆無ではありませんが、そのメカニズムに至ってはほとんど分かっていません。
ただ、黒酵母βグルカンの愛用者の中には、火傷や怪我が早く治ったという経験を持つ人は確かにゴマンといます。
つまり体験談ベースでは確実ではあるのですが、科学的には殆ど証拠がありません。
それにしても、Aさんのようなケースは極めて稀だと思われます。
ですので、決して真似しないで下さい。
誰でもこういくとは限りません。
本ブログ【025】でお話した通り、人間の免疫力は皆それぞれに違うのです。
takyamamoto.hatenablog.com
Aさんは、たぐい稀なる自然治癒力の持ち主なのかもしれません。
それがβグルカンにより、最大限引き出されたのかもしれません。
本当に誰でもこういくとは限らないのです。
いや、ほとんどの場合、こうはいかないのではないかと、私自身まだ懐疑的です。
ただ、ひとつ言えることは、私たち人間の自然治癒力は、人それぞれ違いはあれども、私たちが思っている以上に強力だということです。
世の中に様々な種類の薬がありますが、症状の改善効果だけに着目しているものが余りにも多い(対症療法)。
本来の原因を叩く、そして、より好ましくは人間本来の自然治癒力を引き出す。
そのような薬が理想的なように思います。
本ブログ【021】でお話した通り、その人本来の免疫力を引き出す薬、「免疫チェックポイント阻害剤」に注目が集まっています。
なんと、この薬は、従来のがんの3大療法に見放されて、ただ死にゆく運命だった人の何割かを延命できるのです。
これが、人間が生来持つ免疫の実力だということが分かってきました。
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本来の免疫力を引き出すことが如何に重要か。
Aさんの症例で、改めてそのことを強く考えさせられました。
これからの医療の発展は、益々「免疫」を避けてはあり得ないと、私は思うのです。
この論文がひとりでも多くの医療関係者の目に留まることによって、免疫について再考して頂く一助になれば、論文の著者としてこれほど嬉しいことはありません。
また、Aさんご自身も、そのことを強く願っておられます。
21世紀の医療のキーワードは「免疫」です。
この記事を投稿したのは、そのことをお伝えしたかったからです。
ですから、絶対に真似しないで下さい!
今回も最後までお読み頂き、ありがとう御座います。
※本記事は、Aさんご本人に文章の確認をして頂き、お許しを得た上で掲載しています。
※また、Aさんの症例に巡り合えた幸運に感謝し、この場をお借りしてAさんに深く御礼申し上げます。
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