① 健康に過ごすための”正しい食事7ヶ条”
前回、2つの研究機関による、アカゲザルでの20余年にわたる実験結果から、病気にならずに長く生きる、すなわち”健康寿命”を延ばすには、食事の「質と量」が重要であることが明らかになったことをお伝えしました。
で、一般的には、健康に生きる食事方法として、「30種類の食材をまんべんなく食べましょう」とか、「3食きちんと規則正しく食べましょう」とか、聞きますよね?
でも、30種類の食材なんて食べられます? いや、普通の人にそんなに食材買えますか? 食べ切れますか? 無理でしょ! 非現実的でしょ!!
また、厚生労働省も「3食きちんと食べましょう」と言っていますが、では、なぜ3食なのか? 誰もその根拠を明確に教えてくれた人はいません。
「規則正しく」というのには同意しますが、「3食食べないといけない」というのは、ずっと疑問に思っていました。
「1日3食食べることで食べ過ぎにつながるなら、2食でいい」というのが私の考えです。
これまで、様々な情報を検証してきて、私が「健康に過ごすための正しい食事」としてまとめたのが以下の7ヶ条です。
「Dr.やまけんの健康に過ごすための”正しい食事7ヶ条”」
プラス、「サプリメントの活用」です。
別に何も特別な事じゃぁないでしょう。
でも、この7項目の一つひとつがどうして大事なのか、根拠に基づいた理由を理解してこそ、この7ヶ条が実践できます。
なぜなら、理由を理解してこそ、継続させるモチベーションが保てるからです。
② 「過食は厳禁」の理由~特に糖質と脂質~
過食が寿命を縮めることは、昔からマウスなどの小動物の実験結果によって、よく知られていました。
過食が病気のリスクを高めるというアカゲザルの実験結果については、前回お話しした通りです。
過食においてしばしば問題にされるのは、特に炭水化物(糖質)と脂質です。
炭水化物の摂り過ぎは、血中中性脂肪の上昇につながります。
中性脂肪の高い状態が長く続くと、脂肪細胞が中性脂肪をたくさん取り込み、やがて脂肪細胞は肥大化します。
「脂肪細胞」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
「脂肪」ていうくらいだから、肥満に関係した「悪い細胞」、みたいな感じですか?
確かに、肥満にも関係はあります。
でも、脂肪細胞も本来は、体の機能を維持するのに「良い」働きをしている、「なくてはならない」細胞なのです。
正常な状態では、脂肪細胞は、アディポネクチンとレプチンというタンパク質を出しています。
アディポネクチンは、体に非常にいい様々な働きをしており、血糖値や血圧を正常に保つ働きがあります。
レプチンは、満腹中枢に働いて、満腹感を覚えさせる働きがあり、そのため、ほどほどに食べたら満足し、食べ過ぎないで済みます。
ところが、過食で脂肪細胞が肥大化すると、アディポネクチンとレプチンが出にくくなります。
アディポネクチンの低下により、インスリンが効きにくくなるインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性とも言い、インスリンが効きにくくなるので、血糖値が下がりにくくなり、やがて2型糖尿病の発症につながる危険性があります)、レプチンの低下により、満腹を感じにくくなり、さらに過食に拍車がかかるという悪循環に。。。
さらに、肥大化した脂肪細胞は、TNF-αやFFA(遊離脂肪酸)、アンジオテンシノーゲン、PAI-1という悪い物質を出すようになります。
TNF-αとFFAはインスリン抵抗性を引き起こし、アンジオテンシノーゲンは血圧を上昇させ、PAI-1は血栓を造りやすく(血を固まりやすく)します(下図)。
ポッコリお腹には、この肥大化脂肪細胞がたくさん詰まっています。
そして、これだけの悪玉物質がそろい踏みなのですから、あなたの体は生活習慣病へまっしぐらです。
ポッコリお腹の人、血糖値が高めの人は、明らかに食べ過ぎか、運動不足か、あるいはその両方です。
糖尿病は非常に怖い病気です。
私は、がんよりも悲惨な病気だと思っています。
なぜなら、糖尿病は楽には死なせてくれないからです。
だんだん歩けなくなり、車いす生活に。
網膜症で失明。神経障害で脚の壊疽(えそ)から切断。
糖尿病性の腎症で人工透析となると、腎臓が回復する望みはなく、死ぬまで透析に通います。
1回4時間、週3回の透析に通うのもかなり負担です。周囲の家族の負担も半端ではありません。
そして、体が目に見えて弱っていき、そのうちに透析に通うのもままならなくなります。
すでに糖尿病の疑いのある方は、是非、医療機関にご相談ください(私は医師ではありませんので)。
現在の健康を維持したい方や、将来のためを思う方は、この”7ヶ条”を参考にしていただければ幸いです。
今回は1「過食は厳禁」と2「炭水化物を控える」についてお話ししました。
次回は3の「肉食を控える」から続けます。
今回も最後までお読みいただき、ありがとう御座います。
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